ミッちゃん 山元気!

自由気ままに 自分の目線で
山歩きの様子を綴っていく日記です

天女の舞 甘くも厳しい雪野原 3

2021年03月04日 | 山 近畿 大峰山系

2021年2月20日(土)☀ 天女の舞

 

栃尾辻からの続きです

 

 

チチが 何度も言う

ここから天女の舞はすぐそこだ

30分も歩けば着くぞ!

 

がんばれ!とは言わないが

そういっているように聞こえる

 

もうすぐなんだ…

アイゼンは付け替えた!

天女の舞は絶対踏もう!

 

栃尾辻から天女の舞までの道は 

冬の置き土産の様な雪が一面を覆い

まだまだ 冬の面影濃く迎え立つ

 

 

 樹林帯に延びる光と影

 雪面のゼブラを割って進む

 一段と明るくなる稜線 最高だ!

 

天女の舞へと延びる稜線は まるでへと誘うよう・・・

前へ運ぶ足は重く 

一歩出しては 二呼吸止まり

二歩出しては 溜息が漏れる

それでも しんどいと感じる事は少なくなった

差し込む日差しの明るさと

冷たい風のハーモニーに刺激されて

疲れている足が、不思議と前に出ていくのだった

 

 天にも上るスカイライン…?

 そこは雪原の天女の舞の入口

 

スカイラインに立つと そこは

ひろ~い 天女の舞♡舞台!

疲れも 何もかも 一気に弾けて宙を舞う

 

ここが天女の舞…

 

暫し 茫然と立ち尽くす

 

チチはうん十年ぶり

私はめての天女の舞…

いつか訪れたいと思っていた所に

今 辿り着いたのだ

 

天女の舞1450m 

 

山の広場の様に 天女の舞には

意外に多くの人が訪れていた まさに

天女の舞舞台裏の賑わいを見せていた

 

その先行者たちを横目に足を止めず

そのまま 天女の頂を目指した

 

 天女の頂へ・・・!

 急な登りを10分ほど頑張る

 樹林のピークが目的地?

 天女の舞岳と書かれた標識

天女の頂 1518m

 

樹林帯の狭い頂で 縦走路上の山頂だった

樹に取り付けられた標識には二つの名前が書かれていた

 

天女の舞岳

天女の頂

 

どちらで呼ぶかは 

その人の感性に任せるものなのか…

 

天女の舞岳の頂と勝手に呼んで納得する

 

今日は予定にしていた頂仙岳はお預け…

時間も時間であるので そのまま引き返して

天女の舞で少し長めの休憩を取る事にした

 

 天女の舞まで戻ろう

天女の舞 再び

 

頂を踏んでいる間に 人はどこかに移動したのか

数名の登山者だけが残り 

静けさを取り戻しつつあった

 

風の通り道を避けるようにして 

東側の斜面に腰を下ろした

目の前の大峰の山々の姿を見ながら

ホットなブレイクタイム

 

この日は 最高のご褒美をいただけた

 

 

大日岳と稲村岳

 

天女の舞はだだっ広く 例年より雪は少ないが 

雪原は無数のトレースを残して広がっている

 

天女の舞には 境界線というものは存在しないのか 

天女が舞い降り その華麗なる舞を披露するように

どこまでも どこまでも 春のスポットライトを浴びた

白い舞台が広がっている

 

今日の行程はここまでになった事もあり

暫し 時を止めて遠望を望みながら 

この一時を堪能した

 

 天女の舞から頂方面を見る

 引き返そう…

 栃尾辻へ下ろう

 栃尾辻の小屋が見えてきた

 避難小屋の中

 そのまま止まらず下っていく

 

深き森の中へと 引き込まれる感じがした

 

 同じ尾根道が違う道のよう

邪念も何もかも 吸い取られていく春の空

 

林道の筋がみえ その上にヘリポートが見える

 

この季節ならではの展望と明るさが

心を解して優しく導く

復路は少し距離は有るけど 

アップダウンは無く

ヒヤッとする雪付きのトラバースもない

平坦な林道へ抜けて歩く事にした

 

 林道が見えてきた

 復路は 林道歩きを選択!

 これでに下れると思った…

 意外には多いが楽勝と思った…

 ゲッ!大岩ゴ~ロゴロ!

 ザレ場は小さな落石の音が…

 吹き付けの擁壁の上は…今にも…

歩いてきた稜線

 

あの稜線を歩いてきたんだな

 

チチの声に振り返ってみると

裸木の向こうに姿を現す稜線

この季節ならではのご褒美の様な景色に

足を止めて眺めた

 

 見えていたヘリポートへの階段

昼の月

 

 

尾根上からみた ヘリポートへの階段が現れる

その先にあるはずのヘリポートは見えないが

昼の月が見えた…

 

何かいい事あるかな♪

 

 林道出合の取り付き点に戻った

 林道から登山道へ

 第2鉄塔素通り

 復路では雪が消えていた

 下山ルートの標識に従って…

 

ここも雪がない…

凍った所も無くなっていた

午後から気温も上がり 雪が意外に早く消えたようだ

 

 やはり雪は融けている

 思い切ってアイゼンを外す

 往路でつけた場所と同じ所だ

 外して正解!春の陽気

 第一鉄塔に着く

塔からの眺望最終

 

アイゼンを外して正解だ!

解放された足は軽やかになる

しかし… 

雪は無くとも 地面はズルズル!

滑りやすい事には変わりなし!

 

そして ここから地獄の1丁目に突入する

 

 植林の急坂は階段の始まり

 地獄の階段の正体

 一歩一歩踏みしめて下る

 

薄暗い樹林帯の先が明るくなった…

登山口まで降りてきた…

 

闇から光のある所に出ていく気分だ

 

 家の裏側の登山道

 川合登山口

 川合登山口への標識

 天川村役場駐車場

 

今回は・・・

スノーシューで遊べると思っていた

しかし 雪は頂上付近の稜線にあるだけで

スノーシューは歩荷の一部になってしまった

冬のフル装備とは言えないが 期待して持ってきたものは 

ただの歩荷担い手となったに過ぎなかった

 

それでも 久々に15Kg以上の荷を持って歩く事で

歩き方の欠点 体力の低下等いろいろと見直す機会となった

 

私にとって初めての天女の舞は 試練の舞となったが

いいお山だったと 気持ちは日本晴れだ♪

 

 

 

日が経ち段々と、記憶も曖昧になるところがあり

最終的には早足で綴った形になってしまいましたが

最期まで お付き合い下さって 

本当にありがとうございました 

とても励みになっております

 

 

コースタイム

 

8:04 天川村役場駐車場 → 8:10 川合登山口 → 8:48 第一鉄塔 → 10:10 第二鉄塔 → 10:20 林道出合 10:30 → 10:31 川合弥山コース入口 → 11:45 栃尾辻 12:02 →12:30 天女の舞1450m → 12:43 天女の頂(天女の舞岳)1518m → 12:52 天女の舞1450m 13:25 → 13:34 栃尾辻 → 14:07 林道 → 14:35 林道出合 → 14:41 第二鉄塔 → 15:32 第一鉄塔 → 川合登山口 → 16:06 天川村役場駐車場

 

 


天女の舞 甘くも厳しい雪野原 2 栃尾辻

2021年03月02日 | 山 近畿 大峰山系

2021年2月20日(土)☀ 天女の舞

 

鈍った身体に15Kgの重さは かなり応える

どんどん後続者に追い抜かれていく…

 

自分ではそれなりに歩いているつもりだが

足の運びは悪く 遅くなっている

 

何とか 軽アイゼンの力を借りて 

天女の舞までは…と頑張る!

 

第一鉄塔を越えた急登の尾根からの続きです

 

午前中の残雪は 所々凍っている

アイスバーンというほどではないが 表面が凍っていて

そこは、軽アイゼンでも十分に効力を発揮してくれる

 

ただ、少しでも雪の量が増えて さらに下りになると 

軽アイゼンでもくなる なぜなら

アイゼンに絡むようにできる雪玉

アイゼンの効力を封じ、返って滑りやすくなる

 

 残雪のトラバースひやひや

 尾根に出るとホッとする

 第2鉄塔に着いた!

 

鉄塔を見上げる事は 私にはできなかった

見上げると そのまま後ろに倒れてしまいそうだから…

 

鉄塔の足元に立って周りの景色を確認

同じように観音峰とその奥には稲村岳が見える

 

鉄塔から林道まではすぐだ

チチの声に頷き ゆっくりと歩を出す・・・

 

 微かなゼブラを描く

 意外に多いぞ!残雪の道

 

チチが教えてくれる先を見ると

大峰の山が 木陰からその姿を見せている

 

なんだか こっそりと覗かれているような感じ

これは頑張らねば…

大日岳 稲村岳…懐かしき面々に励まされ歩く

 

 明るい先に見えるのは?

 林道出合と標識 

 林道に出てホッとする

 

思いの外バテバテになって 自信喪失

思わず 時計の針を見ながら漏れる

着けるかな・・・(天女の舞まで)

 

見兼ねたのか ここで少し休もう!というチチ

 

栃尾辻に着けば 天女の舞はすぐだ!

 

大丈夫かな…天女の舞 行けるかな

 

行ける!行ける!

 

その時のチチ言葉の中に

どんな心中が隠されていたのか 知る由も無く

只々 体力の無さを痛感して自信喪失になった自分に

どう向き合うかを必死で模索していただけだった

 

 林道出合の取付き

 

林道は崩壊の為通行止めの様だ その左横の

吹き付けコンクリート上にある登山道を登っていく

 

ここから 残雪の量は少し増える そして・・・

 

急な登りだけではなく アップダウンがあり

嫌いなトラバースの道が待ち構えていた

 

 急な登りから始まる

 深い残雪の斜面を越えていく

 

雪のある所 ない所… 

凍った所 じゅるじゅるの所…

変化に富んだ雪のあるルートになり

トラバースやアップダウンがあり

気が抜けない感じだった

 

そしてやはり

重い荷から解放されることは無く 

体が中々馴染まない

 

出るはため息ばかり

今日は ダメだな… 一人呟く

 

 必死に登る どっこいしょ!

 大丈夫かと チチが待つ

 

地肌が所々出ているが 急斜面のトラバースは

緊張を齎し 疲労感を煽る

それでも 進まねば目的の所には行けない

 

 T字の分岐は自分の分岐のよう

 その先は、また下り…

 下った先は痩せ尾根になる

 

視界が少し開けて青空が近くなる 

 

あれが 天女の舞だな…

 

チチの声に目線を上げると

梢の向こうに見える禿山?が・・・

 

天女の舞

 

あれが天女の舞?あの禿げた所が…?

でも…でもね…なんだか・・・

ぁ~ 遠い…

 

遠くないよ そこだよ

もうすぐ栃尾辻だ 

そこから 天女の舞はすぐそこだ!

 

チチは 励ます・・・

私は 項垂れる・・・

 

 頑張って頑張って

 落雪にあって目がめて!

 あっ!栃尾辻に出た

 

ここからも 急登が続く

 

残雪の量は中途半端だが 少なくは無い!

ここでチチがアイゼンをつける事にした

 

軽アイゼンをしていた私もまた 

12本アイゼンに履き替える事にした

 

時間を見ると もう11時45分

溜息が漏れる・・・

 

チチ…頂仙岳は無理

でも 天女の舞は行けそう

 

そうだな

天女の舞は行ける ただ 頂上は踏まんとな 

これは山屋の性みたいなもんだ 

あははは

 

チチが笑った

私も笑った

 

少し長めの休憩を取って 12時ごろ出発した

 

ここを登ったら 天女の舞はそこだ!

 

 ゆっくりと歩き出す

 

頂仙岳までのコースが変更になった事

天女の舞が手に届く所まで来た事

これが、呪縛からのがれたように楽になり

登りはしんどいが 歩く気力が湧いてきた

 

 

つづく


天女の舞 甘くも厳しい雪野原

2021年02月28日 | 山 近畿 大峰山系

2021年2月20日(土)☀ 天女の舞

 

2月11日・・・

今年になって 色々考え迷ったうえで

本格的に山活動を開始しようと 一か月ぶりに 

天ヶ森(ナッチョ)に体慣らしに出かけた

 

7時間半ほどの周回コースを 意外に楽しんで歩けた…

まだ本調子ではなく 疲労感が長く残ったものの

余り体は鈍っていなかったのかも・・・そう感じ

1000m前後の山は楽勝に登れるかも♪

高を括っていたわけではないが

内心 甘く考えていたのかもしれない

 

そして 冬将軍が行ったり来たりする中

寒波到来に 梅の花の開花と共に雪も降るニュースが聞かれ

チチが言った

天女の舞に行ってみよう!

 

大峰の天女の舞は以前から話題に上がっていたが

行く機会を逃していた

 

雪がいい感じで積っているらしい

何年ぶりかな いい所だよ

 

積雪期に行きたかった所だけに

いいタイミングで行けそうだとチチが誘う

 

行く行く♪

 

私はい上がった!

 

天川村役場

 

天川村役場の駐車場にその日は車を停めさせて頂いた

車から降りると お巡りさんが近づいてくる

 

何かあったのか…

これは不吉な前触れか…

 

車から降りて身支度するチチに声を掛けた

 

何を聴取されるのか…

 

チチとお巡りさんが 何か会話をして

チチがバインダーを渡された

 

なんだ? 何のサインか?

 

チチとお巡りさんが笑っている

親しげに話しをして お巡りさんは離れて行った

 

何だったの…チチ?

 

あぁ~ 何処に行くのか聞かれて 

天女の舞といったら

いい所だと言ってたよ それと

登山届を書いて欲しいって渡されたよ

 

登山届を出す所が見当たらないと思っていたチチは

助かったと言いながら 登山届を書いていた

 

優しそうな駐在所のお巡りさんに見送られながら

駐車場を後にした

 

振り返って役場を見ると その後ろに

今から歩く尾根が見える

 

今日は天女の舞頂仙岳迄行くつもりだった

意気揚々と出発する私を 朝の日差しが温かく包み 

冷たい風が 冷やかに頬を撫でて行った

 

雪があると信じて用意した冬道具は

背中に担がれ その重さが食い込んでいく…

だが 歩けると思っていた

歩いて目的の所まで行けると思っていた 

 

この時は・・・

 

 役場前の天ノ川沿いの道 右折

 標識確認後右折 登山口

 正面の突き当り 登山口

 ちょっと滑る 注意!

 建物の横から入山!

 

登山口からは 暫く植林の中を歩く

途中から階段が現れる 

歩き始めて感じた事…

 

背中の荷が重い!

 

アイゼン スノーシュセット ピッケル

すべて背中に担いでいる…

スノーシュー…要る?

ピッケル 要る?

そんな疑惑が登るにつれて湧いてくる だが・・・

 

暫く 歩けば慣れてくるだろう…

そう言い聞かせながら 階段を上っていく…が

ザックの重さに翻弄される

 

 重い…重い…階段は嫌いだ!

 尾根に出ても階段は続く💦

 段差が大きい階段は辛い…!

 

急な斜面に造られた鉄網の階段

段差が大きく所々ずれて、斜めになっている 

 

中途半端に残っているが余計

いものにさせてくれていた

 

そして、漸く階段から解放される

 

 

しかし…

その勾配は変わりなく 表面が凍った所もある

アイゼン無しで歩くには 負担が大きくなる

 

 あっ!明るくなった

 第一鉄塔だ!

 東面が開けた!

観音峰

大日岳 稲村岳 バリコヤノ頭

 

大峰山々が姿を見せてくれる

 

懐かしや~♪

 

バリコヤノ頭は展望も何もない!

ただ道中 アップダウンが激しく

季節によっては虫の攻撃も甚だしく

安易に行ける所ではないが

やはり もう一度行きたいと思うほど

奥が深く 強い印象が残っている

 

思い出に浸りながらも 不安が過る

今日の予定…私は歩けるだろうか…

進むにつれて その不安は強くなって行く事に…

 

 再び 急な登りへ

 緩やかな所で足が止まり

 強めの風が抜けて行く

 

雪の付いた急登を登ると 背中の重さが手伝って

自分の歩き方の欠点が容赦なく見えてくる

まるでいな歩荷訓練をしている気持ちになる

今日は楽しんで歩ける気がしない!

 

急登になると アイゼンをけたくなり

くなると アイゼンを

 

 急登となる・・・!

 

雪があっても滑る

雪が無くても滑る

残雪も水分を多く含んだ土も 

脚力の無い足には容赦ない!

 

歩き方がなってないぞ~と戒められる

 

アイゼンに頼るのではなく

基本の歩き方からやり直し・・・?とほほ

 

訓練の様な山歩きが楽しいはずがない!

だけど 体力と伴に元に戻さねば

面白味も感じられない 

思いあがっていたつもりは無いが 

反省すべきことを教えられる気持ちだ

 

勾配がきつくなればなるほど 知らされる未熟さ!

 

今の私は ツボ足では登れない

体力の消耗が激しい…

これでは 天女の舞も行けない…

 

 平らな所で軽アイゼンを着ける

 

軽アイゼンでも つけると楽になる

だが もう慣れてきてもいいはずのザック

未だに慣れず応えている

 

登りは重い足かせをされたように前に進まず

ツボ足のままで登るチチに置いて行かれる有様だった…

 

 明るい先で待つチチ

雪の無い観音峰

 

待ちながらチチは観音峰を見ていたようだ

 

漸くチチの姿を捉えた私…大きく深呼吸をする

そして、そんな私を確認すると歩きだすチチ

 

チチの立っていた場に立った私もまた

観音峰に目を奪われた

 

それは…静かに見守るように

穏やかな表情を見せて鎮座していた

 

 再び薄暗い樹林帯の中へ

 再び距離は開く チチの姿無し

 尾根から外れる下山ルート標識

 

軽アイゼンをつけてから 体力の消耗は軽くなったとはいえ

既に 疲れてきている体には 登り坂は応えた

 

前回のナッチョの時とは大違い!

チチとの距離は開くばかり それでも

私の様子を見ながら距離を考えて待つチチ

 

樹林帯の中とは言え 冷たい風が吹きつけてくる

早く追いつかねば 待つのも寒かろう…

そう思いつつも 私は

汗を吹き出し 呼吸を乱して登る

中々スピードアップは狙えない・・・

ただただ 一歩!一歩!

確実に進んで行く他なかった・・・

 

せめて 天女の舞までは行きたい…

そう言い聞かせながら 登っていった…

 

しかし…

 

 無情にも急登は続く

 

絶対 天女の舞には行く!

 

どんどん後続者に追い抜かれながらも

がんばって登っていった

しかし・・・

背中の15Kgほどの重さに

この先も喘ぐことになってしまった

 

 

つづく


日出ヶ岳からテンネンコウシ高と裕嵓まで足を延ばして… 8

2020年08月31日 | 山 近畿 大峰山系

2020年8月8日(土)☀ 大台ヶ原

 日出ヶ岳~西谷高~テンネンコウシ高~裕嵓 周遊

 

ミネコシ谷から尾根に出たところからの続きです

 

 雑木林の尾根を伝う

 陽が大きく傾き始めたよう…?

コル

 

尾根を進んでいくと コルのあたりに

標識が立てられ ロープが張ってある

 

この先進入禁止?

だが ロープの張り方が中途半端だ

 

よく見ると・・・

ロープの先に踏み跡がある

左右に分かれる踏み跡もある

ロープの切れた左右を確認するが

やはり踏み跡は続いてある…

 

どの方向に進もう…

 

 

じ~んせい楽ありゃ 

く~もあるさ~♪

なぜか 水戸黄門の歌を口ずさむ

 

二つに分かれた人生岐路のよう

どちらを選ぶかで 

明暗分ける事に なるやもしれぬ

 

どちらに進もうか…

暫し考えていると 

チチはの方を観察している

 

 

 右を特に気にするチチ

 

チチの目線の先を追うが  何も見えない

何があるというのか???

そしてチチは

右側を進み尾根を 進もうとしている…

 

 標識 み~つけた~♪

 

後でわかった・・・ 

コルの所でチチは この標識を見つけていたのだ

標布やテープも 右側の方がはっきり残っていたという

 

私は見落としていたが 

チチはしっかりと 捉えていたようだ

 

 標識のある尾根を進む

 

古木が構え

倒木や落ち枝が散乱し 

木の根が張る

そして再びシャクナゲの群れが待ち構える

 

 再び道探しが始まる

 

シャクナゲぎ 

隠された踏み跡を探すように

の方をき込むが

途中で 踏み跡が切れる事が 繰り返される

 

そのたびに 一番踏み跡の混雑していた

石楠花の開けた広場に戻る事を

繰り返しながら 道探しが始まる

 

 石楠花の虫こぶ

 石楠花を漕ぎ広場に出る

 道がない 地図を何度も見る

踏み跡の混雑する広場

 

踏み跡の強い左側捲き道も考えたが

取りあえず 尾根を忠実に進んで行く事に 拘る

 

いくつもの足跡が右往左往したように残って

ここで迷う人が多い事を 物語っているようだ

 

右に強引に下った形跡もある

それも行けない事は無いが 

石楠花の藪漕ぎは遠慮したい

 

また一旦広場に戻って 検討し直す…

 

 右か!左か!はたまた尾根直進か?

 左よりに尾根を行く事に

 道と合流 笹道へと変わる

 笹床の広がる尾根に出る

 標布も確認 間違いないと進む!

 

やっと 周りを見る余裕が戻って来た…

気が緩むのが分かるが 

まだ 帰り着いたわけではない

 

陽も段々傾き始める準備をし

活動する時間の終わりが 近づくのを知らせる

 

急ごう…

ちょっと疲れた…

いや…とても 疲れた…

 

 笹原の尾根を只管歩く

 

急な笹原の尾根が 延々と続く感じ

それでも道は優しく誘い 迷う事は無い

 

それが安心を呼んだのか 緊張ゆるむと同時に

自身の身体に異変を感じ出す

 

やばいかも

 

突然に来る発作

 

前を行くチチの姿が見えなくなる

呼びたくても声が出ない

 

大丈夫 大丈夫…まだ だいじょうぶ

胸を押さえながら呟く…

 

蹲ったまでは覚えている…

時間にして数秒の事か…?

分からないが すぐに我に返った…と思う

 

まだ 地獄の閻魔様は 

来んでいいと言ってくれているのだろう

 

最近調子が良かったのをいいことに

ちょっと無理をしたかもしれない…

 

何時しか目からがあふれ零れている…

泣きたいわけではない

涙腺が弱くなったこの頃

胸の苦しみと共に 涙が出てしまう様になった

 

でも 大丈夫…まだ大丈夫… 

これぐらいなら大丈夫…

言い聞かせながらも 涙は止まらない

 

するといつの間にか

引き返してくれたチチがそばにいた

 

大丈夫か…

 

頷く…

深呼吸をする 

胸に当てた手に 鼓動が伝わる

 

大丈夫…

ゆっくりと歩を進めだす

眩暈が襲う 気が遠くなりそうになる

 

もうすぐだ…

 

励ますチチの顔を覚えていないが

その声はしっかりと受け止めていた

 

頷く…

 

長く感じた…

数時間立ったかの様に感じた…

 

陽が傾き なお一層 不安と時間の経過を感じた…

だが…後で確認すると数分の出来事だった…

 

まだ 私の心臓は

頑張ってくれている

お山に行く事を まだ許してくれている

感謝した…

感謝する事しかできなかった…

 

 

つづく


大峯奥駈道を繋ぐ 明星ヶ岳 6 復路

2020年08月10日 | 山 近畿 大峰山系

7/23~7/24 ☂/☁ ガス・風強し

明星ヶ岳:カナビキ尾根~楊枝ノ宿小屋まで往復

 

 楊枝ノ宿小屋からの続きです

 

ボロボロになってたどり着いた楊枝の宿

貸切でゆったりと過ごせた事が良かったのか

目覚めは悪くなかった

 

それどころか 昨日のしんどさもどこかに消えて

あれほど復路の事でんでいたが

今日はやる気満々の目覚めだった…

 

 

深き森の中の一軒家の小屋の目覚めは

樹林帯の向こうから始まった

 

 

紅く染まる空…

雨予報とは裏腹の

紅空が樹林帯の隙間から覗ける

 

今のうちに早く出発しよう!

 

今日の天気予報もまた 

昼から雨が強くなるようだ

 

しかし…

出発の準備をしている間に

微かな期待もすぐに掻き消され

暴れる風と雨の音がしてきた

 

予想より早いな…

本降りの雨になる前に

弥山辻には辿り着いていたい!

 

早々に出発をする事にした

 

 

 掃除を済ませ出発!

 風は強いが 雨は然程ない…

 崩壊部分を高巻きして

 西面の笹原を進む…が

 

雨を伴った風が容赦なく吹き付け

吹き飛ばされそうになる

これは雨具を着た方が良さそうだ…

 

東面の斜面迄頑張って移動し 

そこで雨具を着る事にした

 

樹林帯の中に入れば雨はある程度避けられるが

今日は昨日より風が強い

雨具フル装備で挑むことに…

 

 

前日悩んだバイケイソウ群生地

やはり…どうしても避けて通れない

 

ただ 風が強く吹き飛ばしてくれるため

匂いが和らぎ 救いであった

 

 昨日と変わらない樹林帯

 楊枝の森の巻き道

 風が止まれば匂いにげぇ~

 昨日と違う雰囲気

 七面山揺拝石

 カラマツソウ

 この辺りからだった…迷ったのは…

 

このバイケイソウの群生

道が隠され迷った七日迷一帯

 

今日は逆に進む所為か

バイケイソウの中の踏み跡を辿れば

迷った倒木のあった所まで なく行けた

 

なぜ迷ったのか…?

・・・?

 

本当にそう思う瞬間であった…

 

 

 この倒木に迷わされた…?

 条件は同じでも 今日は違う!

二重稜線の底部

 

バイケイソウは蔓延り 

道を覆い隠そうとする

今日の私は昨日と違う

しっかりと踏み跡えている

 

… 捉えていると思っていた

 

行きと帰り 同じ道を通っているはずなのに

いつの間にか 微妙にずれている

やはりまやかしの地か…

 

踏み跡もよく見れば複数あり

ここで迷った人の足跡がいくつも残されている

 

それでも ルートから外れる事はなかった

 

今日は昨日と違って余裕があるためか…

 

 

 舟の多和

 

迷いの地点でもある舟の多和…

地理院地図「舟の垰」と記されているが

実際とは少し場所が違う?

 

山割れした船底形状な二重山稜

それが曲者か…

 

今回は ガスっている事と 

バイケイソウが蔓延った事が

迷いに拍車をかける勢いだ…

ここは 条件によっては

地図とコンパスで確認をして歩く他ない…

 

 

 来た道を戻るだけ

 倒木 立ち枯れ 視界ゼロ

 

昨日と同じ道なのに 違って見える

 

疲れて果て ヘロヘロ状態だった昨日

力を得て歩く今日自分目線が違うのか…

 

どんどん延びていくように見えた道が

今日は 近くに感じる

 

 

 ちょっとした岩場でも要注意!

 崩れた斜面は気を付けて…!

迷い平

 

草が風になびき

吹き飛ばす勢いで通り過ぎる

なのになぜ ガスは吹き飛ばさず

更に連れてくるのか…

 

 

もうすぐ 五鈷峰の核心部だというのに

ガスは蔓延り… 

雨交じりのは自由に暴れている

 

そして草原のコルから見える五鈷峰!

ガスに包まれボンヤリではあるが

不気味に浮き出て見下ろしている

 

 

 

風は強いが 雨は酷くはない

さて…いよいよか…

 

 ロープの張られた急登!

 いよいよ…核心岩登り!

五鈷峰の岩場

 

踏ん張ろうとしても 濡れた岩肌は

少しの気の緩みも許さず 

安易には登らせてくれない!

 

滑る 滑る 

かけた足がズル

 

何度も確かめ… 

しっかりとホールドを探して

慎重に登っていく

 

 

 滑る岩場 おっとと!

 今度は弥山?へ 下っていく!

 西斜面が口を開いて待つ?

西側の斜面

 

カラハッソウ谷の石灰質の白い肌が見える

 

遠くの景色は白いガスに隠されているのに

足元の谷側はしっかりと見える

 

ぞっ~

 

 戯れた足元要注意!

 

ここは本当ならば展望が開け

西側の景色は素晴らしいはずだった…

大峯の山々を見ながら楽しめるはずだった…

 

それなのに…

 

行きは苦しく景色どころではなく

帰りもまたガスの中に隠れてみる事はできない

 

だが…

 

 

 

神仙平だ…

チチが嬉しそうに指を指す

緑のすそ野を広げる姿が見えた…

 

あそこはいい所だ 今度行こう…

 

…はい…

でも そこまで行くルートって…?

 

ちょっと不安交じりに返事をするが

チチは嬉しそうに写真を撮っていた

 

ガスは面白いように

時々 ご褒美を見せてくれる

それに一喜一憂しながら 今日は歩いて帰れそうだ

 

神仙平が もともと七日迷ともいわれているそうだ

役行者が七日間迷いこんだ密林から

そう呼ばれるようになったらしいが

現在では密林が無くなるほど盗伐され

草地になったとか…

七日迷 迷い平…それ程 奥駈道には 

まやかしが待ち構えているのかもしれない

 

 

 倒木を避けて

 倒木を跨いで

 急な登りも何のその!

 

ず~っとお伴してくれるガスのおかげで

昨日と変わらぬ景色のまま…

だが 今日はどこか違う???

 

今日は歩く足取りもなぜか軽い

往路で見落とした景色に気づき

どこか新鮮な感じがする

 

 第49靡 菊の窟

 石壁の下に揺拝所

 

往路では 横目で見送った様な…ない様な…

記憶が定かではない!

 

窟とはいいがたいが岩の壁の下に 

御札が置かれている ここが菊の窟

手を合わせて先を急ぐ

 

 

 

昨日同様のガスに包まれ

大峯らしいと言えばらしい…

見落としていた菊の窟から五分ほどで

明星ヶ岳分岐に着く

 

 明星ヶ岳の分岐

 

奥駈道の分岐 弥山辻はもうそこだ!

 

 弥山辻は素通り

 ここからは超特急で下ろう

 どっろどろの泥濘も何のその!

 倒木にも慣れたぜホイと!

 こんな倒木可愛いものだ!

 

私の奥の細道 どこまでも

昨日と違って余裕が広がる

 

 日裏山1725mさらばだ!

 ヤマジノホトトギスさん居たのね

 高崎横手も素通りして

 登って…

 下って

 トラバース

 ここからカナビキ尾根だ!

カナビキ尾根

 

ここからは急だがりだけだ

ペースもかなりい方だ!

このまま行くぞ!

 

 ここも一気に下るぞ!

 ここはだったな!

 おぉ~歩き易いぞ!

 往路の道との合流点

 植林の杣道九十九折に下って

 林道がえたぞ!

 金引橋 林道に出た!

 誘う流れで顔を洗う

 林道歩けばもうすぐだ…

 着いたぞ!猿渡に…

川迫川(こうせいがわ)

 

静かな流れを見せて

穏やかな姿で迎えてくれた川迫川

帰って来たよ…

 

ただいま…♪

 

 

 

 

長い 長いブログに最期までお付き合い下さって

ありがとうございました