Alpine Style Mountaineering Team「MOVE」

福岡市在住の会員を中心に、九州全域の岩、沢、氷のクライミング活動をしています。現在会員募集中(初心者大歓迎)

2015年7月28日〜8月1日 屏風岩東壁定着合宿

2016年04月15日 | 活動報告

山域 穂高屏風岩東壁

日程 2015年7月28日〜8月1日

メンバー 富永隊長、今村さん、楠さん、山本

 

非常に色々あった合宿でブログを書くのに8ヶ月もかかってしまいました。

本当に申し訳ありません。

詳しい記録も必要かと思いますが、屏風岩東壁定着合宿については、時間記録は一部分だけ簡単に書こうと思います。

 

7月28日

山本は仕事の出張先から直接名古屋へ、先にホテルに着き買い出し等を済ませる。

夜になり他のメンバー到着。

 

7月29日

電車・バスを乗り継ぎ上高地へ。

この先どんな苦行が待ち受けているのかまだこの時は知る由もない。

 

上高地からベースキャンプの横尾まで歩きベースを設置。

このときなにやらヘリがバタバタと飛んでいた。

明日登る予定の屏風岩で事故が起こっていいたらしい。

明日のクライミングに備え、屏風岩の基部までの徒渉点を偵察に行っていた楠さんが、自然保護官の方達と一緒に双眼鏡をのぞき、ちょうど事故者を発見した。

明日B隊が登る予定の東陵で事故が起こっていた。

その後、東陵の上部をヘリがホバリングしていたので私たちはてっきりその日の内に救出が行なわれたのだと思っていた。

 

7月30日

夜明け前から出発。

途中の川の徒渉中にカッパが出たりと色々ネタに欠かない出来事のあったが、見るに耐えない絵になるので自粛。

T4尾根基部に近づくとだんだん空も明るくなる。

しかし屏風岩の壁の真ん中から私たちに向けて、ヘッドライトをチカチカとパッシングしているように見える。なぜあんな所でビバークしているのだろうと皆で不思議がる。

今思うと私たちのヘッドライトの行列をレスキュー隊と思い、必死にSOSを送っていたのだった。

 

T4尾根を登りT4に到着ヘリがブンブン飛んでいる、昨日事故があったばかりだから警戒してるのかな?

などどいいながら、A隊は富永さん今村さんの雲稜ルート、B隊は山本と楠さんの東陵ルートに分かれてクライミングを開始してしまう。

 

B隊の私(山本)と楠さんは、T4からT2までトラバースし、山本リードで2ピッチ登る。

そして2ピッチ目の終了点に着いた山本は何やら上の方で声がするのに気がつく。

そこでは今まさに昨日の事故者がレスリューされているところだった。。。

このままでは我々がレスキューの邪魔をしてしまうので、そこから速やかに下降開始。

A隊も1ピッチ登った所で下降したらしくベースの横尾で合流した。

レスキューはこの日のうちに完了したとの情報を得て、翌日は予定通り、A隊東稜ルート、B隊雲稜ルートに登ることになった。

 

7月31日

いよいよ問題の日?がやってきました。

ここからは私達B隊の記録を紹介します。

2:00起床

3:00出発

昨日と同じようにまずはT4へ

3:36徒渉点

3:56徒渉終了

4:47T4尾根基部

7:15T4到着

7:50T4出発

A隊よりB隊が先にT4に到着し登攀開始。

順調につるべで進む。

1ピッチ目は噂通り登りごたえのあるピッチだった。

写真がほとんど無いくらい順調に進み雲稜ルートを登りきる。

14:47最後の泥壁を登りきり雲稜ルート終了。

問題はここから発生した...。

壁を登りきった後、楠さんの疲労がピークに達し、また楠さんの集中力の糸がぷっつり切れてしまったのだ...。

ここからは、10分歩いたら10分休憩するペース....。

時間が刻々と過ぎて行く。

山本は下降用で500ccの水を確保していたのだが、楠さんは途中で水をこぼしたらしく、山本の水を共有することに...。

楠さんはバテテいるし楠さんに水を優先的に飲ませると、今度は私が水分不足になってしまう。。。

これはちょっとまずい。

なんとか楠さんを叱咤激励し屏風の頭に到着。

写真は、ピースはしているものの目が完全に死んでいる楠さん。

17:30屏風の頭到着

もし水に余裕が有れば楠さんの体力の状況からここでビバークとしただろう。

しかし水が無い。頑張って涸沢までは降りようと出発。

しかし山の神様はそんなに簡単に下山させてはくれなかった。

17:50屏風の頭出発

もうすぐ日が落ちる。。

18:24△2565.6

足元がおぼつかなく、集中力の切れた楠さんに何度も集中!集中!とかけ声をかける。

19:14分岐コル

尾根線から涸沢へ向かう分岐を過ぎるくらいにはもう真っ暗ヘッドライトで足元を照らしてあるく。

そこから20分ほど歩いたところで足が止まった。

登山道に雪渓で塞がれていた。

雪渓があるのは想定内だった。そのために軽アイゼンとアイスハンマーのも携帯していた。

しかし想定外だったのは雪渓部分に降り注ぐ落石の雨。

雪渓の上部が溶け、地盤を緩め、白いはずの雪渓が真っ黒になっている。

10秒おきにくらいに握りこぶしくらいの石が落ち、30秒おきくらいに大玉スイカ以上の大きさの石が落ちてくる。

これでは先に進めない。

幸い?目の前は雪渓なので泥の着いていなそうな雪を溶かして水を作る。2時間位かけて3リットルの水を作った。小さなコッヘルで作ったので時間がかかった。

作った水は濁っていて蛾とか入っていたのだが、水に飢えた我々にはどんな磨かれたミネラルウォーターよりも美味しく感じた。

水が作り終えると、分岐のコルまで戻りビバーク体勢に入った。

22:00再び分岐コル ビバーク開始

A隊や留守登山本部に状況連絡をし、翌朝は徳沢方面のパノラマルートから下山することとなった。

パノラマルートの状況のわからないので翌朝からA隊も下から上がってくる段取りとなった。

 

8月1日

5:30起床

朝になり楠さんの顔に生気が戻る。美しい朝。

A隊連絡を取る。

6:45出発

昨日のことが嘘のように快適な登山道を順調に進む。

9:30頃A隊と奥又白池分岐を少し過ぎたあたりで合流

奥又白池分岐で小休止

12:00横尾ベースキャンプ到着

ゆっくりくつろぎその後下山となった。

 

この屏風岩合宿は正直クライミングをした記憶がほとんどない。

クライミングを終えてからが本番だった。

山は下山完了するまでが勝負。

最後まで謙虚に集中力を切らさずに取り組まなくてはならない。

 

色々な方達に、ご心配、ご迷惑をかけてしまった山行となりました。

本当に申し訳ありません。

この経験も今後の山行に生かして山に取り組みます。

 

山本康介


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