2021年4月新刊<販売中>4冊 | |||||||
嵐 | 『家族の話。 前編』(立読み) | ||||||
『家族の話。 中編』 | |||||||
『家族の話。 後編』 | |||||||
『家族の話。 完結』 | |||||||
翔サト ニノ潤 相葉 |
浮所パパママの年齢が翔サトと一緒という所から出来た話です。翔サトにジュニアの子が居たら楽しいよねっていう話です。ニノ潤も結婚しています。 | 各400円 |
『家族の話』
<設定>
同性でも結婚・出産が可能な話にするため、オメガバース設定でお送りします。でも、そこがメインではないので、ただ同性でも結婚できる、男同士でも妊娠・出産が可能というところだけ踏まえてください。それで十分です。
大野 智 嵐(活動休止中)のリーダー。櫻井と結婚し、息子を出産済み。大野は芸名として使っている。息子はジュニアとして活動中。嵐の休止中は自分もお休みすることにした。
櫻井 翔 嵐(活動休止中)のメンバー。大野と結婚し、一児の父になる。息子との共演を密かに楽しみにしている。
相葉 雅紀 嵐(活動休止中)のメンバー。メンバー同士の結婚が続き、少し寂しい。ちょっとした疎外感がある。
二宮 和也 嵐(活動休止中)のメンバー。昨年、同じくメンバーの松本と結婚。
松本 潤 嵐(活動休止中)のメンバー。昨年、二宮と結婚。現在、妊娠中。嵐の活動休止は松本の妊娠・出産のため。ただいまは産休だが生まれたら育休も取得予定。
櫻井 篤史 櫻井と大野の息子。芸名は大野母の旧姓・遠藤。
<立読み>
嵐の活動休止中、智はのんびりすることにした。この十数年、嵐が人気になりすぎて忙しい日々を送っている。それなりに休みはあったが、気が休まる時はなかった。
知らず知らずに疲れが堪る。心が疲弊した。
少し休暇を取るのもいいと考える。
夫である櫻井にも相談した。反対はされない。智が無理をしていることには気づいていた。
智の好きにしていいと言う。
そうすることにした。
テレビでメンバーのレギュラー番組を見るのが日課の、スローライフを始める。
その番組の一つには、1人息子がジュニア枠で抜擢されて出ていた。
智が櫻井との子供を産んだのは20年近く前のことになる。息子はもう19歳だ。
正直、予定外の妊娠だった。
当時はデビューして数年の新人で、嵐として何とも微妙な時期だ。
事務所からは渋い顔をされる。
だが、新人でたいして売れていなかったからこそ、時間はあった。仕事に穴を開けることもあまりなく、結婚し、無事に出産した。心配していたファンの反応も、おおむね好意的だった。メンバー同士の結婚はどちらかといえば受けいれられる。
女性アイドルや女優が相手より、ましだったようだ。もちろんそれで離れたファンもいるだろう。だが、それ以上に応援してくれるファンが増えた。
そして子供を産んで数年後、松本のドラマ主演をきっかけに嵐はブレークを果たす。
その頃にはもうメンバー同士で結婚していることは当たり前のようになっていた。子供のことも暗黙の了解となる。結婚・出産して5年も経っていたのが大きいようだ。ファンも世間もその事実に慣れる。いろんな意味で櫻井と智の結婚はタイミングが良かった。
それでも、メンバー本人達さえ、嵐の人気は一時的なものだと思っていた。
その人気がずっと続くとは考えない。だが、その後も嵐の人気は落ちることがなかった。
もちろん、それは嬉しい誤算だ。
ずっと売れたいと思っていたから、素直にメンバーは喜ぶ。
だがそんな嵐の飛躍の裏で櫻井と智は子育ての問題にぶつかっていた。
仕事が忙しく、子供と接する時間がどんどん取れなくなる。
忙しいのは一時的なことだと思い、智は実家や姉に協力してもらっていた。しかし、そんな中途半端な協力では限界が来る。
息子が幼稚園に通い出した頃、智は育児か仕事のどちらかを選ばなければならなくなった。
だが、仕事を捨てられるわけがない。嵐は運命共同体だ。ほかの3人の人生を狂わせてまで、子供を選ぶことは出来ない。
結局、息子は智の実家に預けることになった。実家には姉がいて、母と姉が2人で息子の面倒を見てくれる。
仕事だから仕方ないと思いながら、後悔もしていた。
息子は今も智の実家で暮らしている。中学に進学する時、高校に進学する時、智と櫻井は一緒に暮らさないかと息子を誘った。しかし、断られる。
息子にとって両親はTVの中の存在になっていた。実際に顔を合わせるよりTVで顔を見る方が多い両親はもう遠い。今さら一緒に暮らすのは……という顔をされた。
そんな顔をされて、どうしても一緒に暮らしたいなんて言えるわけがない。智は諦めるしかなかった。それがどんなにずうずうしい願いなのか、自分でもわかっている。
そんな息子は数年前からはジュニアとして同じ事務所に所属していた。
息子本人の希望で、櫻井と智の息子であることは隠されている。大野の母の旧姓・遠藤を名乗っていた。
わりと人気があるらしく、グループに入って活動している。その息子が相葉の番組にレギュラーとして出ることになった。
その発表を大野は普通の視聴者と一緒にTVの生放送で知る。
思わず、TVの前で大野は固まった。しばらく呆然とした後、はっとして相葉にメールする。
櫻井と大野は自分達の息子がジュニアになったことはメンバーにも話していた。しかし、自分達の息子であることを知られたくないという息子の意思を尊重し、名前さえ教えなかった。気を遣われるのも気まずい。息子が両院のことを隠したがっていることを話して、理解を求めた。
メンバーは何も聞かないでいてくれる。その優しさに、智たちは甘えてきた。
だがさすがに、レギュラーとして定期的に相葉と顔を合わせるのに、隠し続けることは出来ないだろう。
レギュラーに抜擢されたジュニアが自分達の息子であることを相葉に打ち明けた。
レギュラー入りに忖度があるのかないのか、智にもわからない。
ただ一つ確かなのは、滅多に会えない息子の姿を週に一度、TVで見ることが出来るようになったということだ。
それが智は単純に嬉しい。
毎週、相葉の番組を楽しみにしていた。
元気な姿を見て、安心する。
それと同時に、息子もこんな気分で両親を見ていたのかと思うと、何とも切なくなった。
実のところ、息子が自分達にどんな思いを抱いているのか、智は知らない。
怖くて聞くことが出来なかった。
拒絶の言葉が返ってきたら、立ち直れないだろう。
他の誰かに嫌われても、息子にだけは嫌われたくなかった。
だから、TVで活躍しているのを見るだけで満足することにしている。
相葉にだけはこっそりと、息子であることを告げた時によろしく頼むと連絡していた。
相葉も自分の番組のレギュラーとなったジュニアの子が自分と櫻井の息子だとは思いもしなかったようで、連絡したら酷く驚いていた。
2021年3月新刊<販売中>4冊 | |||||||
嵐 | 『どうする? 潤くん 前編』(立読み) | ||||||
『どうする? 潤くん 中編』 | |||||||
『どうする? 潤くん 後編』 | |||||||
『どうする? 潤くん 完結』 | |||||||
翔サト ニノ潤 相葉 |
祝・大河主演ってことで潤ちゃんがちょっと家康に乗り移っちゃう?話です。 翔サトでニノ潤でお送りします。 |
各400円 |
『どうする? 潤くん』
<設定>
松本 潤 嵐(休止中)のメンバー。大河の主演で徳川家康を演じることになった。現在、絶賛役作り中。資料などをいろいろ読みふけっている。夢(?)の中で人質時代の家康の生活を体験する。
二宮 和也 嵐(休止中)のメンバー。松本の夢の中では守役の一人として登場。松平家の家臣で、家康(竹千代)にとっては腹心。
相葉 雅紀 嵐(休止中)のメンバー。松本の夢の中では今川家がつけた守役の1人。竹千代(松本)の動向を常に監視している。
櫻井 翔 嵐(休止中)のメンバー。松本の夢の中では駿府城主の息子役で登場。竹千代(松本)を監視している。
大野 智 嵐(休止中)のメンバー。夢の中では二宮同様松平家の家臣で竹千代の守役。肩身は狭い。櫻井とはただならぬ関係。
<立読み>
松本は資料を持ってベッドに入った。読みながら、横になる。気づいたら、眠っていた。
チチチ……。
鳥の声で目が覚める。
今日はずいぶん大きな声で鳥が鳴いているなと思った。こんな都会では珍しい。しかし、途中で気づいた。鳥の声が大きいのではない。周りが静かなのだ。
松本は瞼を上げる。天井が見えた。
木製の天井はどこかで見たことがある様式をしていた。
(どこで見たのだろう?)
思い出そうとするが、思い出せない。
確かなのは、ここが自宅の寝室ではないことだ。
松本はゆっくりと身を起こす。
(ここはどこだ?)
辺りを見回した。
部屋は畳敷きの和室だ。妙に広い。十畳とかそんな大きさではなかった。
宴会場くらいあると思う。
その真ん中にぽつんと一つ、布団が敷いてあった。松本はその布団に寝かされている。
(以前にもこんな感じで布団が敷いてあるのを見たな)
ふと、思い出す。
それはコンサートの地方の会場でのことだ。
ホールの隣に宿泊施設があって、そこに泊る。合宿とかに使われる建物で、部屋は全て大部屋だ。1人に一部屋用意されたが、広い部屋の真ん中にボツンと布団が一つだけ敷いてあるのは何ともシュールな光景だ。
メンバーの中には、一人で寝るのが怖いと布団を持って他のメンバーの部屋に移動していた者もいる。
そんなことを思い出して、くすりと笑った。
しかし、そんなことを暢気に考えている場合ではない。
自分がここにいる理由を突き止めないと、不味い気がした。
松本はまず、自分の身体に異常がないか確認した。
あちこち触るが、痛みはない。普通に手足は動き、縛られていたり薬を盛られたという感じもなかった。
松本はひとまず、ほっとする。
拉致とか監禁という言葉が脳裏を過ぎっていた。
とりあえずここは、日本家屋の一室なのは間違いないようだ。
それも屋敷と呼んだほうがいい感じの広さだろう。建物全体が広くて大きいことが察せられた。
禍々しい気配は特には感じない。
(どういうことだろう?)
松本は困惑した。
昨夜のことを思い浮かべる。
そこではたと気づいた。
この場所が何処なのか、唐突に理解する。
昨夜の資料の中に、この天井の写真があった
「駿府城……」
まさかと思いつつ、その場所を口にする。
駿府は家康が幼名の竹千代と呼ばれていた頃、14歳まで人質生活を送った場所だ。
その建物は今はもう現存しない。
しかしどういう建物であったかは資料が残っていた。
その資料を見ながら、寝てしまったらしい。
(もしかして、ここは夢の中なのだろうか?)
松本の中にそんな疑問が浮かんだ。
2021年2月新刊<販売中>定期購読4冊 | |||||||
嵐 | 『知らない恋人 前編』(立読み) | ||||||
『知らない恋人 中編』 | |||||||
『知らない恋人 後編』 | |||||||
『知らない恋人 完結』 | |||||||
翔サト ニノ潤 相葉 |
大倉ドラマパロだけど、まったくドラマの内容は無視しています。大学時代、好きだった松本に思いを告げられなかった二宮が仕事の取引相手として再会。でも松本はすでに結婚していて……。時を巻き戻して、やり直そうとする話です。その過程でくっつきそうでくっつかなかった翔サトもくっつけます。 | 各400円 |
2月新刊 『知らない恋人」 <設定>
二宮 和也 36歳、会社員。大学生時代、松本のことをいいなと思いながら、声をかけることが出来ずに終わる。社会人になり、仕事で松本と再会。結婚指輪をしているのを見て、思いを告げることもできなかったことを今さら後悔する。 松本 潤 36歳、会社員。二宮と同じ大学出身。学生時代、同じサークルにいた二宮のことが気になっていたが、一歩踏み出すことが出来なかった。その後、社会人となり結婚。たまたま仕事で二宮と再会する。 相葉 雅紀 37歳。二宮の会社の先輩。実家が近所の幼馴染。二宮が松本を好きなことを知っている唯一の人。だが、応援することは出来ないと思っている。その判断が正しかったのか、結婚話が出ると彼女と別れる二宮を見る度に考えてしまう。 櫻井 翔 38歳。二宮、相葉の会社の先輩。カフェの雇われオーナー・大野と仲良くなり、行きつけにしている。大野との関係は友達以上恋人未満という感じ。 大野 智 40歳、バツイチ。櫻井のいきつけのカフェの雇われオーナー。夜はアルコールも出すので、櫻井たちのたまり場になっている。櫻井とはいい感じだが、お互いに自分の気持ちは口にしないため、何年も何もなく月日が過ぎていた。 |
<ニノ潤部分立読み>
二宮は日々、忙しく過ごしていた。 三十も半ば、社会人としては乗っている時かもしれない。 付き合っている年下の彼女とはあまり会えていないが、向こうに別れるつもりはないようだ。それどころか、そろそろ結婚をというプレッシャーを目に見えて掛けられている。 今までなら、結婚をちらつかされると逃げてきた。二宮に結婚願望はない。だが、最近はもう逃げることさえ面倒くさくなった。 (もう、このまま結婚してしまおうか) そんな諦めに似た境地にいる。 彼女のことは嫌いではない。会えばそれなりに楽しいし、悪い子ではないだろう。だが、好きかと言われると実はそうでもなかった。 二宮にはどうしても忘れられない人がいる。 大学時代、好きな人がいた。だが相手は同性で、好意を伝えることさえ出来ずに終わる。 彼とは友達にさえなれなかった。 卒業以来、彼とは会っていない。おそらく、このまま一生会わずに過ごすだろう。だがそれでも、二宮はどうしても忘れられなかった。 (会いに行く度胸もないくせに) 二宮は自分を笑う。 彼とは学部は違うが大学の同期で、サークルが一緒だ。 本気で会おうと思えば、会う手段はないわけではない。だが、今さら会ってどうなるという気持ちの方が強かった。 普通に考えて、彼はもう既婚者だろう。端整な顔立ちで華があって、彼はとてもモテていた。未だに独身だとは考え難い。 (結婚し、妻がいる男に実は好きでしたなんて告げてどうなる) 二宮は心の中でぼやいた。 相手が迷惑するだけだろう。 (このまま、自分の気持ちに蓋をして、なかったことにするのが一番いい) 大学を卒業してからずっと、二宮はそう自分に言い聞かせてきた。 だが、それが無駄だったことを一瞬で悟る。 目の前に松本が現れた途端、胸の奥に押さえ込んでいた気持ちは一気に噴出した。
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<翔サト部分立読み>
櫻井は店主が大野に代わってから、最初に出来た店の常連客だ。 大野はもともと、ただのバイトだ。 店は持ち主でもあるオーナーのもので、年を取ったからと引退してしまう。バイトだった大野が繰り上がりで店主になることになった。 元々客が少なくほぼオーナーの道楽のような店だったが、大野が店主になってもそれはたいして変わらない。 来るのは前からの常連客だけだ。むしろ、その常連客ために店を続けることをオーナーは望んだといってもいい。 だから、新しい客は珍しかった。 常連客のほとんどは年配なので、同じくらいの年というのも新鮮に感じる。 櫻井はたまたまふらっと立ち寄っただけのようだった。 大野は珍しく、自分から話しかける。 接客には向かない性格なのは自覚していた。客と親しく話をすることなんてほとんどない。 大野は楽しい時間を過ごした。 そう感じたのは大野だけではなかったらしい。その後、度々櫻井は来てくれるようになった。 気づいたら常連になる。 そして、櫻井は二宮や相葉を連れて来てくれた。 3人は会社の同僚だと聞いた。 会社が近いのかと思ったら、違うらしい。わざわざ少し遠くまで来てくれているようだ。 だがそれがいいのだと櫻井に言う。 会社の人間と会いたくない時がサラリーマンにはあるらしい。櫻井はわざと会社から離れた場所にゆっくり寛げそうな店を探していたそうだ。とある仕事から会社に戻る帰り、たまたまいつもと違う道を通ってこの店を見つけたと言われた。 この店は繁華街からは離れている。 「いい店が見つかって、良かった」 微笑んでくれた櫻井に大野はドキッとした。 涙が出そうになる。 店主として、大野は手探りでやっていた。 大野にはカフェを開きたいとかそういう夢があったわけではない。たまたま、仕事を探して、たまたまバイトを見つけて、カフェで働いていただけだ。 それが突然、店を頼みたいと言われる。 無理だったら店を閉めると言われて、引き受けるしか選択肢がなかった。 雇われオーナーなのは気楽だが、プレッシャーはそれなりにある。責任も感じていた。 常連客はみんな年上で、大野を孫みたいに可愛がってくれる。文句があっても言わないのはわかっていた。 だから、自分がちゃんとやれているのか不安になる。 櫻井が現れたのはそんな頃で、櫻井の言葉に大野は救われた。 櫻井はそのことを知らないだろう。大野に言うつもりはない。 だがその日から、大野にとって櫻井は少しだけ特別になった。
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