2023年のアニメ映画。イマイチな出来。今までの2Ⅾアニメ版の方が映像としては格段に上のレベル。
主人公『野原しんのすけ』と30歳派遣バイト『非理谷充』の2人が、エスパーになり能力を手に入れるけど、非理谷は能力を悪用していき、しんのすけは非理谷を止めようとするという話。
クレしんの初めての3DCGアニメ映画。劇場アニメとしては31作目になるけど、本作はカウントされていないらしい。タイトル長くないか?手巻き寿司はいらんのでは?
公開当時に予告を観た時に思ったのは、CGの出来が悪い。映像に違和感がある。映画館で観るのは厳しい。という印象だった。
今回、DVDでレンタルして観てみたけど、前述の印象は変わらなかった。フラフラと動く紙細工みたいな動きで不安定。それが映像としてのCGアニメとしての感想。
物語は『非理谷』という男の話だった。超能力を手に入れたことで、力を悪用して社会で悪さをする男。作品を観ている人間が『嫌な悪い奴』と思わせるように悪役として描き、途中から『実は色々あったんだよ! 』という過去を見せる構成。
非理谷は30歳の派遣バイトで、彼に『頑張れ!』という安易な言葉で応援するというのは、どうなんだろうと思ってしまった。もし24歳くらいなら『頑張れ!』で上手く誤魔化せるかもしれないが、どうなのだろう。説得力がない気が。というより残酷で暴力的に感じる気が。
それと非理谷は爆破事件とか犯罪に手を染めているので、あの物語以降に逮捕されているんじゃないかなと思うんだけどね。社会問題とか変なリアリティさを見せるなら、そういう面もキチンと考えて作って欲しいかな。非理谷充がオモチャにされてるみたいで嫌な気分になった。
作り物の世界、そしてクレしん映画なんだから、嘘でも救ってやれよと言いたい。
以下は、ちょい強引な個人的考察。
非理谷は、友人が出来ることもなく孤独だった。自分を優先した利己主義者。他者も助けず自分も助けられない人間と思っている。彼に手を差し伸べてきた人間はいたが、非理谷はそれが分からない人になってしまった。
それは序盤で野原ひろしが手を差し伸べたシーンでも描かれている。そして野原しんのすけが非理谷を助けるために手を差し伸べた時にようやく非理谷は気が付いた話にも見える。
終盤の野原ひろしの『頑張れ!』という言葉は作品として正しくないと思うけど、物語の冒頭から最後までの『非理谷ひろしの2人』として見ると手を差し伸べている人の『頑張れ!』という構造に見えてくるような気がする。何となく。
けど『非理谷』『ひりやみのる』『非リア充』と名前を見えると、やっぱり俺の勘違いかなとか思う。
物語がどうこう問題より、映像としての出来が悪い意味で気になってしょうがない。イマイチな映画だった。