5月1日
家族4人で、こんな所に来ている。
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呼子である。
呼子と言うからには、目的は絶品豚骨ラーメン!
・・・の筈は無く、
無論イカの活き作りである。
ところがけしからん事に、連休中はどの店も予約はNG。
「どうする。すんげえ待ち時間になるぞ。」(私)
「いいよ、イカ食べたい!行ってみようよ。」(長女)
長女の一言に、覚悟を決めて出てきたものの、
やはり、各店の順番待ちの行列を見ると、気持ちが萎えていく。
逡巡しながらグルグルと港町を回っていると、間違えて酒屋の駐車場に入ってしまった。
ついでだ。
地酒を買い求め、比較的空いてそうな店を尋ねてみた。
「それなら隣はどうです?29日にオープンしたばかりで、ひょっとしたら。」
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「あ、あれですか。ははあ。行ってみます。」
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およそ料理店らしからぬアクセス。
国道から細い石段を登っていくと、
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極々普通の民家があるだけである。
玄関にかかる暖簾が、辛うじてここが料理屋と言う事を示している。
「ごめんください。4人ですけど、今からいいですか?」
「申し訳ありません。イカが無くなっちゃって。お待ち頂けるなら、今から仕入れてきます。」
客を待たせる料理屋に、
『遅いなあ。材料でも、仕入れに行ってるんじゃないか?』
なんてジョークはよく聞くが、それを店主自らが、口にするとは思わなかった。
何だか、それだけで得した気分ではないか。
「どこでも、1時間は待たんといかんけんね。よかですよ。お願いします。」
「有り難うございます。準備が出来たら、電話でお呼び致します。」
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「それなら・・・」
当初に予定していた、朝市通りの散策を前倒しすればいい。
これならば、実質待ち時間ゼロではないか。
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駄菓子屋
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買わずもがなの駄菓子を、ついつい買ってしまう。
「こんなもん、だれが食べるとね。」
と、家内に叱られるのも、いつもの通りである。
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鯨組主中尾家屋敷
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呼子に来たなら、干物も必須である。
ヤツはこれに対しては、小言は言わない。
何故なら、近所のスーパーで買うより安いからである。
プルルル
電話がかかってきた。
仕入れが終わったようだ。
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「お待ちしておりました。こちらの部屋へどうぞ。」
これまた極々普通の、二間続きのお座敷に通された。
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開店直後らしく、胡蝶蘭が床の間に飾られている。
送り主にある、『じっちゃん』と言うのがいい。
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「小鉢六点盛りです。」
「オホ、美味そう。」
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今日の運転は長女がやってくれる。
となると、昼間からこうなる。
まことに目出度い。
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では、佐賀牛のタタキから。
「うめえ!」(一同)
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「ヤリイカのお造りでございます。」
出た!
イカサマの、、、じゃなかった。
イカ様のお出ましだ。
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幻のヤリイカなのだ。
まだ生きていらっしゃるピチピチのイカなのだ。
仕入れの時間(一時間)を辛抱してまで待ったイカなのだ。
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いただきまーす!
「グオ、コリコリやん!」(長女)
「美味しかね!」(次女)
娘どもよ、何なら泣いてもいいのだぞ。
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「天ぷらでございます。」
モグモグ
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最後はパイナップルで締めである。
地酒も買ったし、駄菓子も買ったし、干物も買ったし、
結果的に、並ばないでイカ食べられたし、
百点満点である。