蜥蜴のツボ

ひねくれ者の独り言

小さな小さなピンク色の花

2006-07-19 23:50:49 | 

 ふっと足を止めると
 小さな小さなピンク色の花が
 こちらを見ている

 小さな小さな花の
 もっと小さな花びらたちは
 ぐううんと全身を伸ばして
 そのピンク色をこちらに見せる

 背も小さくて
 名前すらわからないその花は

 その花と私の辺りをぐるっと
 やわらかなレースで包むようにして
 そして私に
 ふっと一息吐き出させてくれる

 ピンクの花のように
 目立たなくとも
 さりげない優しさで
 私に触れる人を包みたいと思うのに

 鋭い牙を向けられ
 私を包んだレースは鉄の鎧と化す
 そして時には
 鉄の鎧をも突き抜ける隠された牙は
 向けられた牙を噛み砕いて
 牙の持ち主を威嚇する

 魔法が解けたとき
 周囲を威嚇した牙は
 私の小さな小さな体を傷つけ
 いつか見つけた
 小さな小さなピンク色の花を
 握るようにして
 私は地べたへうずくまる

 またピンク色の花を
 探しに歩き出す
 小さな小さなピンク色の花を探しに