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第2編 統治編 第1章 国会

2005年01月29日 | 憲法
第1章 国会
第1 国会の地位
1 権力分立制の特性
  ①自由主義的,②消極的,③懐疑的,④政治的中立性
 ・権力分立→同じ人間が異なる権力の構成員になることも排除
2 政党
 ・政党の存在
   議会制民主主義を採る以上,当然予想されるところである(八幡製鉄事件判例)
 ・議院内閣制は政党の存在が前提ではない
   むしろ議院内閣制の本質(議会の信任に依拠)と矛盾が生ずる
 ・政党内部についての争いについて
   適正な手続を履践したか否かの観点から審理判断されなければならない(判例)
   ただし,公序良俗に反している場合→手続審査のみに限らない
 ・除名処分は議席を失わせるものでなければ43Ⅰに反しない
 ・日本国憲法は政党の「承認」段階(トリーペルの分析)
3「国の唯一の立法機関(41後段)」
 (1)「唯一」の意義
  ・国会中心立法の原則(立法そのもの)
   「国の立法」権を国会が独占するという原則
    例外:議院規則制定権(58Ⅱ)・裁判所規則制定権(77条)・地方公共団体の条例(94条)
    問題となるもの:法律の委任
  ・国会単独立法の原則(立法過程)
    「国の立法」は国会の手続においてのみ完成し他の国家機関の関与を許さないという原則
    例外:地方自治特別法(95条)・憲法改正国民投票(96条)
    問題となるもの:内閣の法律案提出権・法律への署名と連署(74条)
    明治憲法下では立法権は天皇が帝国議会と共同で行使し(5条)天皇が「裁可権」を持つことを明記していた(6条)
    公布(7条):すでに成立した法律をその施行前に国民に周知させる行為であり,公布が法律の「成立要件」となることはない(法律の「効力発生要件」ではある)
 (2)「立法」
  「実質的意味における立法」を形式的意味における法律によって行うこと
  ・実質的意味における立法の意味
   一般的抽象的法規範
   行政各部の組織も「立法」に含まれる 
   どの説をとっても憲法で法律事項を規定しているものは必要的法律事項となる 
  ・憲法上明文で必要的法律事項とされているもの
   皇位の継承(2条,「皇室典範」)
   天皇の国事行為の委任(4Ⅱ)
   摂政(5条,「皇室典範」)
   国民の要件(10条)
   国・公共団体の賠償責任(17条)
   教育の権利・義務(26ⅠⅡ)
   勤労条件に関する基準(27Ⅱ)
   財産権の内容(29Ⅱ)
   納税の義務(30条)
   刑罰を科する手続(31条)
   刑事補償責任(40条)
   両議院の議員定数(43Ⅱ)
   議員・選挙人の資格(44条)
   選挙に関する事項(47条)
   議員の歳費(49条)
   不逮捕特権の例外(50条)
   両院協議会(59Ⅲ,60Ⅱ,67Ⅱ)
   弾劾裁判(64Ⅱ)
   内閣の組織(66Ⅰ)
   内閣の職務(73①④⑥)
   下級裁判所の設置(76Ⅰ)
   最高裁判所の長官以外の裁判官の員数(79Ⅰ)
   国民審査に関する事項(79Ⅳ)
   裁判官の定年(79Ⅴ,80Ⅰ但書)
   租税の賦課・変更(84条)
   会計検査院の組織・権限(90Ⅱ)
   地方公共団体の組織・運営(92条)
   地方公共団体の議会の設置・選挙を要する吏員の設定(93ⅠⅡ)
   地方特別法の住民投票(95条)

第2 国会の組織と活動
1 二院制の分類
 ①貴族院型(イギリス・明治憲法)
 ②連邦型(アメリカ)
 ③多角的民意反映型・民主的第二院型(フランス・日本)
2 二院制の存在理由
 ・議会の専制防止
 ・下院と政府との衝突の緩和
 ・下院の軽率な行為・過誤の回避(②③の主要な理由)
 ・民意の忠実な反映(②③の主要な理由)
3 両院対等の決議事項
 ・皇室財産授受に関する「国会の議決」(8条)
 ・予備費支出に関する事後の「国会の承諾」(87条Ⅱ)
 ・決算審査(90Ⅰ)
 ・憲法改正発議(96Ⅰ)
 ・国会の休会(国会法15条)
4 衆議院の優越
 ・権限事項の領域
60Ⅰ(予算先議),69条(法的効果を伴う内閣不信任決議)
 ・議決の効力面
 59条(法律案の議決),60条(予算の議決),61条(条約承認の議決)。,67条(内閣総理大臣指名の議決)
 ・法律上の優越
 国会法13条(臨時会・特別会の会期決定・会期の延長),会計検査院法4Ⅱ(検査院の任命の同意)
 ・衆議院の優越の理由
  ①任期・解散制度からより民意に密着した会議体であり民主政治の徹底に資すること
  ②二院対等の場合と比べて国会と内閣の関係が単純化され強い内閣による安定した統治が実現できること
5 議決の過半数主義(56Ⅱ前段)の例外(「特別の定め」)
 ①資格争訟裁判における議席喪失の判決(55但書)出席議員の3分の2以上
 ②議院が秘密会とする決定(57Ⅰ但書)          同上
 ③院内の秩序を乱した議員の除名の決定(58Ⅱ但書)    同上
 ④法律案についての衆議院の再議決(59Ⅱ)        同上
 ⑤憲法改正の発議(96Ⅰ)            総議員の3分の2以上
 ⑥臨時会召集の要求(53)    いずれかの議院の総議員の4分の1以上
 ⑦表決の会議録記載の要求(57Ⅲ)       出席議員の5分の1以上
6 会期:常会・臨時会・特別会
 ・緊急集会は国会の会期ではない
 ・常会:予算の議決などのために毎年一回召集される国会(52条)
     150日間・延長1回
 ・臨時会:必要に応じて臨時に召集される国会 延長2回
  ①内閣が必要とするとき(53前段)
  ②いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があるとき(53後段)
  ③衆議院議員の「任期満了」による総選挙が行われたとき(国会法2の3Ⅰ・任期開始から30日以内)
  ④参議院議員の「通常選挙」が行われたとき(国会法2の3Ⅱ・任期開始から30日以内)
 ・特別会:衆議院の「解散」による総選挙後に召集される国会(54Ⅰ) 
7 法律案の再議決(59Ⅱ)
  衆議院で「出席議員の3分の2以上の多数で再び可決」で法律に
8 両院協議会
 ・両議院独立活動原則の例外
 ・一切傍聴を許さない(国会97条)
 ・予算の議決(60Ⅱ)・条約締結の承認(61条)・内閣総理大臣の指名(67Ⅱ)の場合は必ず開かなければならない
  両院協議会で協議がまとまらない場合(「意見が一致しないとき」)は,衆議院の議決が国会の議決となる
 ・法律案の議決(59Ⅲ)は必ずしも両院協議会を開く必要なし(衆議院の判断による)
  →衆議院で3分の2以上の多数による再可決で法律になる
 ・異なった議決をしたときに衆議院の議決が国会の議決となる場合→両院協議会は「必要的」
 ・両院協議会の成案といえども59Ⅰの原則通り両院での可決が必要(国会93条)
 ・憲法上に定められた場合の他に先議の議院が要求した場合は開かれる(国会87条)
9 参議院のボイコット
 ・法律案 60日 否決したものとみなすことが「できる」(59Ⅳ)
      →59Ⅱ(再可決)適用のため
 ・予算案 30日 衆議院の議決を「国会の議決」とする(60Ⅱ)
 ・条約は予算と同様(61条,60Ⅱ)
 ・内閣総理大臣指名 10日 同上(67Ⅱ)
  ※法律案の場合は衆議院は「否決したものとみなす」議決(出席議員の単純多数決)を行う必要あり→参議院にその旨の通知(国会法83の3Ⅰ)
  ※当然のように否決したものと「みなされる」わけではない。
  ※「衆議院が解散」されたときは参議院も同時に「閉会」となる(54Ⅱ)
    この場合,60Ⅱの「30日」に参入しないと解されている
    60Ⅱは参議院のボイコットにより衆院の優越が機能しないことを防止することにある
10 会期不継続・,一事不再議原則
 ・会期不継続の原則:会期中議決するに至らなかった案件は後会に継続しないという原則
 ・一事不再議の原則:同一の問題につき同じ会期中に再びこれを審議しないという原則

  日本国憲法にはどちらも明文規定なし(会期制は52条,53条が前提としている)
  明治憲法には会期制(明憲42条),一事不再議原則(明憲39条)の規定あり。しかし,会期不継続は明文がなし
 ・憲法上に一時不再議の原則の例外規定あり(59Ⅳ)
  また,事情の変更による合理的理由があれば同一会期中の再提案も可能と解されている
  懲罰事犯については会期不継続の原則の例外として後会に継続する(国会68条)
11 選挙制度
 ・小選挙区制→多数代表制
 ・大選挙区完全連記制→多数代表制
 ・大選挙区単記制→少数代表制
 ・大選挙区制限連記制→少数代表制
 ・比例代表区→比例代表制
12 議員の歳費
 ・「法律」の定めるところにより」(49条)→衆議院が優越する(59条)
 ・「相当額」→裁判官と異なる(79Ⅵ,80Ⅱ「定期に」「相当額」)
13 不逮捕特権(50条)
 ・沿革的には反対党を抑圧するために野党議員を逮捕したことに対して議会政治を守るために認められてきた。
  ←→免責特権(51条)は政治活動の自由の保障
 ・「逮捕」は広く公権力による身体の自由の拘束を意味する
   刑訴法上の逮捕,勾引,勾留のみに限定されず,精神保険福祉法上の保護拘束,措置入院含む行政上の拘束も含まれる。しかし,自由刑の執行,労役場留置はこれに含まれない
 ・国会閉会中の委員会における継続審議は「会期中」に含まれない。委員として活動しているのであって「国会」にあたらないから。ただし,緊急集会は,国会の職務を暫定的に代行するものであるから,「国会」に入る
 ・議院の許諾の判断基準(50条)ー条件・期限の付与の可否
  ①議員の身体の自由の保護
   基準:逮捕が正当か否か→条件・期限付き許諾は許されない(逮捕権の濫用防止にとどまる)
  ②議院の正常な活動の保障
   基準:議院の職務執行にとって妨げとなるか→条件・期限付き承諾は許される(議員の組織活動力の保全が目的)
  ※逮捕が正当か否かの判断能力は各院にはない
 ・例外:院外の現行犯(国会33条)
 院内の現行犯は議院の内部警察権によって議院自体で自主的に行うことが予定されている→院外の現行犯と同様に扱われるわけではない
14 免責特権(51条)
 ・国会議員の職務行為は政治的責任の対象とするにとどめ法的規制の対象外で
 ・暴力行為は対象外 
 ・野次とか単なる私語は対象外
 ・議員が同時に公務員や弁護士である場合には懲戒責任も免責される
 ・国務大臣として行った行為は対象外(多数説,下級審判例)
  議員ではない国務大臣とのバランスから。
 ・辞職後も在職中の発言の責任を追及されることはない。
 ・議院における発言が問題となり国家賠償法が適用される場合に,国の議員に対する求償権を否定することで51条の趣旨が生かされるとする下級審判例あり
  他方で私人からの国家賠償請求を認めると当該議員が証人として追求され,議員の発言を萎縮させるおそれがあると考える見解あり
 ・損害賠償責任の前提の違法か否かの法的評価は原則として許されない(判例)
15 万年国会制
  議会の行政権に対するコントロールを重視(ドイツ・フランス)
  通説は52条,53条(常会・臨時会)から否定的
16 臨時会の召集(53条)
 ・いずれかの議院の総議員の四分の一以上の要求(53条後段)で内閣は召集決定義務 
 ・「内閣」が単独召集を決定することもできる(53条前段)
17 参議院の緊急集会(54ⅡⅢ)
 ・要件:衆議院の「解散」中・緊急の必要・「内閣」の求め(参院の自発・衆院任期満了では開催できない) 
 ・不逮捕特権,免責特権は及ぶ(不逮捕特権のみ国会法に規定あり・国会法100)
  緊急集会が会期にあたるからではないことに注意
 ・「効力を失ふ」(54Ⅲ)は将来効 
 ・必要な事項のみ→憲法改正発議はできない
  要求権は「内閣」のみ。参議院は内閣提出の案件のみ権能行使可(国会99Ⅰ)。議員による議案の発議は当該案件に関連のあるものに限り認められる(国会101条)→議員による発議が認められないわけではない
 ・両院同時活動原則の例外
 ・天皇の召集手続は不要
 ・緊急集会に会期の定めなし(会期に含まれない) 
   緊急の案件がすべて議決されたときに,参議院議長が緊急集会が終わったことを宣告することで終了(国会法102の2)
 ・緊急集会で予算及び法律を「成立させる」ことができる
   衆議院の同意がなくても「不成立になる」わけではない(54Ⅲは将来効のみ)
18 定足数,議決,公開等
 ・議事要件であるとともに議決要件である(会議継続要件でもある)
 ・各総議員の3分の1以上の出席(56Ⅰ)
   なお,認定するのは議院自身である
 ・委員会は半数
 ・両院協議会は3分の2以上
 ・通常の議決(56Ⅱ)→「出席議員の過半数」で
   「総議員」なのは,憲法改正発議(96条,各議院の3分の2以上)と臨時会招集(53条・いずれかの議院の4分の1以上)のみ
 ・会議の公開(57ⅠⅡ)
   「公開」の意味は82条の「公開」と同じ
   「委員会」は本会議(議員すべてで構成する議員全体の会議)ではないので決議により秘密会にすることができる(国会52Ⅱ)
   「委員会」は議員と報道関係者にのみ傍聴が許されている(国会52条)
   両院協議会は一切の公開を禁じている(国会97条)
   公開の会議の忠実な伝達は民事上又は刑事上の責任の原因とならない。会議公開の原則が報道の自由を含む効果
 ・議員の発議権
 原則としてその議院が議決権を持つすべての事項について議案発議権を持つ
   ただし,予算(7⑤)や条約(73③)についての発議権は内閣にあり,議院にはない
   皇室財産授受の国会の議決(8条)も内閣から提出される


第3 国会の権能
1 弾劾裁判所(64条)設置権
 ・裁判官訴追委員会の(罷免の)訴追を待って裁判する(国会法126)
 ・各議院の10人の訴追委員で組織する(裁判官弾劾法5Ⅰ)
  ※訴追委員会の構成は「法律」に委ねられている(64Ⅱ)
   訴追委員と裁判員との兼任は禁止されている(国会法127)
 ・弾劾裁判所→「両」議院の議員で組織する(64Ⅰ)
 ・国会「閉会」中でも活動能力を有する。国会とは別個独立の機関だから
  国会の権限に属するのは弾劾裁判所の設置まで
 ・「裁判(82条)」に入らない→憲法上公開しなくてもよい
   ただし,裁判官弾劾法26条で「対審及び裁判の宣告は,公開の法廷で」と定めている
 ・罷免させるには「罷免事由」は必要
   弾劾手続は法律で定める←→分限裁判は手続を規則で定めることができる
2 内閣総理大臣指名権(67Ⅰ)
 ・通常の議案と異なり先議・後議の別はなく独立に議決する
 ・資格:国会議員(67Ⅰ),文民(66Ⅱ)
 ・任命(6Ⅰ)は天皇
3 条約承認権(73③):締結は内閣の権限
 ・「条約」:実質的意味の条約は条約の名称の有無に関わらず「すべて」含む
  ※条約の実施のための細則の取り決めは承認不要
  ※行政協定は73②で国会の承認は不要 
 ・承認について衆議院の優越が認められる(61条→60Ⅱ)
  ※衆議院の先議はない
 ・国会の条約修正権
  ①肯定説
   ・条約締結は国会と内閣の協働行為
   ・国会は「国権の最高機関(41条)」
   ・不一致の場合に両院協議会が予定されている(61条)
  ②否定説
   ・国会の条約承認は条約の効力を確定する批准権を内閣に授権する行為
   ・国会は国を代表して相手国と直接交渉する権限を有しない
4 財政監督権(83条以下)

第4 議院の権能
1 議院の自律性
 ・国会を構成する各院がそれぞれ独立して審議・議決を行う機関であることに鑑み他の機関や他の院の干渉を排して行動できること
   三権分立(41条,65条,76Ⅰ),二院制(42条)から
 ・自律性を確保するための諸権能
  ①自主組織権
   ・議院役員選任権(58Ⅰ)
   ・議員資格争訟の裁判権(55条)
   ・議員の逮捕の許諾及び釈放要求権(50条)→組織活動力の保全
   ・議員の辞職の許可(国会107条)
  ②自律的運営権
   ・議院規則制定権(58Ⅱ前段)
   ・議員懲罰権(58Ⅱ後段)→地方議会議員の場合に注意(除名は別)
   ・議長の秩序保持権(国会法114等)
   ・議事手続→司法審査の対象になるかは問題(警察法改正無効事件は,統治行為として対象にならないとしている)
2 議員資格争訟(55条)
 ・資格=被選挙権と兼職禁止
 ・「議席を失はせるには,出席議員の3分の2以上の多数による議決を必要とする」
 ・「資格あり」との議決をする場合には原則通り「出席議員の過半数(56Ⅱ)」で決する
 ・「資格なし」の議決は当然に議席を失わしめることになる
 ・「裁判」とあるので裁判手続で行わなければならない
3 議院規則制定権(58Ⅱ前段)
 [議院規則と法律の関係]
 ・議院規則の所管事項(「会議その他の手続及び内部の規律に関する規則(58Ⅱ)」)を法律で定めることができるか
  ①全面肯定説
  ②全面否定説(→次項は問題にならない)
  ③折衷説(国民を義務づけるものについてのみ法律で定めうる) 
 ・(法律で定めうるとして)両者が競合する場合の優劣
  ①法律優位説
  ②規則優位説
4 議員懲罰権(58Ⅱ)
 ・自立性が害されない限り憲法上国会法や議院規則で規定する必要はない
 ・単なる決議でも可
 ・議員の職務行為と全く関係のない行為は懲罰の対象とすることはできない
   例)議院外の窃盗容疑で取り調べを受けたこと
 ・懲罰の種類(国会144条)
  ①公開議場における戒告
  ②公開議場における陳謝
  ③一定期間の登院禁止
  ④除名(→58Ⅱ但書)
  ※国会法上で懲罰として減給処分はないことに注意
   「除名」する場合のみ出席議員の3分の2以上の多数の議決が必要(58Ⅱ但書)
5 国政調査権(62条)
 ・補助的権能説
  ①国政調査権は議院がその権能を有効かつ適切に行うことができるための手段
   調査の範囲も,議院・国会の権能の範囲に限る(下級審判例)
   個人の刑事責任追及を実質上の目的とするような調査権行為は違法な国政調査となる。政府(検察・警察)の権限だから。この点は,独立権能説からも「国政」の範囲ではないので同様の結論になる
  ②二重煙突事件では「並行調査」も直ちに裁判官に予断を抱かせる性質のものではなく裁判の公平を害しないという判示をしている
  ③行政監督権から広く認められるが行政作用については一定の限界がある
   検察事務→準司法的性格を有し司法権と同様に公正かつ独立に公正される必要がある
   特定人の思想調査を目的とする国政調査権は許されない(19条にも抵触)
   純然たる私事,個人の内心,個人の有罪性の探索のみを目的とする調査は許されない←そもそも国政調査権は国民の利益に奉仕するために設けられたもの
  ④公務員の職務上の秘密
   「職務上の秘密であること」の申立
   証言・提出請求には公務所もしくは監督庁の承認が必要
   承認を拒絶した場合は理由の疎明が必要
   理由が受諾できない場合は「内閣声明(国家の利益に重大な影響を及ぼす旨)」を要求できる
   10日以内に内閣声明が出されないときは,証人は証言・提出義務
  ⑤対司法権
 具体的事件が「訴訟係属中」である場合に「訴訟指揮」など裁判官の裁量に属する事項について調査することは許されない
   訴訟指揮は裁判官の判断そのものに介入することは心証形成に影響を与えるおそれがあり,望ましくない
   もちろん,必要な場合は判決や裁判手続についても国政調査の対象とできる
  ⑥各議院の委員会も国政調査権を行使することができる
  ⑦裁判官訴追委員会の行う調査権の行使は62条の国政調査権に基づくものではない。
   訴追委員会は「両議院」とは別個独立の機関だから
  ⑧「証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる」
   捜索・押収・逮捕は許されない
   証人喚問権の帰属及びその行使方法の決定は議院規則で可能
6 請願を受理する権限(国会79条以下)