ミツユビナマケモノが落ちた・・・

ミツユビナマケモノの生まれ変わりのたわごと

新潮文庫「朽ちていった命-被曝治療83日間の記録-」

2006年10月01日 23時09分05秒 | 読んでみた
今日も新幹線に乗って帰ってきた。車内で読むものを・・・と、書店に行ったら、この本が山積みになっていた。新刊だったみたい。

1999年9月30日、茨城県東海村の核燃料加工施設で起きた日本初の「臨界」事故。その事故で、致死量を越える放射線を浴びた作業員の人の83日間の記録。昨日でちょうど7年が過ぎたけれど、何かひかれるように買って読んだ。

事故の経過や原因、関係者の責任を問う本はいくつか出ていたけれど、被曝した人のその後のことを書いた本は初めて見て、一気に読んだ。

・・・なんというか、すごかった。治療に当たった医療団の努力と、回復を信じる家族の姿も感じるものがあったが、何よりも一番思ったのは「人知の及ばないものがまだまだある」ということと、そういう「恐れ」をきちんと知らなくてはいけないのではないかということ。

まだたった7年で、あの事故のことを思い出す人はどのくらいいるだろう・・・。関係者や地元の人は別として、一般の人はもう忘れていないか?普段は忘れていても良いけれど、すっかり記憶から消してはいけないことなのではないか?

人はつらいことや悲しいことを忘れることができるから、前を向いて生きていけるけれど、「忘れてはいけないこと」もあると思う。「人の力の及ばぬものがある」ということも、忘れてはいけないのだと思う。

NHKの取材班がまとめたこの本は、人の命と人の力と、「忘れてしまうことへの怖さ」を考えさせてくれた気がする。
・・・衝撃的なところもあるから、万人にお勧めするとは思わないけれど、こういうことがあったことは、思い出して欲しいとミツユビは思う。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿