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ボトルアクアリウム(水草の植え方)

2012-10-02 18:54:47 | ボトルアクアリウム

ボトルアクアリウムは見た目は簡単そうに見えますが水の量が少なく濾過装置も無いので難易度は高くなります。でもポイントを押さえると水草初心者でもボトルアクアリウムを楽しむことができます。


 



水草について

水草といえば金魚藻のような草体を想像しがちですが 水辺に生えていて水中でも育つことができる植物も水草として扱われ流通しています。陸上ではしっかりとした葉や茎をしていますが水中ではやわらかく変化して水の中での生育に対応しているので植物によっては全くちがう種類に見えることもあります。


水上葉と水中葉

・有茎草は水上葉の状態で販売されている場合と水中葉で販売されている場合があり 水上葉も水槽に入れて販売されているので 水槽に植えてある=水中葉 とは限りません。水上葉の場合は新芽として出てくる水中葉を育てます。水槽環境が整っていればすぐに水中葉を展開しますが ボトルアクアリウムでは水上葉を植えると新芽が出る前に枯れてしまう確率が高くなるので 水槽で育てた状態の良い水草を使うと育てやすくなります。 



左 ハイグロフィラ ロザエネルビス
中 ルドウィジア レッド
右 ロタラ インジカ

それぞれの水草の左側が水中葉 右側が水上葉






↑ 水中で撮っていますが ハイグロ ロザエの水上葉です。


↑ こちらは ハイグロ ロザエを肥料多め CO2添加で育てた水中葉です。水から出すと茎や葉が柔らかいのでしんなりしたようにみえます。





肥料あり CO2添加ありで育てた水中葉を 肥料なし CO2添加なしの水槽に移して育ると新芽が徐々に小さくなりますがこの水草の特徴の葉脈の白い色がはっきりしてきます。



水上葉はボトルアクアリウムでは育たないという訳ではありませんが水槽で育てられた水草を使う方が枯れずに育つ確率が高くなります。


・グラスウールに植えられているポット入りの水草は グラスウールを完全に取り除いてから植えます 有茎草の場合は水草の長さが十分であればどっちみち下部は不要なので根元から切り落としてしまっても構いません。またファーム物は薬品(農薬)で処理されている場合があります。水で洗うだけでは残留しているので エビなどに悪影響があり注意が必要です。

・ボトルアクアリウムの水温は室内温度に依存しているので 低水温に耐えられる水草を使う必要があります。水温が低いと成長もそれなりですが枯れずにキープできていれば 水温が上がってくると再び成長を始めます。

・水草はいきなり大量に植え込むと育ちません まとめて枯れてしまうこともあります ボトルのセット時は少な目で始めます。 


・ボトルアクアリウムで育てられる水草は? 初心者にとっては一番気になるところですが  瓶の大きさや置き場所など それぞれ環境が違ってくるので具体的な名前をあげることができません。何より同じ水草でも育った環境によって大きく違ってきます。CO2添加無しで育つ水草で低温に耐えられるといわれている水草を選んでみてください いろいろ試しているうちに水草に対する知識も増えるはずです。
有茎草は水槽内で増えたものを植えると育つ確率が高いのですがショップではあまり見かけません。小さくてもいいので水槽を用意して水草を植え 増えた水草をボトルアクアリウムに使うと成功率が上がります。1匹では買いにくいエビなどもキープしておけますね。気に入った瓶が手に入ったら水槽の水草を使ってささっと作ることもできます。水替え用の水も確保できるので ボトルアクアリウムを長期維持したいのなら これぐらいの意気込みがあってもいいと思います 水槽の置き場所が必要ですが…。

ちなみに私が住んでいる大阪では ハイグロフィラロザエネルビス ロタラインジカ レッドルドウィジア は屋外で越冬します。うちではロタラもルドウィジアも瓶の中でそれなりにキープできていますが 残念ながらこの水草の特徴である赤い色は抜けてしまいます。


苔の仲間のウィローモスとシダの仲間のミクロソリウムはおすすめです。成長は遅いのですが多少暗い環境でも確実に成長します。



低床について

・大きく分類すると砂利とソイルがあります ソイルは肥料分を含んでいるので水草が育つ前に藻類が爆発的に増えてしまう場合があります。初心者にとっては対応が難しくリセットするしか方法がないので 砂利系で育成のノウハウを蓄積してからソイルを試されるといいでしょう。通常砂利とソイルは混ぜては使いません。
砂利系といえば大磯(細目)ですね 洗えば何度でも使えて経済的です 私は他に富士砂 焼赤玉土なども使っています。

・砂利はたくさん入れたくなりますが 多すぎると水量が減り水草がすぐに水面に届いてしまいます 少なすぎても問題はありますが ボトル全体のバランスを考えて量を決めます。 私は(ボトルの大きさにもよりますが)3~4cm程度敷いています。



植え方

・有茎草は水深に合わせ水面まで少し伸びしろを残して寸法を決めて下部を切り落とします。





切る場所は節の下1cmぐらいのところです。植えるとやがて発根するので根が無い状態で問題はありません。



一番下の節は砂利の中に埋めるので一番下の節から出ている葉は葉柄を少し残して切り取っておきます。少し葉を残しておくのがポイントで植えた水草が抜けにくくなります。水草はピンセットで一番下の茎部分をつまんで砂利に差し込みます 根は節から出るので必ず1節は砂利の中に埋めるように植えます。



節から下はやがて枯れるのでこの部分なら茎が傷ついても問題はありません。

・ウィローモス は流木にうすく広げるように少な目に置いてテグスでやんわりと巻いて固定するのがコツで 成長するとテグスはかくれて目立たなくなります。木綿糸だとウィローモスが流木に張り付く前に糸が腐って切れます。





・ミクロソリウム は砂利に植えても育ちますが流木にテグスで固定して育てることもできます 流木付けだと簡単にレイアウト変更ができて便利なうえ 藻類の発生が止まらなくなったときに流木ごと取り出して避難させておくことができます。

・マツモ(下の画像の中央後方) もおすすめの水草です 本来は瓶に入るサイズの水草ではないのですが 厳しい環境で育った細いひょろっとした草体を使います。根が出ない水草なので適当なところで切って砂利に差し込みます 日本の水草なのでもちろん低水温でも大丈夫です。




流木、石

・ボトルアクアリウムでは植える面積が最小なので ただ水草が植わっているだけの見栄えのしない状態になりがちです 流木や石を置いて 手前に前景草 後ろに丈が伸びる水草を植えるとメリハリが出るのでおすすめです。流木はショップでいちばん小さくて虫食いのボロボロの形状のを買ってきて さらにノコギリで小さく刻んで使います。 切り口の角をナイフなどで削り 数か月間水に浸けてアク抜きをしてから使用します。

・拾ってきた石は水質を変える(硬度を上げる)場合があるのでどんな石でもOKという訳ではありません。水質は見た目では分からないうえじんわりと変化するのでのでやっかいです。熱帯魚ショップで販売されているものか確実に水質に影響を与えないと分かっている石以外は使わないほうが無難でしょう。



肥料

水草の成長がゆっくりなので肥料を入れたくなりますが園芸用の肥料は水草用としては初心者には扱いきれません。安価なのでつい使いたくなりますがコケ(藻類)の発生の原因になり エビなどの生物に悪影響がある肥料もあります。ボトル内の状態が安定しているときに水草専用の肥料(栄養剤)を規定量の半分程度から始めて様子を見ながら施肥します コケ(藻類)が出たらすぐに水替えです。



肥料と二酸化炭素の供給源

呼吸をして糞をする エビや魚のことですね

・エビは二酸化炭素と肥料の供給源だけでなく発生した藻類を食べるという重要な役割があります。ヤマトヌマエビ ミナミヌマエビ ビーシュリンプなどですね どれも高水温に弱いので夏場の管理は注意が必要です。梅酒の瓶ならヤマトヌマエビが飼えますが1L程度の小さな瓶ではサイズが少し小さいミナミヌマエビですね 瓶の大きさと水草の量のバランスを考えて入れます。1Lあたりで1匹程度でしょうか。立ち上げ当初など 明らかに餌不足と思われる場合は熱帯魚用の餌を少量与えますが与えすぎると藻類を食べなくなります。

・水草が植わっていると魚を入れたくなりますね 水量と無加温という条件があるので メダカかアカヒレといったところですが複数で入れたくなるので少なくとも5L以上の水量が必要でしょう。餌を毎日与えるのと糞をするので濾過装置がないボトルアクアリウムではひんぱんな水替えが必要になります。小さな瓶の中で十分に泳ぎ回れるとは思えないので私は魚は入れていません。



メンテ用品の自作

時間がたつとボトル内面が汚れてきますね 市販品のブラシなどでは大きすぎるので自作してみましょう
歯ブラシのブラシ部分をカッターなどで切り取り先を少しとがらせます(ヘッドが小さい歯ブラシが加工しやすいですね)



ブラシの付け根部分を(ボトルの角度に合わせて)ライターであぶって少し曲げてあります。



メラミンスポンジを適当な大きさに切って切込みを入れ 歯ブラシを差し込んで出来上がりです。






水を吸い出す用具もあれば便利です。


灯油ポンプをポコポコすることで下のペットボトルに水が吸い込まれる構造です。小さいごみを狙って吸い出すことができるのであればとっても便利です。

 

ボトルアクアリウムはなんといっても水量が少ないのが難易度を上げているので 梅酒瓶などの大きめの瓶で始めて ある程度育てられるようになってから 増えた水草を使って小さい瓶で育成されるのが遠回りのようで近道だと思います。
調べた情報が自分のボトルアクアリウムに当てはまるとは限りません 自分で試してみて初めて理解できることもあります。失敗しても簡単にリセットできるのとかさばらないので2~3個並べて検証できるのがボトルアクアリウムの強みですね。


トリミング偏へつづく



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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (k)
2012-10-02 19:54:41
私は洗浄瓶を使ってます。取り回しが楽です
http://www.monotaro.com/s/?c=0&q=%90%F4%8F%F2%95r+&1.x=8&1.y=10
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洗浄瓶 (mizuwarabi)
2012-10-02 21:44:57
これって洗浄瓶という名前だったんですね
3本持っているのに名前を知りませんでした。
私が作ったのはペットボトルがいっぱいになるまで連続して吸い続けられるのが気に入っています。やぼったくでかいのが欠点ですが。

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初めまして (フラワー)
2013-05-31 07:43:46
ミズミミズで検索してやってきました。
アクアリウムいいですねー。キレイです。

私もやってみます。また遊びにきますね♪
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ぜひ始めてください (mizuwarabi)
2013-05-31 22:43:46
フラワーさん はじめまして

ブログ拝見しました。

水槽で水草を育てておいてボトルアクアリウムに使えば さらっと作れますよ。

うちではミズミミズは見ませんが プラナリアZEROで駆除できるはずです。

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