地理講義   

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32.中国の農業 農業地図

2011年02月16日 | 地理講義
中国の農業について、最大の境界線は[チンリン=ホワイ線]である。チンリンはチンリン山脈、ホワイはホワイ川である。
地図ではx-yの青線で示される。年降水量がほぼ1,000mmの等雨量線とほぼ一致する。チンリン=ホワイ線の年降水量は不確実であり、センター試験(共通一次試験)の正答は、30年前には500mm、20年前には750mm、10年前からは1,000mmとなった。データが不確実であり、よく分からないのだが、世界的に米作が1,000mm以上とされるので、それに一致させたのであろう。

チンリン=ホワイ線よりも北は華北で、小麦・綿花などの畑作地帯である。気候はBSである。黄河流域であり、灌漑農業が盛んになったが、黄河の流量が減り、水の流れない日数が年によっては年間100日を越えたことがあった。
小麦は温暖な華北では冬小麦が中心である。東北地方では寒冷のため、春小麦が栽培される。

チンリン=ホワイ線よりも南は華中である。年降水量は1,000mm以上、米作地帯であり、その中心は長江流域である。気候はCfa(温暖湿潤気候)で日本と同じ。
さらに南の華南は南嶺山脈以南で、米作を年2回繰り返す2期作地帯である。米が2倍の生産量になることを前提として人口が集中する。人災・天災があって2倍の米は生産できない年があり、米作農家は高価な米を買わざるを得ず、貧困地帯になる。



チンリン山脈(秦嶺山脈)
秦嶺山脈は甘粛省から河南省西部に及び、平均高度は2000~3000mである。最高峰太白山は3767mである。トキやパンダのような稀少動物が生息する。中国軍の核ミサイル450発は秦嶺山脈の地下に保管されている。

ホワイ川(淮河)
黄河と長江の間を流れる河川。黄河の洪水がホワイ川(淮河)下流を止めて、黄河と同時に大洪水をくりかえしてきた。毛沢東の共産党政府の時代に、ホワイ川上流にダム建設や植林、下流で排水路整備が進められた。その結果、洪水の頻度は減った。しかし、1975年に板橋ダムが大雨で決壊、下流のダム群も押し流し、大洪水を起こした。治水の難しい荒川である。

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黄河の断流


黄河の断流日数の増加

中国政府は黄河の断流をなくすため、灌漑用水の利用規制、ダムの計画的放水を実施した。その結果、2000年以降の断流は解消したが、流量は少ない。

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