雪見の窓から

観たり聴いたりときどきおしごと

30年めの気づき〜「岸辺のアルバム」を観る〜

2022-10-26 00:36:00 | 日記
日本映画専門チャンネルで放送された「岸辺のアルバム」(山田太一作)最終回を録画で観る。(自分は先々週見たけど、母が観たいというので)

初めてこのドラマを観たのは大学2年になる春休み。
TBSで再放送していた。


当時は年代の近い繁(国広富之)の目線で観ていた。

姉を凌辱したアメリカ人に「I despise you」と覚えたての英語で立ち向かおうとするシーンが忘れられなかった。

 今回は、年齢や立場でいうと、八千草薫演じる則子に近いはずだが、それほど共感しなかった。何しろ、綺麗だ。浮気相手が竹脇無我というのも、釣り合いという点では完璧だが、二人が美しすぎて生活感がなく見惚れてしまうので、不倫の疾しさを感じないのだ。

それよりも、謙作(杉浦直樹)だ。
妻には浮気され、子供は離反、会社は潰れ、家は流され。踏んだり蹴ったりだ。

「この家以外、何も働いた成果がない」という叫び。

悲哀というより、それ以外生きようがなかった昭和の男の強さと弱さを、見事に表していた。

そして家が流される直前、則子と謙作が、家に戻って初めて互いの本音をぶつけ合う瞬間。
有名な台詞「アルバムが大事だって言ったわね」から始まる、則子の謙作への糾弾、そして「贅沢かもしれないけど、寂しかったの」に着地する本音を吐露した直後に、外から消防隊員によって窓ガラスが破られる。

これは、第一回のラジコン飛行機が川原から窓を割って飛び込んできて、田島家の平穏が壊れる瞬間とリンクしていると、今更ながら、初めて気がついた。
職人技だ。



興奮してジャニス・イアンのCD、大学生協に買いに行ったなあ。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿