盤上の悪魔

囲碁、哲学(人間原理、相対主義、プラグマティズムとか)、ラノベなんかを中心にしてます。

もはや出口戦略を考える段階ではないかもしれない

2017年02月27日 22時27分30秒 | 投資
現在、黒田総裁の下で、日銀が国債を引き受ける、実質的な財政ファイナンスが進行中だが、これを続ければ当然インフレが予想される。

インフレが起きた場合、通常インフレ率を超える程度の利上げが生じるため、特に日銀が保有比率を上げている長期の国債の価値は大幅に下がる。

また日銀が国債を引き受ける際に生じた市中銀行への負債に利子負担が生じ、放置すれば日銀は大きな赤字を垂れ流すことになる。


つまり何もしなければ、ババは日銀が引くことになる。

では、利上げを何らかの手段で抑え込めたとしたらどうだろうか。


この場合、預金金利も上がらないため、インフレによって、預金の価値が目減りしていくことになる。

また、利上げが起きないとインフレ率は上がることが予想される。


従ってババは預金者が引くことになる。

では、預金者が資産の目減りを嫌って、海外に資金を移したり、実物資産の購入したりして預金を引き出し始めたらどうなるのか。


この場合、銀行は日銀の当座預金に眠っていた金を引き出し、その金が市中に流出することになるので、単純に考えればインフレが加速することになる。

こうなると、海外への資本移動の規制や預金封鎖が現実味を帯びてくる。


こう考えてみると、異次元の緩和はなかなか絶望的な状況を作り出したと言え、国全体としてまともな着地点があるとは考えにくい。

個人個人がいかにダメージを少なくするかを考え、対策を立てるしかないところまで状況は悪化しているのかもしれない。
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囲碁NHK杯 結城九段VS張栩九段

2017年02月26日 21時26分24秒 | 囲碁
今日のNHK杯は結城九段VS張栩九段、優勝5回と4回のNHK杯の覇者同士、しかも張栩九段は前期のNHK杯優勝者。

ここまでくれば二人とも優勝することしか考えていないだろう。


対局は、序盤シチョウアタリをめぐってギリギリの駆け引きの末、左上は白張栩九段が外回りを封鎖して壁を作る形になった。

右下はポン抜いて黒の戦力は強力に見えるが、局後の張栩九段の感想では白がわずかに打ちやすいとのこと。


結果としても、下辺右辺とも、黒の攻撃をほとんどダメージなしに切り抜けてしのいでしまう。

その代償に中央あたりに黒の壁ができるが、その威力も左上の白の壁が殺しているとあっては、白が巧妙なしのぎを見せたということだろう。


黒の結城九段も我慢して逆転のチャンスをうかがっていたようだったが、最終盤、ミスをして後手を引き、さらにいつでも打てそうだった先手のヨセを逆に寄せられ投了。

耳が赤くなっていたあたり、NHK杯への意気込みと悔しさがうかがえた。


張栩九段は局後の感想としては珍しく、「次の対局も頑張ります」と言ったのが印象的だった。
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生命存在可能な地球型惑星の発見とフェルミパラドックス

2017年02月23日 21時56分12秒 | 人類
NASA、7つの地球サイズ惑星を39光年先に発見 3つは生命存在可能 Yahoo!ニュース

フェルミパラドックス

何故ここに宇宙人が来ていないのか?


宇宙の年齢は140億年と長いため、地球外文明がいくつかあった場合、文明と文明との時間間隔が数千万年以下であることはむしろ珍しいと思われる。

我々の文明において、農耕の開始からわずか1万年程度で、宇宙への進出が実現し、生命の限界に縛られない人工知能が実現しつつあることを見れば、数千万年というのはいかにも長い。

仮に光速の10%程度で移動する植民のための宇宙船が建造可能で、植民開始から、次の植民のための宇宙船を送りだすのに500年かかるとしても、銀河のどこかで生まれた文明が銀河中に広がるのに数百万年程度の時間しか必要ないという試算もある。

仮に銀河のどこかに、我々よりも先に文明が存在しているのなら、まだ地球に到達していないのは不可解な謎といえる。


このパラドックスへの最も自然な答えは、我々の文明以前に地球外文明は存在していない、というものだ。

例えば、地球型の惑星が非常に珍しく、また地球型の惑星にしか生命が生まれないとすれば、それがフェルミパラドックスの答えになるかもしれない。

観測技術の限界で、恒星に非常に近い軌道を回る、大きな質量をもった惑星しか見つけられなかった時期には、これがフェルミパラドックスの答えになる可能性もあったが、観測技術の向上によって、次第に小さな惑星を発見できるようになってからは説得力を失っていった。


今度のNASAの発見はこの答えにとどめを刺したといえるかもしれない。

39光年と太陽系のごく近く(銀河の直系が10万光年であることを思い出してほしい)に、複数の地球型惑星が見つかったということは、銀河全体では相当数の地球型惑星が存在していることを示唆する。


それらの地球型惑星のいくつかに地球外文明が生まれるとしたら、ほぼ半数は我々よりも先行していることになる。

何故彼らがここにいないのか、もう一度問い直す必要があるかもしれない。
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囲碁NHK杯 山下九段VS一力七段

2017年02月19日 21時54分01秒 | 囲碁
今日のNHK杯は山下九段VS一力七段

普段は考慮時間は編集で端折られるが、初手から一手ごとに随分時間がかかる。

これは中押しで時間が余った時の特徴で、相当すごい結果になったな、と期待が高まる。


対局は黒山下九段が、中央なんということもなさそうな押しを打ったところ、白一力七段は自分の石も断点だらけなのに平然と黒石を抑え込んで攻めたて、瀕死の状態まで追い込む。


結局黒は、白中央薄みを補うための上辺のノゾキに受けていられずにやむを得ず手を抜いてしのぐが、代償に上辺を丸ごと取られてしまい投了。

局後、先に中央薄みをついて出切ったらどうかと検討していたが、結局ノゾキから上辺を取られて駄目なようだ。


僅か一手の隙ともいえないような隙をついて一気に勝負を決めた一力七段の鋭さが光った一局だった。


今期のNHK杯で勝ち残っていた中では唯一決勝に進出したことがないのが、山下九段だった。

逆にそろそろ優勝が来るのでは、と予想していたが、残念ながらハズレ。

次の予想は一力七段の最年少優勝ということにしておこう。
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「中央銀行は持ちこたえられるか」感想

2017年02月17日 22時01分41秒 | 投資
「中央銀行は持ちこたえられるか」河村 小百合著

黒田総裁の元での金融政策によって日本が抱え込むことになった深刻なリスクについての本。


金融緩和によって日本銀行が抱え込んでいる資産は、日本国債を中心にGDP比80%ほどであり、20%前後の欧米主要銀行と比べ極端に高くなっているが、現状の金融緩和が続けばさらにこの数値は上がり続け100%を超えると見られているそうだ。

また、その資産の加重平均利回りはわずかに0.39%に過ぎず、金融緩和を終え、利回りが上昇すると、莫大な損失が生じる恐れがあるとのこと。

これにより、日銀の金融緩和の出口は非常に困難なものになることが予想されるが、日銀は出口戦略については何も説明を行っていないそうだ。


財政破たんする国はそこまで珍しくはないが、財政破たんと同時に中央銀行が甚大なダメージを受けるとすれば、その影響はさらに深刻になると思われる。

日本はまさにそのコースに乗っていると言える。

またそれを避けるために金融緩和をやめる事が非常に困難になっているというわけだ。


この本では戦後の日本の財政破たんにも触れられているが、当時の政府は取るものは取り、返すものは返す、という方針のもとに、財産税として、動産、不動産、現預金などを対象に、税率25%~90%の財産税を課したという。

これはなかなか洒落にならない話で、これをやられたら、日本を出国するぐらいしか対策の立てようはない。


対策を立てられない以上あまり考えても仕方ないかもしれないが、頭の隅には置いておいた方がいい話だろう。
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囲碁の奥深さは人間がAIに負けたことによってより鮮明になった

2017年02月14日 23時43分01秒 | 囲碁
先日書いた通り、今後はゲームの奥深さは、人工知能がいかに強くなれるかで測られるようになるのかもしれない。

人間を超えたあたりで頭打ちにならず、囲碁に見られるように大きな成長の余地があるゲームが奥深いゲームというわけだ。

要するに、人間が人工知能に超えられたのは人間の限界だっただけで、囲碁の限界ではなかったといえる。


また、囲碁で人が人工知能に凌駕されるようになったあたりで、現実の仕事の半分も人工知能に置き換えられるリスクを抱えるようになる、というのも示唆的である。

これは、囲碁が十九路の盤と白黒の石だけで、多くの人間の活動にちょうど匹敵するような、適切な複雑さと難易度を作り出していることを示しているのかもしれない。

過去に徳川家康をはじめ、複雑な現実において決断を下さなければならなかった多くの政治家が囲碁を好んだのも、囲碁が対局の中で絶妙なバランスで、複雑な状況を生み出せるのが一因だろう。


いささかポジショントークが過ぎるかもしれないが、囲碁でAIが人間を凌駕したことによって、むしろ囲碁の奥深さ、魅力がより明確になったといえるかもしれない。
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囲碁NHK杯 伊田八段VS寺山四段

2017年02月12日 15時59分33秒 | 囲碁
今日のNHK杯は伊田八段VS前期準優勝の寺山四段の対局。

若手の知り合い同士のようだし、寺山四段が黒になれば、今期最初の対局でみせた変な布石をまた打つんじゃないかと期待したが、残念ながら白番。

対局は、寺山四段の頑張った逃げ出しに伊田八段が容赦なく襲い掛かり、丸ごときれいに取ってしまい早々に勝負を決めてしまう。

しかし、伊田八段はやたらと表情豊かで、妙に楽しそうに見える。

むしろ勝勢になってからのほうが大人しくなったのが印象的だった。

一方の寺山四段は終始深刻そうな表情で、対照的な二人だった。
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囲碁の悪魔と打てる日が近付きつつある

2017年02月09日 00時28分23秒 | 囲碁
〇×は、初期のコンピュータにも容易に人間と互角になれたゲームだが、人間にも容易に最善手を打てるゲームであり、人間とコンピュータの間に差が広がることはなかった。

次に人間がコンピュータに追いつかれたチェッカーやオセロも、人間にも最善に近い手を打つことが可能であり、コンピュータに凌駕された後も、大きくその差が開くことはないだろう。

しかし、囲碁については事情が異なる。

囲碁の序中盤の多くの局面において最善手がどこかは見当もつかない。

人間の打つ、また今のコンピュータの打つほとんどの手は最善手とはかけ離れたものだろう。

従って、人間の能力の限界、という枠が外れれば、そこには非常に大きな成長の余地がある。


つまり、人工知能の能力が上がっていけば、人間より極端に強くなる可能性がでてくる。


これは人間のプレイヤーにとっては悪夢といえるが、囲碁の新たな可能性であり、新たな魅力になりうる。


幸いなことに、囲碁には置石という容易につけられるハンデがある。


大量に置石をおいて、人知を超えた異常な力に翻弄されてみたい、と思う碁打ちは意外に多いのではないだろうか。


人工知能の能力向上が続けば、あるいは生きているうちにその夢がかなうかもしれない。
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クローズアップ現代 「怖い鬼は厳禁!?”ほめられ世代”どう叱る?」感想

2017年02月06日 21時36分24秒 | Weblog
怖い鬼は厳禁!?”ほめられ世代”どう叱る?

また今頃になって録画していたクローズアップ現代を見る。

叱られ慣れていない若者が増え、企業も管理職にほめ方の研修を受けさせる、笑顔を作ってコンピュータに採点させるなど対応を迫られている、という話。


番組の作りとしては、明らかに叱らないことに対して批判的だったが、最初、叱るのは当然と言っていたコメンテーターのホリエモンが、叱らない指導法で箱根駅伝を3連覇した青山学院陸上競技部のVTRを見て、あっさりと手のひらを返したのには笑った。

一方でもう一人のコメンテーターの精神科医の榎本氏は、意欲が高くて成熟した集団だから叱らないのがうまくいくのではないか、との反応。


ここら辺が、実業家と評論家の差が如実にでているようで面白かった。


褒めるのを中心にした教育と、叱るのを中心にした教育のどちらが望ましいかだが、結局、事実としてどちらがパフォーマンスが高いかによるのではないか。

榎本氏は、叱られ慣れていないと、打たれ弱くなり、厳しく叱られたときにショックを受けやすいのは問題だ、と言うが、仮に褒めることの方がパフォーマンスを高めるなら、無理につらい状況に慣れさせる必要もない。


子供の頃、一度も殴られなかった人間が、いきなり大人になって殴られればショックは大きいだろうが、だからと言って子供の頃から暴力に慣れさせておくべきだ、とはならないだろう。


現状では、褒めた方が叱られるよりもパフォーマンスを上げるという研究が多いようだが、「厳しい方が望ましい」派は、まずは叱られたほうがパフォーマンスが上がる、という証拠を探すべきだろう。
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囲碁NHK杯 井山六冠VS河野九段

2017年02月05日 21時57分48秒 | 囲碁
今日の囲碁NHK杯は井山六冠対河野九段、レーティング1位と2位の頂上決戦。


黒、井山六冠が巨大な模様を張り、白河野九段が深く突入する展開だったが、あっさりと大きな振り替わりで決まりがつく。

その後は白が中央に結構な地をつけ、白優勢なのかと思ったら黒2目半勝ち。


局後の井山六冠の感想によると、振り替わった段階では白が良かったとのことで、いつ逆転したのかよくわからない碁だった。

しかし、大模様の碁はほとんどヨセがないため、ヨセの力の差が出にくい気がする。


プロが大模様を避ける傾向にあるのはヨセの力を見せたいというのもあるかもしれない。
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囲碁の次はポーカーがAIの標的に

2017年02月01日 00時16分16秒 | 囲碁
AI、ポーカーでプロ4人に圧勝 2億円超のチップ獲得 朝日新聞DIGITAL

今度はポーカーでAIが人間を上回ったようだ。

まあ、囲碁でAIが人間を上回った以上、そもそも人間がAIに勝てるゲームが残されているか怪しいところだろう。


しかし、ポーカーは囲碁と違い基本的に金を賭けて行われる。

また金を賭けないと魅力が大幅に減るゲームでもある。


従って、ポーカーにおいて、いわゆるソフト打ち(人が打っているふりをしながら実際にはAIに手を決めさせる)の誘惑は、囲碁とは比べ物にならないほど大きいだろう。

Onlineのポーカーではソフト打ち対策ができるかどうかは死活問題になるだろうし、恐らく規制側とチート側でいたちごっこが繰り広げられることになるだろう。


リアルポーカーはまだましだろうが、強いプレーヤーも、プレイスタイルによっては、将棋の三浦九段のように疑いを掛けられることが増えるかもしれない。


その点囲碁はまだ恵まれているのかもしれない。

ソフトの形勢判断や予測手を使えば、ほとんどのアマはプロの対局で何が起きているのかをこれまでよりもはるかに正確に把握できる。

楽観的にみれば、これはもしかするとプロの対局の価値を高めるかもしれない。

また、もう少しすれば、プロ級どころか、プロを超えるようなソフトと気軽に対局できるようになるかもしれない、と思うとやはり楽しみでもある。


いずれにしても、囲碁棋士は人工知能に追い越されても失業の危機に陥るということはない幸運な職業の一つのようだ。

恐らくほとんどの職業はそうはいかないだろうが。
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