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聴覚障害児教育の基礎知識

2018年11月29日 | 教育
 聴覚に障害のある子ども達。自分が受け
持たなければ,どのような状況を抱え,ど
のように理解し,指導につなげていくか分
からない世界である。

 基礎知識として身につけなければならな
いことは多分にある。その中で,この点は
知っていてほしいということに絞って伝え
るものとする。

 1 早期から音を聞かせる大切さ

 以前,聾学校の幼稚部に入る子で,言葉
の出る子は数名だったが,今は言葉の出な
い子が数名だという。これは早期から聴覚
の状態を測定できるようになり,対応がで
きるようになったためである。

 生後,1~2週間で新生児スクリーニン
グテストが行われるようになった。ABR
検査である。この検査では,内耳から脳ま
での,聴神経の伝達経路のどこに異常があ
るかを調べることができる。脳波系の電極
を頭に取り付け脳波の変化から判定してい
く。

 この早期の検査により,生後2~3か月
で人工内耳を付けることが可能となった。
人工内耳により音の信号を早期から入れる
ことができる。これが重要なのだ。

 発達の臨界期というものがある。脳は乳
幼児において急激に成長をする。その際,
「音」が入ることにより,「音を聞き取る
こと」「出力すること」を必要と認識し,
脳の伝達回路であるシナプスがつながって
聞く・話す部分を司る脳が発達する。

 しかし,音のない世界でそのまま成長す
ると,発達を逃してしまう公算が大きいの
である。

 2 聴覚レベルを知る

―80デシベルの音とは?―

 受け持った子が「80デシベル」という場
合,どのような状態であるのか。以下が目
安である。

・120デシベル:飛行機のエンジン
・100デシベル:電車の通るガード下
・ 80デシベル:地下鉄の車内
・ 60デシベル:普通の会話
・ 40デシベル:図書館
・ 20デシベル:木の葉の触れ合う音

 通常は20デシベル辺りまで聞こえる。80
デシベルの場合,友達同士の会話や,先生
の指示は聞き取れない,聞こえないという
ことになる。そのため配慮が必要となる。

 高等学校の支援活動で,難聴の生徒が在
籍していた。聞こえない場面では一人で出
てしまうなど,困難も見られるが,成績は
TOPクラスである。対応がきちんとなさ
れてきたことが伺える。特別支援にはあら
ゆる理解が必要である。

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