2010/7/16 黒岳石室~雲ノ平
雲ノ平をお鉢から黒岳方向に歩いていたら、一匹のキタキツネが我々が歩いている登山道を歩いてきた。
こんな痩せた土地で標高2000m近い台地に、キタキツネの住めそうな所はないだろうと思いながら、シャッターを切っていたところ、無表情に私に接触する至近距離で登山道を通り抜けていった。普通なら、もう少し離れたところを歩くのに、かなり人慣れしてるようだ。
ところが、口に加えられたものは、トウキビの食べ残しである。歩いてきた方向から黒岳石室(キャンプ場併設)で手に入れたものと推定される。
野生動物であるキタキツネは、本来ならば人間から食べ物を与えられない状態でバランスがとれており、人間が干渉することで、その生息環境に悪影響が出ると言われている。
また、キタキツネの体表面や糞などを媒介とするエキノコックス症への感染が問題視されている。しかも、この辺りでは、雪渓水を登山者は飲み水としており、単に食べ残しとして片付けられない。登山者はマナーを守り、キタキツネとの接触は避けなければならない。
帰宅して、この地におけるキタキツネの繁殖状況について、調べてみたところ、最初に目に付いたのは、山岳地図に雲ノ平から黒岳石室に近いところに「キタキツネ」と記されていた。繁殖しているとの記載である。
『高山帯ではネズミ類のほかにシマリスやナキウサギなどのほ乳類、ノゴマやカヤクグリなどの鳥類、ダイセツタカネフキバッタやダイセツオサムシなどの昆虫類を補食しており、食物連鎖の頂点に位置しています。またクロマメノキやコケモモなどの果実も好んで食べています。』と、記されていた。
もちろん最低限のマナーは守らなければですね!
夏に登山者の食べ残しを求めて麓からキタキツネも登山しているのだろうと思い込んでいました。
ところが、学者が7年間追跡調査を実施したところ、厳寒期もここで生活し繁殖するようになったことが確認されたようです。