モジリア

74歳のブロガー。ギネスを目指す!(^^)!
おじさんが読む「赤毛のアン」

豆本小説 弥生三月

2013年03月13日 | 豆本

ー 「弥生三月」ー

 茉子ちゃんは間もなく五年生になります。

お母さんと船橋駅まで一緒でした。

「茉子ちゃん、

ここから一人でお爺ちゃんとお婆ちゃんの家へ行けるでしょ!」

と云って東武野田線船橋駅の改札口まで送ってくれました。

茉子ちゃんはお父さん、お母さんと一緒に

何回もこの改札口を通って

お爺ちゃんお婆ちゃんの家へ行ったことが何度もあります。

 

でも、ここから先、一人で行くのは初めてでした。

改札口を通って階段が二つとエスカレーターがあります。

何時もはエスカレーターで駅のホームに出ます。

でも今日は階段を一段一段登ってホームへでようと、思いました。

何時もだったら、

お父さんか、お母さんの後について行けば良いのですが、

今日は自分で決めなければなりません。

 

ホームに出ると、大船から乗ってきた電車のホームが下の方に見えます。

「そうだったのか……」と始めて見たような気がしました。

「いつも見ていたのになァ」と思ってみると、何時もの通りなのです。

 

「三つ目の馬込沢で降りるのだ!」と、

茉子ちゃんは小声で云いました。

七番線にも八番線にも電車が止まっています。

人が多くいる八番線の電車に乗りました。

間もなく電車は発車、止まる駅を数え、

新船橋、塚田、次が馬込沢と確認して、馬込沢駅で降りました。

慈祐苑行のバスに乗るのですが、

お母さんがメモ用紙に書いてくれた「慈祐苑」の字と

バスに書いてある字を確かめてからバスに乗りました。

 

グリーンハイツで降りると、お婆ちゃんがバス停に待っていてくれました。

茉子ちゃんはお婆ちゃんの顔を見るなり、

「お婆ちゃん!」と云ってかじりつきました。

「茉子ちゃんよく来てくれましたね!」とお婆ちゃんは云いました。そして、

「五年生になるって、

こういうことが一人で出来るのね」とお婆ちゃんは云いました。

 

「そうか、私は五年生になるのだな!」と思いました。

「一人でできる!」ってなんて素敵なことなのでしょう。

「一六号棟の503!」

茉子ちゃんは先に階段を昇って503まで来ました。

ドアーをトントンと叩くとお爺ちゃんがドアを開けてくれました。

 

「茉子は一人で来たのか!

えらいなァ」と云って褒めてくれました。

「これから5年生になるんだなァ」とおじいちゃん、

 

「うんうん」と茉子ちゃんは重ねて返事をしました。

「じゃ、5年生の夏休みは大船から一人でおいで……」

茉子ちゃんは心の中で、

「大船からか……駅が沢山あって間違わないかなァ」と思いました。

お爺ちゃんは、

「夏休みは一人で来るんだよ!」と云いました。

茉子ちゃんはチョッと不安でした。」

でも、

「挑戦してみよう!」と決心しました。