石川県七尾市にある能登演劇堂で「まつとおね」を観劇してきました。

出演は 吉岡里帆さんと蓮佛美沙子さん。
令和6年能登半島地震復興祈念公演と銘打たれた2人芝居です。

無名塾の仲代達矢さんらと地元の方々との長年にわたる交流で1995年に創設され

後方の扉が開くと広がる雄大な自然が舞台と一体化する劇空間を持つ、国内でも珍しい形態の劇場です。

昨年1月、地震で被災しましたが、今年2月までの大規模修復を経て復活公演となりました。
吉岡さん演じる まつ(前田利家の妻・のちの芳春院)
蓮佛さん演じる おね(豊臣秀吉の妻・のちの高台院)。
夫を支えながら政争に巻き込まれ、家族を奪われ、耐え抜いたまつ。
天下人の妻として欲や憎しみを抱えるその苦しい胸のうちをまつにぶつけるおね。
戦国の世に翻弄されながら平和を祈り、前を向いてたくましく生きるふたりの激しくも生き生きした心情が今を生きる私たちにも響きます。
二人芝居だからこその台詞の掛け合い。
歌舞伎の技法を彷彿とさせる演出の妙、大島ミチルさんのドラマチックかつ優美な音楽。時代や年齢を軽々と超え演じ分ける確かな演技力、感嘆しました。
勿論クライマックスには、舞台後方の扉が開いて光の射す道がふたりを導くように広がっていました(注・昼公演でした)。
キャストのお二人、制作関係者も、この場所で演劇という興業をすることが誰かを傷つけるのではないかと葛藤があったと言います。
しかしこの場所でやるからこその意味があると地元の方との交流で実感し、胸を張って舞台に臨んだとのこと。
そこにはたくさんの笑顔とエネルギーが溢れ、20数年ぶりに訪れた私もパワーを頂いた貴重な時間でした。

震災の爪跡はまだまだ残っています

自分にできることを少しずつでも続けていけたらと思います。


地元名産の「中島菜」のソフトで『のと活』。
石川県の形にも見えてきたりして

