2020年2月にインフラファンドは高利回りだが好きになれないという記事を書いた。そこに書いた問題点等に対する考え方は今でも変わっていない。しかし、買い戻したケネディクス商業リートを合併発表により2ヵ月ほどで売った資金の投資先を検討した結果、初めてインフラファンドに投資することにした。
エネクス・インフラ投資法人への投資
インフラファンドへの投資を検討したのは6月下旬だが、3月決算企業の配当金も口座に貯まっていく時期でもあった。一方、バリュー株など私が好んで投資していた企業の株は既に上げていたし、他のリートも安値圏ではなくなっていて、今さら買い増す気になれなかった。
それで、発行済み投資口数の約32.5%もの公募による新投資口発行の発表で値を下げていたエネクス・インフラ投資法人に目を付けた。昨年5月末から今年8月10日までのエネクス・インフラ投資法人の日足チャートを以下に示す。
出所:株探(https://kabutan.jp/stock/chart?code=9286)
上のチャートで5月30日は分配金(3,000円)の権利落ち、6月16日は公募発表による下げ、7月3日は発行価格決定/受渡日による下げである。2月にも大きく下げているが、この時も約18%の公募をしていた。
公募は6月29日の終値90,200円に対して2.5%ディスカウントの87,945 円で行われた。しかし、私が取引している証券会社での扱いはなかったので、市場で拾っていくことにした。公募分が売却可能になった7月3日の値動きは、発行価格に対して意外と底堅かった。
それで翌7月4日に89,500円でまず2口買った。分配金は、利益超過分配金の加算額(主に減価償却費で非課税)を調整することで半年毎に3,000円で一定している。89,500円に対して年間6,000円の分配金なので分配金利回りは6.7%になる。
翌日以降は100円下げる度に2口ずつの買注文を出しておき、買い増していった。バーコードのような値動きなので指値に到達しても買えない日もあったが、結局、8月4日に89,200円で2口買えて計8口の保有となった。89,100円でも買注文を出していたが届かないまま小反発している。
なお、エネクス・インフラ投資法人は、名前から分かる通り、先日記事にした伊藤忠エネクスがメインスポンサー(運用会社に50.1%出資)である。伊藤忠エネクス等のスポンサー・グループからのパイプライン物件の取得により収益拡大(外部成長)を進めている。
例えば、今回の増資資金で高崎太陽光発電所Bを取得しているが、元々は伊藤忠エネクスが2021年12月に取得していた物件である(高崎太陽光発電所Aは今年2月に取得済み)。
2023年6月30日 国内インフラ資産の取得完了に関するお知らせ
2021年12月9日 群馬県高崎市におけるメガソーラーの取得に関するお知らせ
再エネ賦課金の状況
電気代の要素は以前の記事に書いたが、基本料金+電力量料金 ± 燃料費調整額+再エネ賦課金となっている。エネクス・インフラ投資法人に限らず、インフラファンドの分配金の元は電力使用者(消費者)が払う再エネ賦課金だ。
投資資金は必要になるものの、インフラファンドの分配金をもらうことで再エネ賦課金を間接的に取り返すことができる。これが今回初めてインフラファンドに投資した理由の一つでもある。電気代も高騰してきたし。
我が家の7月分の電気代は1万円ちょっとだったが、その内の再エネ賦課金は452円だった。以前はもっと割合が高かったが、下記の図の通り再エネ賦課金のkWh単価は2023年度(5月請求分)から大きく下がっている。
出所:下記の記事から引用
7月分の電気代は主に5月使用分なので、冷暖房を考えれば使用量はだいぶ少なめの月だった。平均使用量は5割増しと想定すれば、年間の再エネ賦課金の負担は452円×1.5×12で8,136円という計算になる。1口当たりの分配金は税引後で5,200円程度(半分強の利益配分のみ課税)になるので、1.6口あれば再エネ賦課金分を取り返せることになる。現在、8口保有なので、何年かあれば過去の分も含めて取り返せそうだ。
ただ、中期的にはインフラファインドの安定性は高いと思うが、長期的には利益超過分配の問題もあって収益構造や収益性がとうなるか分からず、投資口価格が値下がりして損する可能性もある。高い分配金利回りはその代償かもしれない。そのため、今回のような考え方での投資は必ずしもお勧めできるものではないと思っている。
今回の記事は最近買った銘柄の紹介になっていますが、投資の判断はあくまでもご自身でお願します。
【2023.12.14追記】
追加のニュースと追加購入した情報を追記しておく。
今年2月に風力発電設備を取得しているが、風力は冬場に発電量が多く、太陽光発電と相性が良い。そういうことが書いてある日経ビジネスに掲載された宣伝記事。
次は産経(夕刊フジ)の記事。再エネ賦課金を取り返すためとは言え、インフラファンドに投資しているのは片棒を担いでいるようで、ちょっと後ろめたい気もする 。
一旦92,000円台まで反発していた投資口価格は、11月決算の権利落ち後、分配金分以上に下げ、前に買っていた時よりも下がっていた。それで追加購入を始めた。11月30日に2口 87,400円から買い始め、12月6日に2口 86,000円で買った時点まで追加購入分が8口、前から持っていた分と合わせて計16口となった。特定銘柄への投資としてはさすがにお腹一杯になり、一旦追加購入は止めようと思った。
しかし、今回は前回よりも落ちるペースが速く、値幅も大きめに買い下がったにもかかわらず、それでもさらに下げ続けた。口座に貯まった9月権利確定分の配当金は尽ていたが、最近売った株の代金が残っていたので本日、12月14日に84,500円でまた2口買い増してしまった。それで、計18口(平均取得価格87,685円)、約158万円の投資額になった。今度こそもう止めるつもりだ。
なお、分配金は年108,000円の見込みで内半分は利益超過分配金で非課税として計算すると税引後で97,029円になり、利回りは6.14%になる。投資口価格の値下がりによる評価損はあるが、単純に利回りとして見れば十分だ。