町教育委員会主催の「ふるさと理解研修」に参加しました。奥出雲の魅力ある「ひと・もの・こと」に直接触れ、町のよさや魅力を感じること、そして、そこからふるさと教育のヒントを見つけることが目的の研修会で、毎年見学先を変えながら実施してくださっています。
今回の見学先は次のとおりです。
午前:たたらと刀剣館 ⇒ 布勢地区の古墳(八代遺跡) 島根考古学会の松本先生の講義
午後:たたら角炉伝承館 ⇒ (株)加地 本社工場
午前中は他の用事があり、残念ながら参加できず、でも午後からは張り切って参加しました。どちらも以前から行ってみたかった施設でした。
◆たたら角炉伝承館
阿井地区にあるたたら製鉄の遺構です。角炉とは、一言で言うと、たたら製鉄を行う炉の進化版です。大正時代に登場した設備だそうで、炉を粘土ではなく耐久性のあるレンガ造りにしたことで、繰り返し操業ができること、一度に大量の鉄が取り出せることがウリです。(6年生が体験するのは、粘土造りの炉での製鉄です。ちなみに、角炉では玉鋼が含まれる「ケラ(鉧)」を取り出すことはできないため、「ズク(銑)」と呼ばれる鉄を生産していたようです。)
2階部分から、材料となる砂鉄や木炭を投入したそうです。炉の上部に見えるのは、送風菅。ふいごから送られてくる空気を温めるために、炉の周りを囲むように配置されています。
6人が1班で、15分おきに材料を投入したり、ズク(銑)を掻き出したり。それを12時間ぶっ通しで続けたそうです。(12時間たったら別の班と交代。ずいぶんな長時間労働だったのです。)
溶け出たズク(銑)を掻き出すようす。恐ろしく熱い、超危険な作業だったと思われます。
ふいご(送風機)。たたらと刀剣館に行くと、手で押すタイプ、足で踏むタイプ(もののけ姫にも出ていた)などが展示されていますが、角炉では、より大量に送風することが必要だったため、水車のパワーを利用したふいごが考案されました。(↓ 見えにくいかもしれませんが、外に水車があります。)
西洋の製鉄技術に押され、終戦とほぼ同時に泣く泣く廃炉となったようですが、この地での良質な鉄づくりをなんとしてでも継続したいともがいた先人の執念がひしひしと伝わってくる施設でした。
ご存じの通り、洋鉄では日本刀は作れません。良質な玉鋼は、古来から伝わるたたらでしか作れないということで、昭和52年に奥出雲町鳥上地区で日刀保たたらが再興されることになります。
◆(株)加地 本社工場
ご存じ、三成小から見て川の対岸に建つ、奥出雲の誇る(株)加地さん。「奥出雲から世界へ」を標榜し、他社にはない特別な技術で作られた「EXGEL(エクスジェル)」を使った商品開発を進めておられるすばらしい企業です。
会社の沿革から、主力商品の特徴まで、ていねいに説明していただきました。
↓ 茶色の半固体のものがEXGEL。ねば~~~っとしていました。
↓ 厚さ数ミリのEXGELにゴルフボールを落とすと、ぴたっと吸い付くようにボールが止まりました。衝撃吸収性能が抜群で、1ミリも跳ねません。たぶん、ワイングラスや生卵を落としても割れないと思います。
EXGELを使った商品を興味津々で触る先生たち。圧力を分散させる性質にも優れているため、長時間座っても疲れにくいのだとか。医療分野でもひっぱりだこなのだそうです。
このあと、工場内も見学させていただきました。残念ながら、撮影禁止だったので写真はありません。
「奥出雲」のすばらしさをまたひとつ発見できた半日でした。
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