胃切除後のビタミン B1 欠乏についての総説
Nutr Rev 2020; 78: 1015-1029
胃切除後はビタミン B1 欠乏により脚気になることがある。ビタミン B1 が欠乏すると、糖代謝の異常、赤血球の酸素運搬能の低下、神経伝達の障害、神経細胞死が起こる。
胃切除後のビタミン B1 吸収不良は Billroth II 法再建後で特に多い。これは、胃内の消化物が十二指腸を経ずに直接空腸に流入するためと考えられている。ビタミン B1 は十二指腸で最もよく吸収されるからである。
現在、各国のガイドラインでは胃切除後に栄養状態のフォローアップを推奨している。
胃切除後はビタミン B1 欠乏となりやすく、敗血症など重症の病態となった場合に顕在化する可能性がある。
ビタミンB1 欠乏は手術直後に出現することもあるし、数年経ってから出現することもある。食事を摂れている人でも起こり得る。
ビタミン B1 欠乏症を早期に診断し、ビタミン補充を開始することができれば、合併症や死亡率を減らすことができる。
胃切除後では食事指導を行い、長期に渡ってビタミンと電解質を含む栄養状態のフォローアップを行うことを推奨する。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32388553/