トゥーン便り

トゥーンの街で起こったこと、トゥーン昔話などなど

冬の散歩

2009-01-13 02:05:11 | その他
 週末 下界は霧の中氷点下、暗く寒い。
案の定 夫が「青空を見に行こう。」しかたがない、家の中は暖かいのに。
「どこへ?」
「Kanderstegカンデルシュテークで散歩しよう。」
「散歩なら 普通の靴で大丈夫?」
「問題ない。10分で支度できる?」
そういうことは慣れているので 15分後には電車の中だ。

 Kanderstegの駅からバスでSunnbueel行きのケーブルカー乗り場へ。
すでに雲ひとつない青空、日は燦々。
この時点で私も気がつけば良いものを、人任せにした私が悪いのだが。

 Sunnbueel標高1920mから Gemmipassまで歩くという夫。
目の前にはなだらかな道、もちろん どこも雪で覆われている。
案内表示には3時間コースとある。
なんとかなるだろうと歩き始める。
クロスカントリーやソリを楽しむ人たちもちらほら見られる。
だんだんと上り坂になってくる。
ここでヤット気がつく私がアホなのだが Gemmipassは標高2314mなのだった。
要は 登らなければならない。
夏場ならまだしも いくら柔らかいとはいえ雪は雪。
「途中Schwarzenbachのレストランでお茶でも飲もう。」しかたがない、引き返すのも馬鹿らしい。

岩場を抜ける時は陰の中、 風の音がゴ-ゴー。

Schwarzenbachに到着、屋外のテーブルは日が射し暖かそうだが、目の前に完全に陰を落とした岸壁が立ちはだかっている。その圧迫感にどうにも我慢ならず、「とにかく 目的地に行く。」と私。「オボマルティン(麦芽飲料)が飲みたい。」という夫を無視し歩き続ける。

すでに踵には水ぶくれができているようだ。
「散歩といったから山靴も履いていないのに。どういうことよ、これは。」と夫を責めつづける。

あまりの剣幕に恐れをなし、ケナゲに夫 背中を押すわ、手を引くわ、いろいろ試みてはいる。

やっとついたGemmipassだが、如何せん、3時半という時間ではすでに陰の中。
遠景のアルプスは夕焼けに映え素晴らしく美しい、が怒り狂っている私には成すすべなし。
「こんな陰の中でお茶なんか飲まない。」と言い張り、下りのケーブルカーでLeukerbadへ。このLeukerbadは分不相応な市庁舎、プールを建設、大赤字で問題のところだ。村の中心のバス停を見落とし、村はずれまで歩く。Leuke駅までのバスは15分も待たなければならない。寒い。
やっとバスに乗り込むが、満員で座る席もない。
駅に着くが、次の電車まで45分待たねばならない。
駅前のレストランは日曜日で閉まっている。
駅は待合室のみで何もない。

とんでもない。「どこでも良いから次に来る電車に乗る、ローザンヌだろうとどこだろうとこの寒さよりは増し。」

結局 ローザンヌ行きに乗り、Sierre駅でまたLeukeに戻る。
Sierreの待ち時間8分で 夫「何かアペロのものでも買ってくる。」と走り去る。

駅の売店で 焼きたてのパンとチーズ、ハム、白ワインを買って、 大急ぎで戻ってきた夫に いつまでも怒っているわけにはいかない。

暖かい車内で 乾杯と相成った。