地理講義   

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11.百瀬川扇状地  扇端

2010年11月04日 | 地理講義

百瀬川扇状地に関しては、左カラムのカテゴリー[重要な連絡]を参照。

百瀬川扇状地扇端
扇端では扇央で伏流したいた水がわき、扇端集落ができる。
湧水地点を物置の中におけば、雨雪をしのぎつつ、地下水を利用できる。
地下水はここから地表を流れ、水田で利用されて、琵琶湖に流入する。
別の琵琶湖岸の集落のことだが、琵琶湖に流れる河川を魚が遡上して台所に来て、晩のおかずになる。


(2005年)


2003年12月1日
寒い日でも、百瀬川の地下水温は年中15℃。冬は暖かいし、夏は涼しい。
台所で野菜・食器を洗わずに、わき水を利用する。
全国どこの扇状地の扇端でも、このように、わき水が利用される。


(2003年)


わき水
扇端では、わき水が低地に流れて、池沼になる。池沼の中でもわき水が多い。
このような低地に集落をつくると、わき水に大雨が加わると、大きな洪水被害を受ける。
扇端の池沼は、さらに下流にある水田地帯の水源になる。


(2004年)


井戸
扇端集落のすべてが、いつでも豊富な湧水に恵まれるとは限らない。
集落成立とともに、共同利用の井戸も使われていた。
建物の構造と井戸の形から、扇端集落の井戸の歴史が分かる。
● つるべ井戸
縄の先に水汲み桶を結んで、井戸の底にたまった水を汲み上げる。
縄で水桶を引き上げる労力は並大抵ではない。
井戸小屋の天辺に滑車を取り付け、桶を2つ使ったり、一方に錘をつけたりした。
● 手押しポンプ
20世紀最大の発明。5mの深さまでは、この手押しポンプで水を汲み上げた。
人力ながら、大量の水を、短時間で汲むことができた。
水をバケツに入れて運んだり、ポンプの鼻先から竹製パイプで自宅まで水を送ったりした。
● 電動ポンプ
地下水を井戸から汲み上げたり、地下水の水脈から汲み上げたりした。
住宅内外に配管をめぐらせて水道を設置することができた。
どこでも蛇口をひねると、水道を使うことができた。都会風の便利な生活が実現した。
欠点は、使いすぎると、次の雨まで水が枯れること、大腸菌などに汚染しやすいことである。


(2004年)


大沼
扇端集落のできる前、湧き水が豊富な低地であり、大きな沼があったのであろう。
滋賀県道335号線は、日本海岸と京都・大阪を結ぶ、重要幹線道路である。
同時に、扇端集落の住民にとっては、毎日利用する生活道路である。
右折すると、大阪の不動産業者アドミールの、扇央住宅分譲地である。
直進すると、地下水利用の融雪パイプの設置工事中である。
県道335号線は、冬には凍結・積雪で交通事故発生率全国第1位の年もあった。
湖北バイパスの建設進行中に、335号線に融雪パイプの建設は、遅すぎる。
しかし、大沼の人たちの生活道路としては、融雪パイプの役割は大きい。


(2004年)


古い扇端集落
新保の扇端集落である。板壁と土壁の住宅だが、板壁が目立つ。
琵琶湖沿岸の商家のつくりである。
道路は狭く、自動車のすれ違いが難しい。
しかし、自動車も歩行者も通る、狭い生活道路ながら、すでに融雪装置ができている。



(2003年)


融雪用地下水汲み上げポンプ
大型ポンプで地下水を汲み上げ、融雪装置に配水する。
地下水の水温は年中変わらず、15℃前後であり、融雪には十分に適している。
地下水利用の融雪装置では、地下水あるいは湧水の枯渇が問題になるが、百瀬川扇端では問題にならない。それは、扇端集落と琵琶湖との高度差が15mであり、もし地下水が枯渇しても、琵琶湖から逆流した地下水をポンプで汲み上げることができるからである。
扇端し集落の井戸は10mよりは浅く、百瀬川の伏流水か湧水に頼っている。
融雪装置のポンプが、20~30mの地下水を汲み上げる限りは、集落の井戸への影響もない。


(2005年)


水田
扇端で湧き出た地下水は、扇端下流に広がる水田地帯の重要な農業用水となる。扇端集落にも水田地主がいる。水温・水量が一定であり、最高品質の米が収穫される。


(2005年)


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