盤上の悪魔

囲碁、哲学(人間原理、相対主義、プラグマティズムとか)、ラノベなんかを中心にしてます。

そして最終局へ

2008年10月31日 22時49分40秒 | 囲碁
名人戦第六局は井山挑戦者が、序盤の優勢から一気に張栩名人の大石に襲いかかり、叩き殺して中押し勝ち。
第五局の半目負けでもう駄目かと思ったんですが、見事に予想をはずしてくれました。

やっぱ強いわ。

正直ファンとしては張栩が負けると悔しいんですが、絶好調の張栩相手にこれだけやってくれれば19歳名人となっても祝福せざるを得ないですね。

張栩名人はいつもはそう簡単には土俵を割らないんですが、まあこういうこともあるんでしょう。

最終局は底力をみせてくれるはず。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

隕石で死ぬ確率はどれくらい?

2008年10月30日 23時20分18秒 | 哲学ネタ
一見すると答えようのない問題に、常識に基づいた大雑把な近似をすることを、やや大げさですが、フェルミ推定と呼ぶそうです。
この方法で、隕石による死亡確率を考えて見ます。

古生物学では、大体5000万年に一度、大量絶滅を引き起こすほどの隕石が地球に衝突すると言われています。
種の何割かが絶滅するこの手の衝突では、大きい生物の個体はほぼ全滅に近い状態になるでしょう。

日本の人口は約1億なので、1億/5000万で平均すると年に2人この種の衝突で死者がでることになります。

より規模の小さい隕石では、死ぬ人間の数は少なくなりますが、衝突の頻度は高くなります。
大雑把に考えて、全体で最大規模の隕石による死者の2~10倍程度、大体年平均で10人ぐらいといったところでしょう。

だいたい、自転車にひき殺されるぐらいの確率で隕石で死ぬわけで、意外に高いと感じるか、たいしたことはないと感じるか意見が分かれそうです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

互角に見えない定石

2008年10月28日 22時17分45秒 | 囲碁
定石は互角の別れだから定石と呼ばれるわけですが、何故か互角に見えない定石ってありますよね。

├┼☆┼┼┼┼┼┼
├┼┼●┼呂┼┼┼
├┼○●┼伊┼┼┼
├┼○●●○┼●┼
├┼○○●波┼┼┼
└┴┴┴┴┴┴┴┴


私の場合これで、なんとなく白が良く見える。

白は隅に確定地をもって辺にも頭を出しているのに対し、黒は伊と打つのでは後手でつまらないし、伊を省いて模様を張ると、呂や波からあっさり荒らされてしまう気がします。

しかし、こんな有名定石が互角に見えないとしたら、おかしいのは当然私の感覚なわけです。

ただ、言い訳をしてみるなら、この定石、序盤そうそうから白がかなりコウに弱くなってるんですよね。
つまり、黒はコウ絡みで脅しをかけないと互角にならないのではないか。

KGS1dぐらいだと、そんな器用な真似はできないので、ちょっとだけ白が有利になっているんじゃないかな、と思うわけです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

知能の価値は

2008年10月28日 00時00分11秒 | 人類
生物にとって知能の高さはどれだけの価値を持つでしょうか。

地球上でもっとも繁栄している生物群をあげよと言われたら、バクテリアか植物、どちらをあげるか迷うでしょうが、おそらくはバクテリアをあげる人が多いでしょう。

バクテリアと比べれば、動物は植物に寄生し、生態系での重要性が相対的に低く、生物量も種の数も遥かに少ない些細な存在です。

そして、バクテリアにも、植物にも脳はなく、我々が考えるような知能はもっていません(情報処理はしているにしても)。

脳を持ち、少なくとも知能の高さを議論できるのは動物だけでしょうが、地上の動物の中でもっとも繁栄しているのは何かと言えば、昆虫をあげる人が多い。

そしてまた、昆虫はある程度の脳は持つものの、動物の中で特に高い知能を持つとはいえません。

逆に、動物の中でも体重に比して大きい脳と高い知能を持つ類人猿は、熱帯雨林の中でひっそり暮らす、ユニークではあるものの個体数も少なくさして繁栄しているとはいえないグループです。

個体間で高度なコミュニケーションを行い、社会性が高く、道具を用いる類人猿ですらこれですから、生物にとっては知能の高さが繁栄につながるとは到底いいがたいでしょう。

しかし、これには人類という顕著な例外があります。
人類はどう控えめに見ても、一つの生物種としては空前の繁栄を誇っており、その成功に高い知能が関っていることは明らかです。

これはおそらく、生物にとって、知能というものはある閾値まではコストにたいしてそれほど高い効果を示すわけではないが、ある閾値を超えると、量的な変化が質的な変化をもたらし、それまでと大きく異なった結果をもたらすことを示していると言えます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

NHK杯、河野天元vs趙善津九段

2008年10月26日 20時41分58秒 | 囲碁
今日のNHK杯は河野天元vs趙善津九段、河野天元の黒番中押し勝ち。

対局は、左下で河野天元の盲点からの一撃が決まり、一気に黒優勢に。

趙九段も、強い石から動くセオリーをはずした必死の反撃を試みますが、またも河野天元のカウンターがきれいに決まり、白はほぼ敗勢になったようです。

その後も黒は容赦なく追撃を続け、地が足りない上に中央の大石が危なくなって白投了。

河野天元の強さばかりが目立つ碁で、対局中もにこにこしている事の多い趙九段の情けなさそうな表情が印象に残りました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ごらん、人が蟻のようだ

2008年10月26日 20時40分25秒 | ニュース
いつのまにか日経平均株価が7000円台になってますね。
ここまで下がると別に値上がりしなくても配当だけで満足できるような。
ギャンブルが苦手な私ですら、金があったら動いてしまうかもしれません。

まあ、実際にはないので高みの見物をするのみですが。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ルイスキャロルじゃなかった

2008年10月24日 22時08分50秒 | Weblog
探偵ガリレオ 容疑者Xの献身、見てきました。

犯人の数学者は実はロリコンとか、クライマックスでぶっちゃけ理系トークが炸裂、とかあるんじゃないかと身構えていたんですが、そんな無駄な上に危険などんでん返しもなく普通にいい話でした。

実際にはそんなことはないんでしょうが、数学者は凄い変人ぞろいというイメージがあるんですよね。
ゲイとか、一生放浪とか、自殺とか、フィールズ賞を辞退して姿をくらますとか。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

落ちてあがってまた落ちて

2008年10月22日 22時49分58秒 | 囲碁
最近、KGSでまた2dにあがったり1dに落ちたり、中途半端な状態が続いています。

2dにあがると、せっかくだからと3dに申し込んで負け、1dに押し戻されるというのが黄金パターンになりつつある。

やはり3~4dとははっきり実力差を感じてしまいますね。
なんというか、形を崩すのが上手い気がします。

1~2dと打つときは、打つ手に迷うことがあまりないんですが、3dあたりと打つと、適当な形が見えず、第一感で打つ手が浮かばないことが多い。
むしろ、滅茶苦茶な乱戦になった方が打ちやすい感じがあります。

ここら辺の、形を崩したり、それを防いだりする感覚が身につけば少し強くなれるかも。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

進化論の哲学的インパクト

2008年10月21日 23時45分42秒 | 哲学ネタ
真善美という言葉に象徴されるように、過去において、価値や意味、目的とは何かを考える事は哲学の重要な柱でした。
今も哲学というと人生論のようなものをイメージする人は多いでしょう。

しかし、これら価値や意味目的の源を明らかにしたのは、残念ながらと言うべきか、当然ながらというべきか、ダーウィンを中心とする生物学者たちでした。

死を避けようとする個体と、死を特に避けない個体がいて、死を避けようとする個体の方が生きのびる率がたかく、より多くの自分と同じ性質をもった子孫を残すなら、結果的に死を避けない個体はいなくなり死を避ける個体ばかりになる。

この彼らが考え出した自然選択説は、今のところ人類が知っている中で、機械的な過程で倫理的な主張をする存在をつくりだす唯一のメカニズムです。

ただ、この自然淘汰の哲学的な含みはやや微妙で、解りにくいところもあるので、(そのうち)少し整理してみます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

何故かアタリが打てない

2008年10月19日 15時57分43秒 | 囲碁
今日のNHK杯は今村俊也九段vs小県九段、今日は今村九段が妙なミスをやらかしてくれました。


┌┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┐
├┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┤
├┼┼┼┼┼┼┼┼●┼┼┼┼┼┼┼┼┤
├┼┼○┼┼┼┼┼╋┼┼┼┼┼●┼┼┤
├┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┤
├┼┼┼┼○○┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┤
├┼○┼○●●○○○┼┼┼┼┼┼┼┼┤
├┼★┼●●○●●●●┼┼┼┼┼┼┼┤
├┼●┼●○○┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┤
├┼┼☆○●壱○┼○┼┼┼┼┼╋┼┼┤
├┼○┼●弐┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼●┼┤
├┼┼┼┼┼●●┼●●┼┼┼┼┼┼┼┤
├┼┼┼●┼○┼┼○○┼┼●●┼┼┼┤
├┼○○○○●○┼●┼┼┼○●○┼┼┤
├┼○●┼┼┼○┼●○○┼○○●●┼┤
├┼○●┼┼┼┼○○●┼○●●╋┼┼┤
├┼●○●┼●○○●●┼○┼┼●┼┼┤
├┼●○●┼┼○●┼●┼○┼┼┼┼┼┤
└┴┴┴┴┴┴┴┴●┴┴┴┴┴┴┴┴┘


局面は白が☆と打ったところ、解説の結城九段によれば、黒は壱と当ててから★と打てば、割り込みからの手があるので、中央の白石には一手守りが必要、それから左辺を生きれば黒優勢とのこと。
しかし、今村九段は何故かアタリを打たずに★と打ち、白にあっさり要石を取られてしまいました。

要石を取られると、地の差はたいしたことがなくても、まったくチャンスをつくれずずるずるいくことが多いもので、この碁も今村九段の中押し負けでした。

こういうのは自分の対局だと時々あるんですよね。
この手を打ってからさてどうするか、と先のことを考えているうちに、打たなくてはいけない手のことをふっと失念し、よし決めたと先の手を打ってしまう。

そして、相手の手をみて、あれっなんでそこに石を打ってないんだよと頭を抱える。

直後の今村九段の慌てっぷりから見て間違いなくこれでしょう。

しかし、最近のNHK杯は派手なミスが多いですね。
プロに親近感わきまくりです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

WWSG閉幕

2008年10月18日 00時54分55秒 | 囲碁
WWSG、日本がタイトルホルダーを集めた団体戦は大方の予想通り3位銅メダル。
中韓に某十段2敗分のハンデを与えたにしては頑張ったというところでしょうか。

この大会、個人的には三村九段が陳耀に勝ったのが印象に残りました。
三村九段がイチャンホと陳耀に勝ったことがあるというのは、将来驚きをもって語られるエピソードになりそうな気が。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

名人戦第六局

2008年10月16日 22時31分22秒 | 囲碁
名人戦第5局は張栩名人の黒番半目勝ち。
対戦成績を3勝2敗とし、名人防衛に王手をかけました。

┌┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┐
├┼┼●┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼○○●○┤
├┼┼┼┼●┼┼┼┼┼●┼●●●○○┤
├┼┼○┼┼┼┼┼╋┼┼┼┼○○●┼┤
├┼┼┼┼●┼┼┼┼┼┼┼┼┼●●┼┤
├┼○┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼○┼┤
├┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┤
├┼┼┼┼★┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼●┼┤
├┼┼○┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┤
├┼┼╋┼┼┼┼┼╋┼┼┼┼┼╋┼┼┤
├┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┤
├┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼●┼┼┤
├┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┤
├┼○┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼○┼┤
├┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼●●┼┼●●┤
├┼┼○┼┼┼┼┼╋┼┼●○●●●○┤
├┼┼┼┼┼○┼┼┼┼┼●○○○○○┤
├┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┤
└┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┘


一日目は45手まで黒の模様がやたらと広大に見え、ずいぶん黒が優勢に見えました。
もちろんアマ低段者の形勢判断など、まったくあてにはなりませんが、asahi.com の局後の感想を見る限り、名人、挑戦者共に黒がいいと思っていたようです。

しかし、そこから最終的には逆転もあるかに見えた半目勝負に。
最後は張栩名人は勝ちを読みきっていたようですが、第二局とは逆に井山挑戦者が力を見せた半目だったような気がします。

とはいえ、張栩に勝つのはやはり容易なことではありませんね。
名人奪取は苦しくなってきたかも知れません。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

WMSG男子団体戦が始まる

2008年10月15日 23時11分31秒 | 囲碁
WMSG、団体戦の予選対中国戦、依田九段が常昊九段を、河野天元が丁偉九段を破り、2勝3敗と結構いい勝負になりました。

韓国も、見ただけでうわこりゃ駄目だ、と言いたくなるメンバーではないようですし、もしかしたら優勝の目もあるかも、という気になってきますね。

それにしても、公式ホームページの棋譜鑑賞 、「大会進行に合わせて更新予定です。」っていうのはどうなんでしょう。
もう大会も半分ぐらい終わっているような気がするんですが。

まあ、棋譜みるようなのはしょせん一部のマニアだけだし、一般向けの広報に力を注いでいるんだと思っておきます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

年金の天引きの是非

2008年10月15日 22時55分02秒 | ニュース
一般に自分の財産のどれだけを義務的な支払いにあて、どれだけを他の目的に使うか決める権利を持つのは自分です。

他の目的に金を使ったために、義務的な支払いが出来なくなった場合、義務的な支払いをしていないことについては責任を問われるでしょうが、自分の財産を義務的な支払いではなく、他の目的に使ったこと自体については法的な責任を問われることはないでしょう。

これは、孫を進学させるためとか、病気の治療の為に薬を個人輸入する必要があったとか、倫理的に正当化できそうな目的だけではなく、ギャンブルですってしまったとか、高級品を衝動買いしたとか、あまり望ましくない目的であったとしても同じです。

そして、公的機関を含む他人がその人の財産に手をつける場合、正当な理由があっても通常それなりの手続きが必要です。

自分の財産の使い道を自分で決められるというのは、財産に関する権利の一部でしょう。

従って、年金からの保険料の強制的な天引きは、財産に関する権利を一部制限することを意味しています。

この財産に関する権利の制限についてまったく言及しない政府の説得戦略が、個人の財産に関する権利を無視し、他人の財布に勝手に手を突っ込んでいるように見られて感情的な反発を生んだのはある意味当然のことです。

おそらく、徴収コストを減らし、負担を公平化するために、高齢者の年金にたいする権利の一部を制限させてほしい、ということをはっきりといっていれば、この政策をもう少し冷静に考えようとする人は多かったでしょう。

冷静に考えれば、この政策を受け入れるかどうかは、財産に関する権利を守るかわりに、払う人と払わない人の不公平や、徴収コストによる保険料の増加やサービスの低下を受け入れるか、あるいは財産にたいする権利を一部放棄して、負担を公平にし、コストを下げるかという選択の問題になります。

ただ、公平性とコストの為に権利を制限する、という論法は、かなり応用範囲が広いという点には注意が必要でしょう。

少なくとも政府にたいする支払いの全てを天引きすることが正当化されるでしょうし、他の問題に持ち出されることは充分考えられます。
結局これは、全体の利益の為に、政府の管理と個人の権利の制限をどこまで受け入れるかという価値判断になるのかもしれません。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

進化は進歩のパワーアップバージョンじゃねえ

2008年10月14日 22時26分33秒 | 人類
「新たな形に進化する」とか「進化するコンピュータ」とか、「次世代の車の進化の姿」とか、進化という言葉は、よく進歩の凄い版みたいな意味で使われています。

しかし、もともとの生物学における進化は、一世代ごとに僅かな変化を起こすだけの非常に遅い過程であり、
進行するのに数万年レベルの時間がかかり、大きな環境変動がない限り非常に保守的で、数百万年のレベルでほとんど変化を起こさないこともあります。

それに対して、進歩は、遺伝情報によらない獲得された知識の伝達と、世界にたいする理解に基づくデザインされたテクノロジーによる、非常に高速で、進歩が進歩の速度を上げる自己増殖的な側面も持つ、爆発的な過程といえます。

農耕革命からわずかに一万年、科学技術が本格的に登場してからは、古生物学的には検出することすら難しい500年という期間しかたっていないにもかかわらず、進歩は人類の姿を一変させてしまいました。

また、進化のもたらす可能性の範囲に比べ、進歩とテクノロジーのもたらす可能性の範囲はかなり広いようです。
進化によって核エネルギーの利用やロケットがもたらされる可能性は皆無でしょうし、テクノロジーがもたらす可能性の限界はまだまったく見えてきていません。

逆に進歩の爆発的なスピードと強力さは、人類にかなりの不安定さをもたらしているという側面もあります。

環境破壊や核兵器、情報網や国際間の貿易によって緊密に結び付けられた世界を同時に襲いうる経済的な破局などの要因が、単独、もしくは複合的に人類の滅亡をもたらす可能性が、無視できるほど低いと主張できる人はほとんどいないでしょう。

いずれにしても、人類の将来は、進歩という早く強力な過程により決まり、進化のような遅く弱い過程はほとんど影響をもたらさないと言っていいでしょう。

生物のありかたを基本的に規定している進化の過程からの影響をほぼ無視できる、という点から見て、人類はすでに生物の範囲を逸脱していると言うことも出来るかもしれません。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする