モジリア

74歳のブロガー。ギネスを目指す!(^^)!
おじさんが読む「赤毛のアン」

豆本エッセー かたくりの花

2013年03月17日 | 豆本

ーカタクリの花ー

 カタクリの花は千葉が南限、

柏市の東武野田線逆井駅近くにカタクリの群生地がある。

一昨年、地域新聞に紹介記事を書いた。

 

カタクリについてあまり調べないまま書いた記事、

駅近くに如何に可憐な花が楽しめて、

県指定の文化財になっていることぐらいしか話題がない。

カタクリ・ハイキングロードをメインに記事を書いた。

 

昨年、千葉市泉自然公園に自生するカタクリの花について

同じく紹介記事を書いた。

 

一年経つと記事の書き方も進歩したものだ、と思った。

見たまま、聞いたままを中心に記事を書いてきたが、

最近になって少し調べて書くようになった。

調べて書く、面白さが少しずつ分かってきた。

 

 カタクリの花は北斜面の落葉樹林に咲くのが

カタクリの花の特性で面白いところ。

 

落葉樹が春を感じて動き始める少し前、

落葉樹に先駆けて発芽する。

1年目は松葉のようなひょろひょろとした丸い一本の葉がでる。

楕円形の葉の形が整うのは2年目以降、

それも1枚葉、1枚葉は7、8年続き2枚葉になると花を付ける。

 

カタクリの花は落葉樹がまだ眠っている時に芽をだし、

葉を広げ光合成をして、落葉樹が生い茂るころ、

カタクリの花は活動を終わらせ、

あたりが少し暖かくなる彼岸のころ、カタクリは花を咲かせる。

 

北斜面にうつむき加減に咲く花は

気温15度ぐらいになるまで開かない。

 

丁度、昆虫が動き出す温度と同じ、

蜂や蝶に蜜のありかを示す蜜標の模様がある。

 

花によって絵柄が違う、花の個性が表現されている。

受粉を助ける昆虫の目先を楽しませるためかも知れない。

うつむき加減に咲くのは姿勢を維持するための養分を節約するためらしい。

 

一週間ぐらいで花は終り、5月になると実が膨らみ種子を散らす。

種子にはアリが好むエライオソームと言われる物質が付着している。

 

アリはカタクリの種子を見つけると好みのエライオソームを

その場では食べない、巣に持ち帰る。

 

アリがその場で食べない、巣に持ち帰る習性をカタクリは巧みに活用して、

種子を広範囲に分布させる。

北側斜面の上部まで自生しているのはこの為である。

 

 貯えた栄養分は来春まで極力節約する。

そのために夏の温度が上がらない北側斜面を選んでいる。

ほどほどに水分を補給、

さらに余計な水分を貯えないで済む斜面の地勢を巧みに活用している。

 

 発芽しても降り積もった落ち葉を持ち上げるほどの力はない。

したがって人が落ち葉掻きをするような里山であることが必要だ。

 

近年のエネルギー事情から里山の落ち葉掻きの必要性は全く失せている。

だが、防災面からも自然林の効用なども叫ばれてきた。

カタクリの花は可憐さをアッピールすることで

人々を里山の保全に向かわせている。

 

共存しなければ生きて行けないカタクリの花、

必要とされるものを提供することで生き続けられている。

蜜やエライオソームのような物質だけでなく

“可憐さ”という慰めを提供することで環境を整えている。

 

共存の在り方が問われている今日、

カタクリの花が指し示していることに注目したい。