内分泌代謝内科 備忘録

内分泌代謝内科臨床に関する論文のまとめ

2022/01/30

2022-01-30 06:59:23 | 日記
New England Journal of Medicine の運動失調 (ataxia) についての教育動画。

運動失調があると歩行が不安定になり、歩隔(左右の足の間隔)が広く(wide based gait)なる。特に継ぎ足歩行 (tandem gait) が難しくなる。

ベテランの理学療法士に、膝踵試験では 1. 膝を打つ踵の高さが一定しているか、2. 膝を打つリズムは一定か、3. 踵は足までスムーズに脛に沿わせて動かせるかを左右で比較すると良いと教えて頂いた。

また、下肢の失調の有無を評価ときには、段差に片足ずつ足をかけて片脚ずつ荷重をかけて頂くと分かりやすい、患側または後方に転倒しやすいので後方から支えている必要があると教えて頂いた。

さらに、体幹の失調の有無を評価するときには、まず座っているときに動揺がないかどうかを見て、次に腕を組んで頂いて上肢の支えがなくても動揺しないか、さらに座った状態で下肢を挙上しても動揺しないかを見ると良いと教えて頂いた。

後日、外来で食事の支度をしている時に急に歩きづらくなったとおっしゃる 80歳台の女性を診察した。実際に歩いて頂くと、少し歩隔が広いが歩行時の動揺は明らかではなかった。

段差に片足ずつ足をかけて頂くと、右脚に荷重をかけた時に動揺があった。さらに、膝踵試験を行うと、右は膝を打つときの踵の高さがばらばらで、左はとんとんと一定のリズムで膝を打てるのに対し、右はと、とんとリズムが一定しない、さらに踵は足まで沿わせることができず途中でベッドに落ちてしまった。右下肢に失調があると判断し、画像検査を行うことにした。

結局、小脳梗塞だったが、歩いているところだけを見ると失調があるかどうかは分かりにくかった。

神経診察の技術の習得は座学だけでは難しく、優れた指導者のもとでベッドサイドで直接指導されるのが良いのだなと思った。