ミッちゃん 山元気!

自由気ままに 自分の目線で
山歩きの様子を綴っていく日記です

沢もどきの沢ハイクからの赤ゾレ 4

2020年09月12日 | 山 近畿 台高山脈・高見山

2020年8月30日(日) ☀ 台高のお山 赤ゾレ 地蔵谷

 

 

窟屋からの続きです

 

大きな窟屋をみて

思わず替え歌を即興で作って

口ずさみながら 遡行を続ける

 

 

流れが小さく小さくなって 

流れが見当たらなくなる事も…

 

伏流水というより

上流で沢水がろうとしているよう…

 

それでも 小さな筋が見える事もあり

ごろつく石の下に潜って流れているのを見つける

 

その頃か… 

流れが小さくなると同時に・・・ふと 気づいた

 

 

音が消えた・・・

 

鳥の声も 虫の声も 沢の音も

森が奏でる音が全くしなくなった

 

静寂・・・というのとも また違うような…

風が… 木々が… 山全体が

沈黙したかのよう・・・

 

無音…

不思議な感覚に包まれる…

 

以前もこんな感覚に陥った事はあった…

山に入ると こうした

音が消えてしまう・・・ことがある

 

これは何なのだろう…

 

ただ…自分の吐息と足音だけが聞こえる

 

 

 森の水中遊泳

 

山が息をひそめてしまった…

チチは何も感じないのだろうか…

 

揺らぐ木漏れ日の中を

まるで水中遊泳をしている様な谷間を

不思議な感覚で進み続ける

 

 

 

沈黙に包まれ中を登って行くと 

大きな岩の先に見える 樹林帯の隙間から 

スカイラインらしき姿が見えてきた…

 

 終点が近づいてきた?

 V字の谷間は…

 見た目と実際の違い急登だ!

 最期の沢水…沢とお別れ間近?

 

腐葉土の積重ねられたV字の谷間には

今回も 苦しめられる事となった・・・

 

腐葉土の下は ズッルズル!

こんな所は 歩き慣れているはずだが 

ここは 手ごわい!

 

 

 ふう~ しんど!

 チチも慎重登る!

 

谷の終点が近づいた

10mほどを詰めれば終了

 

やった~♪

 

だが・・・甘い・・・

 

それは の様に立ちはだかり

10mほどの登りが 最大の難所となったのだ

 

ここのムーブメントは難儀することに!

 

 

 ここは慎重に登るチチ

 10mのアリ地獄!

 登って来られるか~

 

地面っているのではない・・・

どちらかというと しがみ付いている

 

持つところはなく

掴めるのは土だけ…

根を掘り起こして掴める場所を探すが

素手では限界がある!

 

何という事だ!

 

10メートルほどの所で立往生

目の前に終点が待っているのに

届かない!

 

藻掻けば藻掻くほど 足元れる・・・

 

滑り落ちたら・・・

死にはしない

死にはしないが・・・

また 登らねばならぬ・・・

 

嫌だ~!

 

見兼ねたチチが お助けロープを投げてくれた

 

地面を転がって堕ちてくるロープが

私の方に転がってくる

 

あぁ~ チチ ありがとう

チチが 神様に見えた…

 

 お助けロープさえあれば…

 

 

漸く 蟻地獄から脱出した!

 

地獄から脱出できた 

でも まだ 斜面は続く

だが・・・ここでちょっと休憩タイム!

 

余力を使い果たした感じだったのだ…

 

大きなブナの木の根元に腰を据えて

身体を休める…

 

静かだ 静かだが…

無音だったことが嘘の様に

風が囁き 森の息遣いが伝わる

森の懐に包まれた安らぎを感じる

 

 稜線が見える 行こうか!

北側の登山道

 

長く感じた急斜面は 1分も歩いていない

登山道は目と鼻の先にあった…

 

ここからは 

踏み跡のしっかりついた道を歩く

 

 疲れた足には応える登山道

 空が広がって視界広がった

 アセビの間を抜けて行く

 

山頂に着かづくにつれ灌木が目立ち

空が顔を出す

久々にお会いした気分で 爽快だ!

 

視界が開けると しんどさもどこかに飛んで

山々に呼びかけたくなる解放感に 包まれる

 

 

お~い よ!

ゆうゆうと 馬鹿に呑気ぢゃないか!

どこまで行くんだ~

ず~と (磐城平)台高山脈の方まで ゆくんか~

ー山村暮鳥/雲よりー

 

 

 

国見山

薊岳

薄っすらと 大普賢岳

 

台高山脈の面々が覗いている!

風と戯れるの流れもまた面白い!

これが赤ゾレ山頂から見る景色だ!

 

そう・・・・

赤ゾレ山の頂上にいたぞ~!

 

 赤ゾレ山 1301m

赤ゾレ山の山頂

 

 

広ーい山頂は山のグランド

色々な動物たちがきっと駆け回っているのだろう

 

前回は 老犬ビビとここに立ち

老犬ながら頑張って登って来たが さすがに疲れたのか

口を開けてはぁはぁ言いながら休んでいた…

 

だけど今日は そのビビは自宅でお留守番!

チチと私だけの貸切状態!

 

今日は この先も誰にも出会う事は無く

二人だけの沢を愉しんだ

 

 

 木陰で休憩

 

丁度良い木陰があった…

昼食もかねて 少し長めの休憩を取った

 

心地よい風に癒され

森の精気を一杯吸って 元気を貰った

 

そして お腹も 心も満ち足りて

そろそろ 家が恋しくなった

 

さぁ~ 戻ろう♪

 

 今度は尾根伝いに直に下る

 樹林の中へり込むように下り

 倒木の通せんぼなんて関係ない!

 尾根に沿って 下っては…

 登り… ただ ひたすらに…

 

見事な造形美を見せる 森のオブジェ

 

 変形した木々の集まる尾根

 

風の悪戯か…

雪の重さか…

自然の力と戦った姿が

見事な造形美を作り上げている

 

そんな自然の驚異の 語り木たちが織り成す

尾根道に感動しながらも

足を止めることは無く どんどん下っていく

 

 

木の生命力の強さも伝わってくる

一旦は終えたと思えた命に変わり

新たなる芽を伸ばして命を繋いでいく…

見事な自然の力が 私にも力を与えてくれる

 

 アップダウンの尾根はまだ続く

雑木林の細廊下

 

ブナやヒメシャラなどの雑木林を過ぎていくと・・・

左右に自然林と植林に分かれた尾根になる

 

 西側斜面の自然林

 東側斜面の植林

 自然林と植林の尾根

 

登っては下り・・・と 

アップダウンを繰り返しながら 

徐々に高度を下げていく

 

 急斜面をジグザグに下り始めると…

 谷筋に出会い・・・

 木梶川を渡渉して・・・

木梶川の渡渉地点

 

漸く 往路で最初に下りた

木梶川渡渉地点に着・き・ま・し・た!

 

 林道へ

 

緑のトンネルが迎えてくれて

怠~い 林道歩きが 暫く続く

 

キリの幼木

 

帰り道…

林道の谷側の切れたったところに 

1本の幼木を見つけた

 

往路では気付かなかった幼木

目線が変われば 目立つ存在として目を惹いた

 

何処から種が運ばれたのだろう…

近くにの木は見当たらないが…

 

中国の言い伝えでは あの鳳凰は 

このにしか止まらないとか・・・

 

花の色もで 高貴な色として知られている

袈裟の色もお坊さんの階級を表し 

は緋色と並び最上位とされている

 

また日本の皇室の紋章にされており

500円玉や勲章の絵柄にもなっている

タンス長持ちではないが

高価タンスの材料にもなる

 

日本での古い風習で 女の子が生まれたら

庭にの木を植えて その木でタンスを作り

嫁入り道具にしたと言われる

 

そんな神聖なる木が 

このお山の谷間の崩れた処に…

 

このキリの幼木が 春になって 

淡い紫色の花を咲かせてくれるのは 

いつの事だろう

 

でも 楽しみが一つ増えた…

花を咲かせてくれることを願って

その時を待って また来よう…

 

 林道をテクテクと・・・

 駐車場が見えてきた

 

駐車場に着いた!

やっと帰れる・・・

 

早々に片付けて 車に乗り込む!

普段はお風呂に入って 汗を流してから帰るが 

コロナの事もあり・・・ 

今回はなぜか 

お風呂は 家で入る事にした

 

そして…

老犬のビビの待つ家に急いで帰った…!

 

 

最期までお付き合い頂き ありがとうございました

 

 

家に戻ると ビビが嬉しそうに迎えてくれた

普段と変わりなく 大きな口を開け

嬉しそうな表情をして こちらを見る

 

いつもの様に

いつものしぐさで

何ら変わらない姿で 出迎えてくれた

 

ビビと歩いた赤ゾレ山の事

お話し しなければと思いつつも

荷物を片付け 汗を流すためお風呂に入り

バタバタとしていた…

 

夕食の準備をして 漸く落ち着いた頃だったか…

 

普段に無く ビビが寄り添ってくる…

落ち着かない様子で 何か甘えてくる…

 

普段と様子がどこか違う…

 

寄り添った体を撫でると 嬉しそうにしている…

でも… 何かがおかしい…

 

トイレに行きたいのか 外を見るので

外に連れ出すと 庭先でトイレを済ませて また戻る

そんなことを数回繰り返すが

老犬特有の緩慢な動きは 普段と然程 変わらなかった

 

でも おかしい…

 

そして いつも 寝る時に過ごす 

玄関のフロアで動きが止まった

 

ビビ…?

 

名前を呼ぶと嬉しそうにこちらを見る…

 

動きそうもなく 玄関に横たわったビビの

背中や腕を撫で続ける

 

時折呼吸が変わる…

そして 何か言いたげに 私を見る…

 

撫でる手に 伝わる言い知れぬ不安…

 

ビビが 状態を少し上げて こちらに顔を向ける

その目と合った時…

覚悟を決めなければならないと感じた

 

そして 8月30日が終ろうとする時間に 

ビビは16年の時を終え 虹の橋を渡った・・・

 

もしかしたら…

私達を送り出し そして

帰りを待ってくれていたのだと…

 

都合のいい考えだと思っても 

そう思えてならなかった

 

後から後から 涙があふれ出た…

 

ビビとの思い出の赤ゾレ山が

我が家の最後の居候が いなくなった日となった・・・