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政治、経済、歴史、その他

人の不幸で肥えるエコノミスト藤巻

2013年01月16日 | 経済
人の不幸で肥えるエコノミスト藤巻

本日は今日のyahooニュースのトップ記事になっていた、1月15日のBloomberg(ブルームバーグ)安倍財政で日本は年内にも破綻、「ガラガラポン」早まる-藤巻氏』より。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130115-00000040-bloom_st-bus_all&p=1

なにやら、本日のyahooニュースアクセスランキングで経済部門1位の記事だそうです。
下記は藤巻氏のコメントを主に抜粋したものです。

『著名投資家ジョージ・ソロス氏の投資アドバイザーを務めた経歴を持つフジマキ・ジャパン代表取締役の藤巻健史氏は、安倍晋三政権の財政拡張政策により、年内にも日本の財政が破綻する可能性があるとの見方を示した。
「景気が回復しても、金利が上昇すれば、税収増加よりも金利支払い増加の方が大きくなり、日本の財政はもたない」
「資金が株式市場に向かえば、金利が上昇する。あるいは円安が進み、円預金が海外に流出してドル資産などに向かえば、銀行など金融機関が国債を購入する資金がなくなる。現在、ぎりぎりのところで国債を買い支えているが、財源が枯渇すれば、かなり危険な状況になる」
「日本銀行がお金を印刷して、ハイパーインフレーションになれば、1ドル=300-400円以上まで円安が進み、ロシアが崩壊した時と同様に長期金利は60-80%程度まで急上昇する可能性がある」
「このまま何もせずにずるずると悪くなって2、3年後に崩壊するよりは、今やって早く崩壊させた方が、経済学者シュンペーターの言う『創造的破壊』につながり、その後の回復が早くなる。ここまで公的債務残高が膨らむと、どちらにしても救いようがないので、早く崩壊させた方が良い」
「日銀の独立性と権威を地に落としてしまったことはマイナス。白川方明総裁は職を賭して受け入れられないと拒否すべきだった」と指摘した。また、「インフレになっても景気が良くなるかは疑問。スタグフレーション(不況下での物価上昇)になる可能性もある。量的緩和策では円安にはならないと思う」』


・・・馬鹿ですか?いや馬鹿ですね。
この人は何か言っているようで、実は何も言ってません。雰囲気で危機感をあおっているだけです。
以下で一つ一つ上記の発言を検証したいと思います。

まず、そもそも「日本の財政の破綻」とはなんですか?具体的に教えて欲しいものです。
国債のデフォルトの事ですか?日本は変動相場制の自国通貨立て国債ですので、破綻しませんが。
破綻しているのはこの人の頭の中だと思います。この何を言っているのかよく分からない一文からこの記事は始まり、以下藤巻氏のコメントが続きます。

「日本銀行がお金を印刷して、ハイパーインフレーションになれば」
今はデフレで、戦争や内乱で生産設備が著しく毀損していない限り、ハイパーインフレになりません。
いい加減にハイパーインフレになるとかくだらない与太話を吹聴するのは止めてもらいたいです。

「1ドル=300-400円以上まで円安が進み、ロシアが崩壊した時と同様に長期金利は60-80%程度まで急上昇する」
98年にロシアを崩壊させた原因は、ジョージ・ソロス氏をはじめとしたヘッジファンドが引き起こしたアジア通貨危機です。藤巻氏はこのジョージ・ソロス氏の投資アドバイザーを務めたご経験があるそうですが、この人はまた経済を混乱させてひと儲けしたいんでしょうか?
この思惑は次のコメントにも表れています。

「このまま何もせずにずるずると悪くなって2、3年後に崩壊するよりは、今やって早く崩壊させた方が、経済学者シュンペーターの言う『創造的破壊』につながり、その後の回復が早くなる。ここまで公的債務残高が膨らむと、どちらにしても救いようがないので、早く崩壊させた方が良い」
本当にここまで愚劣な人間はなかなかいないんじゃないでしょうか。
早く崩壊させた方が良い、とはよく言えたもんだと思います。
「崩壊」って具体的に何ですか?
シュンペーターの言う「創造的破壊」とは、新しいイノベーション(新結合)によりそれまでの効率の悪い生産方法,陳腐化した商品などが新しい効率の良いものに置き換わって経済が発展していく、と言う事です。
藤巻氏の予言し熱望している未来は、創造的破壊ではなく単なる「崩壊」です。(それとも「崩壊」がイノベーションだ、とでも言いたいでしょうか?崩壊はイノベーションの「結果」であって、イノベーションの「要因」ではありません。)
創造的破壊でも単なる崩壊でもどっちでもいいですが、崩壊後なぜ回復するのかまったく論理的に説明をしていません。説明できるはずがありません。何しろ単なる雰囲気で言いたかっただけですので。

こうした、小難しそうな単語だけ並べて実際には論理性がまったくないため、何か言っているようで何も言っていない。このサギ師まがいの行動原理はいったい何なのでしょうか?
藤巻氏は最近ブルームバーグだけではなく、日本経済新聞などで安倍総理の経済政策を批判していますが、彼は5年以内に日本が破綻すると主張する日本経済破綻論者です。

そして藤巻氏が代表を務める、あやまんジャパ・・・じゃなかった、株式会社フジマキ・ジャパンを調べてみると主な仕事は「投資助言業・投資業・投資コンサルティング業、金融コンサルティング業」との事。
・・・なんだ単に人々の不安をあおり、その不安につけこんで商売をしようと考えてる程度の最低な人間のようですね。
やり方がカルト宗教の勧誘ようで非常に汚い。
(あなたはこのままでは将来地獄に落ちます。でも大丈夫この壺を買えば、幸せになり天国へ行くことができますよ・・、みたいなもんです。「日本が破綻する!」と叫び、壺の代わりに藤巻氏は自身の本や投資を勧めてるだけです。)

「日銀の独立性と権威を地に落としてしまったことはマイナス。白川方明総裁は職を賭して受け入れられないと拒否すべきだった」
日銀の独立性と「権威」?そんなものはもうありません。
各国の中央銀行総裁や経済学者からかなりズレた自論を展開し、昨年には「日本は人口減少によるデフレだ」と世界中に向け恥ずかしい研究論文を発表してしまった今の日銀に、権威など有るわけないでしょう。(詳細は、現内閣参与 イェール大学教授 浜田宏一氏の新刊「アメリカは日本経済の復活を知っている」を是非ご一読ください。)
人口減少がデフレの原因なら、同じく減少しているドイツ,ロシア,台湾がなぜ経済成長しているのか、という事例で人口減少デフレ論は完全に論破されています。
むしろ人口減少は、労働人口の減少でインフレ要因となります。

そして藤巻氏は最後にぶちかましてくれます。
「インフレになっても景気が良くなるかは疑問。スタグフレーション(不況下での物価上昇)になる可能性もある。量的緩和策では円安にはならないと思う」
たしかに、円安により石油・小麦などの輸入価格が上がり、一部の商品に対するコスト・プッシュによるインフレは心配されるところです。景気が回復する前にこれらの価格が上昇し、製品価格に反映されればこうした懸念はもちろんあります。結果的にスタグフレーションの「ようにはなる」かも知れません。以前のエントリーでも触れましたが、ここが一番難しいところです。
ところが、藤巻氏はこうしたスタグフレーションの可能性に触れながら、直後に「量的緩和策では円安にならないと思う」と発言してます。
円安にならないんだったら、どうやってスタグフレーションになるのでしょうか?
違うシナリオがあるなら是非教えてもらいたいもんです。

藤巻氏はおよそ空っぽな人間だと思います。
日本の国民経済という観点からの保守思想もなければ、革新的な左翼思想もない。
あるのはただ、人々の不安心をあおり、それを養分とし自分を肥やしたいという個人的な欲望だけなのでしょう。

日本経済が瀬戸際まで来て、復活のための最後のチャンスかも知れないという大事なこの時期に、個人的な欲望のためだけにデマを垂れ流す藤巻氏。
1月14日に、ノーベル経済学者のクルーグマンが安倍政権の経済政策を評価し「正しい」とお墨付きを与えたと報道されていますが、ご丁寧にこの藤巻氏のデマ記事は英語で世界中に配信されるとのことです。

悪い事言わないから、恥かかないうちにはやくひっこめた方がいいんじゃないですか?










公共事業に必要なのはお金だけじゃない

2013年01月13日 | 経済
公共事業に必要なのはお金だけじゃない


11日政府は経済再生に向けた緊急経済対策を閣議決定しました。
対策の事業規模は約20兆円、そのうち国の支出は約10兆円で、これを盛り込んだ今年度補正予算案の成立に向け国会で審議する予定です。

なお、民主党の海江田代表は「問題は中身だ。公共事業がまた(年間)10兆円規模になってしまう。」という相変わらずのボケたコメントです。
中身が問題と言っておきながら、何故金額に対し文句を言うのか?なんで10兆円だといけないか論理的な説明をして欲しいと思います。

ところで公共事業と言えば、私は以前東京都の補助金を利用する仕事をした事があります。

詳細は割愛しますが、民間企業で計画している省エネ事業に対し都が補助金を支給するというスキームで、広い意味での公共事業と言えるかと思います。

手続きは大変で、事業前は様々な書類を都へ申請し審査を受け、事業完了後も検査を受け、最後に完了届の書類を提出し、やっと補助金を受領する事ができます。
書類は最終的に、厚さ15センチくらいのキングファイルで6冊ぐらいの量となりました。

全ての書類に都の担当員が複数人で目を通しているようで、「そこまで見ているのか!」というような細かいところまで質問や間違いがあれば修正を求めてきます。作る方も大変な書類でしたが、チェックする方も大変だったと思います。(税金を使用するんだからそれが仕事だ、と言われればその通りですが。)

また、私は以前ゼネコンに勤めていましたが、同僚から「公共事業の書類の多さは半端じゃない。どうにかなんないのか?」と言ったグチを聞いた事もあります。

ただ、私は「公共事業に関する手続きを簡素化しろ!」と言いたい訳ではありません。
見直すべき点はあるのかも知れませんが、ずさんな方法で軽々しく税金が使われる方が問題です。

事実として公共事業は手間がかかる手続きなので予算だけ、お金だけ用意して終わりというわけではない、という事を言いたいのです。手間のかかる手続きを消化するためのスタッフ、組織力も必要です。

「公共事業が多すぎる!」というマスコミに煽られた世論を背景に、ピークの3割強の規模に削られてしまった公共事業(1998年にピークの14.9兆円、2011年は約5兆円。)ですが、それは単にお金を削っただけではありません。

同時に公共事業を実施するための組織力も弱体化し、インフラの更新時期を迎えている現在の日本において必要な公共事業を迅速に実施できないという事態になっている、という事です。

1960年代の高度成長期に集中的に整備されたインフラが寿命と言われている50年を超え、笹子トンネルなど事故も起きている昨今ですが、国土交通省はインフラの作り替えにかかる費用を今後50年間で190兆円と試算しています。なお、この金額には、国土交通省が管理していないインフラ(高速道路や上下水道)の費用は含まれていません。

素人考えでは、50年間といわずに必要なんだから10年ぐらいでやればいいじゃないの?と思ってしまいますが、公共事業が削られ続けた結果、行政の組織力も削られたため直ぐに対応ができないのです。

事実、1/12付の日経新聞に公共事業の効果に否定的な理由として「これまでの事業削減のあおりで建設業や自治体の人員が減っているためだ」という記事が載っていました。

・・・・公共事業を削れ、削れと煽ってきたのはあんたらマスコミだろ!!

記事で指摘されているように、行政の人材不足に限らず、建設業の労働人口は、1997年の685万人をピークに毎年減り続け、2011年には473万人、200万人以上減少しています。
これは明らかに公共事業を減らし続けた事とリンクしています。

「公共事業は悪だ!」、「公務員が多すぎる、もっと減らせ!」などと叫び続けてきたマスコミはこうした事態をどう考えているのでしょうか。
よくもまあ「人材不足だからー」とか言えたもんです。相変わらず無責任で、卑怯な立場の物言いです。

彼らの無責任な発言により、今後長きにわたり、日本国民は災害はもちろんのこと、メンテナンス不足という人災の危険にさらされる事になってしまったのです。

今後発生する可能性が高まっている首都圏直下型地震などの大災害に備えるためにも、インフラ老朽化による事故を防ぐためにも、自らの危険を高めるような「公共事業が多すぎる!無駄だ!」というマスコミのミスリードに惑わされないようにしなくてはなりません。

人殺し!見捨てるのか!
by渡邊哲也








イノベーション神話

2012年09月07日 | 経済
イノベーション神話
 

日本経済低迷の原因は、日本企業のイノベーション不足、つまり日本製造業の開発能力が失われてきたからという意見をよくテレビや新聞のニュースで見聞きします。
彼らは、新しい付加価値をもった製品を開発し、モノづくりニッポンを復活させないとこのまま日本は世界の中で沈んでいってしまうと主張しています。

最近ニュースとなった、エルピーダ,ルネサス,シャープなどの日本の製造業を代表する企業が苦しんでるのもこの路線の延長線上で語られることがほとんどです。
つまり「企業努力が足りなかったからこうなってしまっても仕方がない。」という意見です。

新興国の工業化により、昔は名前も聞かなかったような電機メーカーの台頭のニュースなどは数多く報道され、この種の考えを補強するための材料はこと欠きません。

たしかに新しい付加価値をもった、世界中で売れる製品をつくった企業が増えれば、日本経済は復活するでしょう。
この点では同意します。

しかしこの考えかたは何か底の浅さを感じます。

彼らの言う「イノベーション」とは具体的に何を指すのでしょうか?
イノベーションが無くなったために成長ができなくなったのであれば、日本が成長している時にはイノベーションはあったはずです。
これまで日本の成長を支えてきたといわれる、自動車、電気製品などの工業製品でのイノベーションとは一体何だったのでしょうか?

自動車は日本人が発明したものではありません。テレビ、洗濯機、冷蔵庫、パソコンなども日本人が発明したものではありません。
(電気洗濯機、冷蔵庫、パソコンはアメリカ、テレビは日本?と言えるかもしれませんが、BBC放送が開始されたのは1929年、NHK放送が開始されたのは1939年という事を考えると、少なくとも商業ベースでは日本は後発でした。)

つまり日本の成長を支えたのは新しい製品の発明ではなく、その後トヨタのカンバン方式に代表されるような「生産部門での付加価値の創造=生産性の効率化」や、メイドインジャパンに象徴されるような「高品質さ」が日本が得意とするイノベーションだったのです。

生産性の効率化、高品質は日本人の気質がよく表れていると思いますが、日本が成長できたのにはもうひとつ重要な背景があると思います。
それは1949年から1971年まで維持された1ドル360円という今よりも円安であった固定為替レートです。
高度成長期と呼ばれる時期が1955年から1973年ですからほぼ同じ期間です。
(ちなみに1973年の為替レートは1ドル約300円です。)

当時の日本は安い人件費を背景に経済成長を遂げた中国と似たような背景でもあったのです。
韓国もウォン安政策によりサムスンなどの一部の企業をいわば国策として成長させてきました。

もちろん、大前提として製品自体の品質的な魅力がないと売れる商品はつくれませんが(その点で韓国,中国は日本の高度成長期の期間を超えられるか疑問です。)、為替が国の成長に与える影響はとても大きいのです。この壁を超えれるものは、よほどのイノベーション=発明くらいの新しい付加価値創造です。

マスコミの報道を見ている限り、どうもこの部分が抜けている気がしてなりません。
アリバイ程度に、円高も日本企業の成長を苦しめていると触れる程度です。

もし、為替問題が重要だと考えるのならば、元凶である日銀へ非難の矛先が向いても良いものですが何故かそうした報道は皆無です。そして日銀自身も日本の景気が後退している要因は企業が努力不足である(他にも少子高齢化だからとか言ってますが、ロシア、ドイツなどの例をみればわかるようにこれもウソです。)と、世界中に吹聴して回っています。
私は、日本の企業がここまで景気が後退するほど努力不足とは思っていません。
どんなに企業が努力をしても、政府や日銀の「円高放置」という不作為の罪によって、その努力が穴が空いたバケツようにこぼれおちている感覚すら覚えます。
もし、エルピーダが本当に企業として努力不足であったとしたら、会社更生のためのスポンサー企業は表れなかったでしょう。

そしてマスコミがこの日銀の不作為を指摘しないという事は彼らの言うイノベーションとは、これまでの日本企業が得意としてきたものを指すのではなく、極論すると、発明できない企業は潰れても仕方がない、といっているのと同じ事なのです。発明製品だらけの企業しかないという国が世界中のどこにあるでしょうか?
「イノベーション不足だから日本の企業はだめなんだ。」という単純なフレーズで思考回路を停止させ、重大な問題を見せないようにしているとさえ、疑ってしまいます。

日銀は「イノベーション不足」という言葉を使い、自分達の罪から逃げているのです。
そしてマスコミはこの片棒をかついでいます。

そうして世論は、「ダメな企業は潰せ」という野蛮な発想になりこの国は本当にどんどん衰退していく事になります。
せめて企業努力が報われるまでの水準に、円高を是正してもらいたいと思います。

最後に、エルピーダの破たん当時の坂本社長の会見の一部を記載したいと思います。

『-DRAMの事業がここまで厳しい状況になったのはなぜか。

(前略)それから、円高だ。リーマンショック前と今を比較すると、韓国のウォンとでは為替で70%もの違いが出ている。70%の違いというのは、技術で2世代ほど先行しないとペイしない。為替で完璧に競争力を失ってしまっている。70%の差はいかんともしがたい。この1年間で起きた為替変動の大きさは、一企業の努力ではカバーしきれきれない。(後略)』

みなさんいかかでしょうか?