携帯版・なごぐら

携帯アプリから作った名古屋で暮らす女性のブログ。
ナゴヤかな?名古屋かな??。
地元の魅力発掘ブログ。

童話・穴(続きより2)

2021-03-21 13:23:45 | マイ作品

(続きより)

どうして人形の女の子は、帰ってこないんだろう。

穴は心配になってきました。

しかし、何日経っても女の子は帰ってきません。

虫たちもだんだんと変わらない日々にあきてきて

穴から離れるようになってきました。

 

穴はまた一人ぼっちでポツンと暮らすように

なりました。するとまたあの時の子供が

穴を見つけました。

 

こどもは穴をのぞきこんで

何もないことを確認すると

去っていきました。

 

穴はさみしくて泣きました。

するとみずがどんどんあふれてきて

おおきなみずたまりになりました。

 

 

おもちゃの楽器は、ぷかぷかと

浮いて流れていきました。

 

半年後、人形の女の子が帰ってきました。

女の子は、みずたまりになった穴に

こういいました。

 

「ねえ、穴さん。まずは自分をよくみて。

どんな顔をしているか、何を考えているか」

 

穴は、初めて自分を見つめました。

 

本当にほしい物がなんだったか

忘れていたのかも知れません。

 

友達。

 

夢。

仲間。

 

でも一番に大事にすべきは、人の気持ちだったのかもしれません。

女の子の欲しい物。自分の欲しいものばかりを

くれるからといって、人の気持ちをかんがえなかったのです。

 

もっと彼女の気持ちをかんがえて

欲しい物を聞いていれば、

女の子は、ずっと穴のそばにいたことでしょう。

 

穴はいままでのことを女の子に

話しました。

そしてなかなおりをしました。

 

穴は、女の子に虫は、楽器を上手に使える

こと、器用に洋服を作れることなどを

伝えました。

 

女の子は、虫と一緒に過ごすことは

できないと言いましたが、

穴が教えてくれる楽器の使いかたや

服のつくりかたなどは、

熱心にきき、マスターしていきました。

 

 

そしてまた1年後、穴と女の子と虫は、

なかよくお店を交替でやるようになりました。(おしまい)


童話・「穴」続き

2021-03-21 13:15:21 | マイ作品

(続きから)

「じゃあいいわ、私が外の世界にいって

穴さんのみたことない物を見つけて

穴にいれて教えてあげるわ」

 

人形の女の子は、言いました。

 

次の日、穴にはきれいな石や花や糸や

布などがいれられていました。

 

穴はうれしくなって女の子の人形のために

お洋服をつくってあげました。

 

人形は、その服を着ると

こんどは、お礼にといって

おいしそうなパンやおもちゃの楽器を入れて

くれました。

 

穴は、こんなにいろんな贈り物があるなら

人をもっと入れたいと思って

虫を呼ぶためのお店を開きました。

 

しかし、人形の女の子は、虫が大の苦手でした。

 

人形の女の子は、ついに穴には、

戻らず帰ってこなくなってしまいました。

 

そんなことは、知らない穴は、虫たちと

飲めや歌えやのパーティーをして

毎日面白おかしく暮らしました。(つづく)


お話・童話「穴」

2021-03-21 12:59:42 | マイ作品

住宅街の中の細道。

ここに一つの穴がありました。の中はまっくらで何もありません。

穴は、寂しくなって友達が欲しいので

ついついいろんな物を

吸い込んでしまう癖がありました。

 

まず吸い込んでしまったのは、

水と空気と魚の食べ残しの骨でした。

そのつぎは、子供用の作り残しの粘土でした。

 

穴は、最初はどうしたらいいかも

わからず、その道具を眺めていましたが、

ある時、穴を見つけた子供が面白がって、その道具で

小さな人形を作って

穴の中に埋めました。

 

穴は、その人形に「まる」を名前を

つけて、かわいがっていました。

 

ある時、今度は、一本の金属の

ぜんまいでできたねじが

穴の中にころがりこんできました。

 

穴は、ねじを人形にさしこんで

まわしてみました。

 

すると人形が動き出して、

てくてくと歩きだして、

穴に言いました。

 

 

「いつまでここにいるつもりなの?」

「もっと違う場所に行きたいとは、思わないの??」

 

穴は、生まれたときからここにいるので

そんことは考えたこともありませんでした。

 

「ここからは離れられないよ。

だってぼくは穴だからね」

(つづく)