気まぐれ徒然なるままに

気まぐれ創作ストーリー、日記、イラスト

Stay With Me 9

2019-01-12 09:30:00 | ストーリー
Stay With Me 9















あのプロポーズから一週間


たまに箱を開けては
あの素敵な寺崎さんが目に浮かぶ



“結婚する”

私は即答した




それから何かが変わった訳ではない
でも見える世界が変わったような気がする


言葉では表せないけれど



ーーーーー





寺崎さんを恵美に紹介するため渋谷駅のハチ公前で待ち合わせた



恵美はまだ到着はしていなかった


「理奈ちゃん、ちょっと電話がかかってたからかけ直してくるね。」


彼は少し離れた所で電話をかけ直しに離れた






その間に恵美がやってきた


「あれ? カレシは?」


「あっちで電話してる。」

少し離れた所で電話で話をしている寺崎さんの後ろ姿を指さした


恵美は目を丸くした

「なんだ(笑) やっぱイメージ通り(笑)」



私も寺崎さんの後ろ姿を見た



「それはおやじって言ってたこと?恵美のタイプではない?」


「ないよ!あ、理奈のカレシなのにゴメン (笑)
アタシはやっぱり可愛い男が好きだな!歳下がいいもん(笑)」


「そっか(笑) 」



恵美は行さんの方を見ながら
あの疲れた感が滲み出ているカレシが素敵~?と不思議そうに言った


疲れた感?
そうかなぁ…?



「でも人それぞれ好みはあるよねっ!(笑)」
と励ますように私に笑いかけた


「ごめん、お待たせ!」

寺崎さんが私達の後ろから声をかけてきた



「あ、ううん。こちら友達の原 恵美さん。
こちら私の彼で寺崎 功さん。」



「原さん、はじめまして(笑)」

寺崎さんは爽やかな笑顔で挨拶をした



恵美は寺崎さんを見て驚いた表情のまま固まった

「 は、はじめまして… ちょっと… すみません 」

恵美が私に小声で話かけてきた


「 (カレシってあっちかと思ってた!) 」



恵美がコッソリ指さした先を見たら

本当に疲れた表情で電話をしている眼鏡をかけた真面目な感じの男性がいた


確かに年齢は彼と変わらない感じだけど …



「 (違う違う) 」


「 (聞いてないよ!イケメン苦手だよっ) 」


恵美はチラッと彼を見てぎこちない笑顔を作った



「 …すみません 」




恵美のその “すみません” って

ずっとおやじおやじと言ってたことについてなのかな(笑)




「じゃあ行きましょうか(笑) 店の予約はできてますから(笑)」

爽やかな笑顔で恵美に話しかけ腕時計を見た




「 …イイ男 」

恵美のその呟きにドキッとした






恵美はまばたきするのも忘れたかのようにずっと彼を凝視している

そんな恵美を見たことがなくて可笑しくなってきた


寺崎さんもあまりにも恵美に凝視されて
ぎこちない微笑みでなんとか普通に会話をしようと頑張っている

それも可笑しかった



「えーっと 、、二人はいつから友達なんですか?」


「小学校の頃からですっ 」
ガチガチになってる



「さっきから何で緊張してるの?(笑) 」


「 だってさっきの!…」



さっきの?

さっきのおじさんのこと…?



「 …何でもないです… 」苦い笑顔を作った


「原さん。僕達、結婚しようと思ってるんだけど、」

優しい笑顔で私を見た



「結婚ですか!?」
恵美はビックリした


「彼女の友達として、どう思いますか?」

両肘をテーブルに乗せ今度は恵美に優しい視線を向けた





「僕、おっさんでしょ? 厳しいかな… 」



「おっさんだなんてそんな!全然… ほんとに … 全く…」

恵美はまるで自分がプロポーズされたみたいに顔を赤らめてうっとりした表情になっていた



歳下男性が好みの恵美は

以前まで
“15も歳上なんてもう完璧におやじだよぉ”
なんて言ってたのに?




食事を終え店を出て
寺崎さんが恵美に話しかけた


「まだ時間が可能なら、この後飲みに行きませんか?行きたい店はありますか?特に無ければ僕が決めても良いかな。」



私は彼のこういうところが好き

必ず先に意見を聞いてくれて
お任せしたらちゃんとリードしてくれるところ

これは 親しくなった時からずっとそうだった




一緒に行ったバーに着いた



彼との交際が始まった夜
初めてここを訪れたあの店


なんだかとても懐かしい…



彼はドアを開けて私達にテーブル席の椅子をひいてエスコートをする

彼はいつも私にそうしてくれている





メニューを恵美に差し出す

「原さんは何にしますか?」



私より恵美を優先する彼をちょっと誇らしく思えた


「え、あっ、私は理奈と同じで、 、」


「私が決めるの?」 まだ彼に緊張してる?


「寺崎さん、モデルとかやってるんですか?」


「えっ? はははっ!とんでもない!そんな格好良い仕事じゃないですよ。表に出ない地味な裏方仕事です(笑)」


「裏方って、もったいない… 格好良いのに… 」



「彼女が僕の唯一のファンでいてくれたらそれでいいんです(笑)」

そう言いながら私に微笑んだ




「はぁ… そうですか… 」

恵美はウットリした溜め息混じりで彼を見つめていた



完全に恋をしてるような
こんな恵美を見たのは初めてだった



「寺崎さんは理奈のどこが好きなんですか?」


「全て(笑) と言うか好きに理由はないよ(笑) 原さんもそうじゃない? 」


「 …確かにそうですね… でも私はダメな男ばかりでしたよ(笑)」



「ダメな男とは?」





恵美の今までの彼氏の話になった



「なるほど。なら僕もダメな男だよ(笑) 」


「どこがですか?
非の打ち所がないですよ!」

驚きながら聞き返してる


「つい悪い方に考えて勇気が出せなくて(笑)
理奈ちゃんに嫌われるのが恐くてなかなか連絡取れなかったのもそうだよ(笑)」


そこがダメなところ?


恵美は一瞬 寂しそうな表情をして直ぐに笑顔になった

「ほんとに好きなんですね、理奈のこと。」


「ん… そうだね。はははっ(笑) 」

私の顔を見ながら照れて頭を掻いた



「今までもモテてきたんでしょうね(笑)」

そりゃそう思うよね



「いやいや全く(笑)地味で冴えない男だから(笑)」


その言葉に恵美は間髪入れず

「それはないでしょ!」と返した



「理奈ちゃんと釣り合いが取れる男になろうと僕なりに密かに努力してきたよ。」




努力? そんなこと私、聞いてない

「努力ってなに?」びっくりして慌てた


「それはまた今度、、ここで言うのは恥ずかしい(笑)」



恥ずかしいこと? 余計気になる、、


「努力なんかしなくても十分なのに…

彼女のために努力って、私が付き合った男にはそんなヤツいなかったな(笑) 」



「原さんには原さんを大事にしてくれる男が現れると思うよ? ね?」

私に同意を求めるように彼が私に微笑みかけてきた



私の頭の中は
釣り合うよう “努力した” という言葉でいっぱいだった


その時
恵美は残念そうな笑顔で彼を見ていた








翌朝


気づいたら恵美からLINEが来ていた



『ちょっとー!あのイケメンの彼にビックリだよ!
なんなの!? 何で言ってくれなかったの!?

言うこともすることも全てパーフェクトじゃん!まるで王子!先に言っといてよ!びっくりしたよ!』




怒ってるの??




「誰から?」 寺崎さんが LINEを覗いてきた



LINEの文面を読んだ寺崎さんは吹き出した

「ふははっ(笑) 僕が王子?やっぱり原さんって面白い子だね(笑)」


「 …これ、私が怒られてる?」

「怒ってないよ(笑) 朝食にしよ?」

寺崎さんはキッチンに向かった





また恵美からLINEが入った


『彼となかなか会わせてくれなかった理由がわかった。

何もかもスマートで格好良くて大人で、なのに年上ぶってもないし誠実で、可愛いところもあって。

理奈のこと本当に大好きで、理奈しか眼中になくてさ。誠実で一途に大切に想われてる理奈が本当に羨ましいと思った。

私が付き合ったのって浮気男とか自己中なヤツばっかりで子供みたいな男だったんだなって思い知らされたような気になった。

本当にあんなに揃ってる人がいるんだって知って羨ましく思った。

地味で奥手で真面目なおっさんのイメージしかなかったから本当に驚いたなぁー(笑) 』




なんかこれって …




「 早く食べよ? 」爽やかな笑顔で手招きをしている



「うん… 」
LINEの文面が気になりながらもテーブルについた



朝食はいつもの日本食

食事をする寺崎さんを見つめた



確かに…
誠実で優しくて大切にしてくれている
それは出会った時からずっと変わらないし

こんな人 他にはいないと思う


全て揃ってる って言葉 確かにそうだと思う



感じたことを言葉で伝えることも増えてきて
最近は色気まで出てきたような気もするし…

私には色気がないのに?




やっぱりこの人は誰が見ても魅力的な人なんだな

クリスマスにカフェで彼を見ていたあの女性達を思い出した


そんな寺崎さんはいつも私だけを見ていて
私も寺崎さんだけを見ていて


それが当たり前のようになっていた ーー


この人は私の何が良いんだろう




「味噌汁 薄かった?」

「うぅん、美味しくできてる」笑顔を返す


こうして朝ご飯は必ず彼が作ってくれるし家事も当たり前のように一緒にやってくれる


独り暮らしが長かったとはいえ分担してくれてる

本当に文句のつけようはない ーー





“羨ましい” って …

恵美は人を羨むような性格じゃないと勝手に思い込んでいた


なんとなくトゲを感じるあのメッセージが気になった




ーーーーーー






三人で会ってから

恵実からLINEが頻繁に来るようになった



今 カレシと一緒 ? とか
カレシは何の仕事しているの? とか

彼のことが知りたい内容ばかり …



『 今度の週末、時間ない? 』



なんだか嫌な予感




『 予定あるの 』


『 また三人で会わない? 』



え …



『 どうして? 』


『 またあの男前の顔が見たい!(笑) 』





恵美は昔から感情に正直な子だった

そして積極的

嫌な予感がする





『 彼のこと、 どう思ってるの? 』


『 めちゃくちゃ素敵な人だと思ったよ! 』

『 それだけ? 』




少し間が空いた




『 … また会いたい 』




あぁ やっぱり

でもどうしたいの?

私の彼だよ?





まさかだけど

彼とどうにかならないかとか思ってないよね




『 前に、羨ましいって書いていたのはどういう意味だったの? 』



『 言葉通りだよ(笑) ラブラブなのが伝わった(笑) 』




ほんとにそれだけ?

恵美、寺崎さんに恋しちゃったんじゃ …




でもそれを聞いて “ そうだ ” と言われても困る



『 今週末、会おうか 』


恵美と会う約束をした






ーーーーー





「 寺崎さんは? 一緒じゃないの? 」

明らかに残念そうな表情をした



「 彼は予定があって出かけてる。」



「 私も会いたかったな … 理奈はいいな …
あんな素敵な人といつも一緒にいられて 」



「 恵美。私に話があるんじゃないの? 」



「 … ごめん。 」



「 ごめんって、もしかして 」



「 うん。」




なんで … ?




「 でもね!理奈から奪ったりしないよ(笑) 」

「 じゃあなんで言うの? 」


「 だって … 心が恋しちゃったんだもん … 」



そんな …



「 彼と私、必ず結婚するから。」

恵美の表情から笑顔が消えた




「 … わかってるよ、、でも、あの日から毎日毎日思い出しちゃうんだもん … 」



涙ぐんでる

そんなに … ?



それ以上 私は何も言えなくなり
結局 恵美とは話にならず帰ることになった




ーーー モヤモヤする





帰宅した時はまだ寺崎さんは帰ってなくて
ずっとモヤモヤした気分で帰りを待っていた











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