どんぐりの女の子と知り合って、
彼女と遊んだり、彼女の友達たちと
知り合って仲間がだんだんとできた
…気がしてた私。
だがそれは、
そんな気がしてただけだった。
別れは、突然訪れる。
どんぐりの女の子が
都会の風に飛ばされてしまう日が来た。
私はまた一人になった。
いままで仲間だと思っていた存在は、
どんぐりの女の子がいたから私に
付き合ってくれていただけで、
「私の」仲間ではなかったのだ。
一人になった私は、また双葉のある
土のところに来ていた。
またカエルに会いたかった。
カエルはいつまで待っても来ない。
寂しい。寂しさばかりが募った。
人に頼ってばかりじゃ
何も見つからない。
歩き出さなければ。
それから5年後。
私は、人間の世界に戻ることにした。
小さくなった体を大きくするために
できるだけのことはしてみた。
野菜も肉も魚もなんでも
食べて運動もして早起きもした。
いつのまにかもとの人間に戻っていた。
そして気づけば、私は「大人」の仲間に
なったらしい。どうしてだかは、
忘れてしまったけど。
(つづく)