一 担保物権総論
1 担保物権の通有性
→附従性、随伴性、不可分性、物上代位性
留置的効力は違う
2 債権者の占有が必要なもの→質権、留置権
3 追求力→動産典型担保物権には認められていない(302、352、333)
4 果実を取得して債権の優先弁済に当てることができるもの→留置権と質権(297、350)
5 使用収益権のあるもの→不動産質権(356)
6 即時取得により追求力が失われるもの→動産譲渡担保、所有権留保
7 被担保債権に制約あり→留置権と先取特権
8 条件、期限付きの被担保債権のために設定された質権・抵当権は条件成就・期限到来時をもって発生するわけではなく、約定時に発生。
9 担保物権は、被担保債権の全額の弁済があれば誰が弁済した場合でも常に消滅するわけではない。
例:第三者による弁済→弁済による代位
二 留置権(295~)
1 優先弁済権、物上代位性なし
2 競売申立権あり(形式的競売)
3 占有の喪失で留置権消滅(302)
・間接占有があれば占有の喪失とは言えない。承諾の有無とは関係なし(298条2項)
・また、占有回収の訴えで占有を回復すれば消滅しなかったことになる
4 債権と物との牽連性(判例)
・建物買取請求権(借地借家法13)を被担保債権とする敷地の引渡拒絶は、建物の引渡拒絶の効力として認められる。
・費用償還請求権を被担保債権とする家屋の留置はできる。
・造作買取請求権(借地借家法33)を被担保債権とする建物の留置はできない。
・敷金返還請求権を被担保債権とする家屋の留置はできない。
・二重譲渡の第一譲受人が買主に対して有する損害賠償請求権を被担保債権とする家屋の留置はできない。
・譲渡担保設定者が担保権者に対して有する損害賠償請求権を被担保債権とする不動産の留置はできない。
・他人物買主が他人物売主に対して有する損害賠償請求権を被担保債権とする目的物の留置はできない。
・目的物が甲→乙→丙と転売された場合に、甲の乙に対する代金債権を被担保債権とする目的物の留置はできる。
・仮担保設定者が担保権者に対して有する清算金債権を被担保債権とする不動産の留置はできる。
5 果実収取権あり(297)→利息、元本の順で充当
果実を収取できても必要費は所有者に「全額」償還請求できる(299条1項)
6 有益費償還請求に基づいて留置権を行使している間に支出された有益費償還請求権についてさらに留置権が成立する
7 留置権の消滅請求
298条3項の「債務者」とは目的物の所有者のこと。被担保債権の債務者と異なる場合あり。
8 訴訟上の留置権の抗弁→催告(153)として時効中断効あり
三 先取特権
1 一般先取特権(306)
一般先取特権も登記できる(不登法1)
一般先取特権には物上代位はない。
債務者の総財産の上に及ぶ→質権が設定されている不動産の上にも及ぶ
2 動産売買先取特権(311条6号、322)
3 不動産の先取特権(325~)
登記の先後で優劣が決まるとは限らない(331条1項→保存、工事、売買の順)
保存、工事、売買の先取特権は登記が必要(337、338、340)
339→登記したる先取特権(保存、工事)は抵当権に優先
4 動産質権との競合
動産質権の優先(334)
5 追求効
動産の場合は第三者に譲渡され引き渡された場合に追求効がなくなる(333)。
この第三者は悪意でもよい。
四 質権(342~)
1 引渡が効力要件(344)
2 設定者による代理占有の禁止(345・強行規定)
3 優先権をもつ債権者に留置を対抗できない(347但書)
4 物上代位権なし。果実収取権、承諾による使用収益権、承諾転質は先取り特権の規定が準用される。
※責任転質(348)→不可抗力の場合も責任を負う
5 承諾を得て質物を賃貸した場合
→利息・元本の順で賃料を被担保債権に充当する。必要費に充てることはできない(297条2項)
6 動産質権
(1) 占有、継続は対抗要件(352)
(2) 設定者に対して質物返還しても質権消滅しない。対抗力を喪失するだけ。345の場合も間接占有の喪失として対抗力を喪失するだけ
(3) 間接占有があれば対抗力は失わない(占有には間接占有も含む)。ただし、350→298(無断使用、賃貸)が問題になることはある
(4) 動産質権に基づく返還請求は認められない(353)。占有回収の訴えによる
したがって、詐取されたり遺失した場合は、質権・占有権(強窃盗のみ可)のいずれによっても回収できない。しかし、質権が消滅するわけではなく、対抗力を喪失するのみ。留置権と異なる。
(5) 抵当権が設定できる動産については質権設定が禁止される。船舶(商850、851)、自動車、航空機、建設機械など
7 不動産質権
(1) 登記があれば質権に基づく返還請求可能(177)
ただし、登記をしても引渡がなければ質権の効力は生じない(344)
(2) 目的不動産を使用収益しうる(356)。また、占有権原となる(342)。ただし、利息請求できない(358)
(3) 管理費用その他(公租公課含む)は質権者が負担(357)
(4) 356~358は特約で廃除できる(359)
(5) 10年の存続期間制限(360)。ただし、超過しても全部が無効になるわけではない。
8 権利質
(1) 債権証書があればその証書の引渡によって質権設定の効力が生じる(363)
証書がなければ契約のみ
対抗要件は364→467準用。
(2) 物上代位性あり(362条2項→350→304)。
1 担保物権の通有性
→附従性、随伴性、不可分性、物上代位性
留置的効力は違う
2 債権者の占有が必要なもの→質権、留置権
3 追求力→動産典型担保物権には認められていない(302、352、333)
4 果実を取得して債権の優先弁済に当てることができるもの→留置権と質権(297、350)
5 使用収益権のあるもの→不動産質権(356)
6 即時取得により追求力が失われるもの→動産譲渡担保、所有権留保
7 被担保債権に制約あり→留置権と先取特権
8 条件、期限付きの被担保債権のために設定された質権・抵当権は条件成就・期限到来時をもって発生するわけではなく、約定時に発生。
9 担保物権は、被担保債権の全額の弁済があれば誰が弁済した場合でも常に消滅するわけではない。
例:第三者による弁済→弁済による代位
二 留置権(295~)
1 優先弁済権、物上代位性なし
2 競売申立権あり(形式的競売)
3 占有の喪失で留置権消滅(302)
・間接占有があれば占有の喪失とは言えない。承諾の有無とは関係なし(298条2項)
・また、占有回収の訴えで占有を回復すれば消滅しなかったことになる
4 債権と物との牽連性(判例)
・建物買取請求権(借地借家法13)を被担保債権とする敷地の引渡拒絶は、建物の引渡拒絶の効力として認められる。
・費用償還請求権を被担保債権とする家屋の留置はできる。
・造作買取請求権(借地借家法33)を被担保債権とする建物の留置はできない。
・敷金返還請求権を被担保債権とする家屋の留置はできない。
・二重譲渡の第一譲受人が買主に対して有する損害賠償請求権を被担保債権とする家屋の留置はできない。
・譲渡担保設定者が担保権者に対して有する損害賠償請求権を被担保債権とする不動産の留置はできない。
・他人物買主が他人物売主に対して有する損害賠償請求権を被担保債権とする目的物の留置はできない。
・目的物が甲→乙→丙と転売された場合に、甲の乙に対する代金債権を被担保債権とする目的物の留置はできる。
・仮担保設定者が担保権者に対して有する清算金債権を被担保債権とする不動産の留置はできる。
5 果実収取権あり(297)→利息、元本の順で充当
果実を収取できても必要費は所有者に「全額」償還請求できる(299条1項)
6 有益費償還請求に基づいて留置権を行使している間に支出された有益費償還請求権についてさらに留置権が成立する
7 留置権の消滅請求
298条3項の「債務者」とは目的物の所有者のこと。被担保債権の債務者と異なる場合あり。
8 訴訟上の留置権の抗弁→催告(153)として時効中断効あり
三 先取特権
1 一般先取特権(306)
一般先取特権も登記できる(不登法1)
一般先取特権には物上代位はない。
債務者の総財産の上に及ぶ→質権が設定されている不動産の上にも及ぶ
2 動産売買先取特権(311条6号、322)
3 不動産の先取特権(325~)
登記の先後で優劣が決まるとは限らない(331条1項→保存、工事、売買の順)
保存、工事、売買の先取特権は登記が必要(337、338、340)
339→登記したる先取特権(保存、工事)は抵当権に優先
4 動産質権との競合
動産質権の優先(334)
5 追求効
動産の場合は第三者に譲渡され引き渡された場合に追求効がなくなる(333)。
この第三者は悪意でもよい。
四 質権(342~)
1 引渡が効力要件(344)
2 設定者による代理占有の禁止(345・強行規定)
3 優先権をもつ債権者に留置を対抗できない(347但書)
4 物上代位権なし。果実収取権、承諾による使用収益権、承諾転質は先取り特権の規定が準用される。
※責任転質(348)→不可抗力の場合も責任を負う
5 承諾を得て質物を賃貸した場合
→利息・元本の順で賃料を被担保債権に充当する。必要費に充てることはできない(297条2項)
6 動産質権
(1) 占有、継続は対抗要件(352)
(2) 設定者に対して質物返還しても質権消滅しない。対抗力を喪失するだけ。345の場合も間接占有の喪失として対抗力を喪失するだけ
(3) 間接占有があれば対抗力は失わない(占有には間接占有も含む)。ただし、350→298(無断使用、賃貸)が問題になることはある
(4) 動産質権に基づく返還請求は認められない(353)。占有回収の訴えによる
したがって、詐取されたり遺失した場合は、質権・占有権(強窃盗のみ可)のいずれによっても回収できない。しかし、質権が消滅するわけではなく、対抗力を喪失するのみ。留置権と異なる。
(5) 抵当権が設定できる動産については質権設定が禁止される。船舶(商850、851)、自動車、航空機、建設機械など
7 不動産質権
(1) 登記があれば質権に基づく返還請求可能(177)
ただし、登記をしても引渡がなければ質権の効力は生じない(344)
(2) 目的不動産を使用収益しうる(356)。また、占有権原となる(342)。ただし、利息請求できない(358)
(3) 管理費用その他(公租公課含む)は質権者が負担(357)
(4) 356~358は特約で廃除できる(359)
(5) 10年の存続期間制限(360)。ただし、超過しても全部が無効になるわけではない。
8 権利質
(1) 債権証書があればその証書の引渡によって質権設定の効力が生じる(363)
証書がなければ契約のみ
対抗要件は364→467準用。
(2) 物上代位性あり(362条2項→350→304)。