四月 俳句

四月　俳句

花の雨宛なく舞ひて川の旅

ゆうらりと過去に終止符落花かな

青空に星描きたく飛花となり

大海に向かひて走る花筏

ぎつしりと勢い増しぬ躑躅かな

俳句 ３月

仏壇に飾り供ゆる雛あられ

幾度となく参りて居りぬ受験の日

行く道の先へたなびく春ショール

ついて来る後ろの方の春の月

春泥の靴の並びてはしゃぐ声

暖かや上着片手に歩む道

卒業の乙女買ひ物忙しき

癒えし母顔ほころぶや桜餅

晴着の子の写真供ゆる彼岸かな

病む人より絵葉書届くうららかや

春光やストライプシャツ目に眩し

囀りや歩める母の見上げし木

初桜姪の合格祝ふごと

青空を探りて咲きし桜かな

俳句 2月

２月
• 節分や邪気を払ひて夢描き
• 立春大吉診断結果異常無し
• 母買ひし靴下の柄春めきぬ
• 春一番オペラの新譜届きたり
• 冴え返る鍵盤触るる腫れし指
• 春疾風洗濯さぼる言い訳に
• 育てたる椿の様に姪想ふ

俳句 11月12月1月

１１月
• ちらほらとイルミネーション冬隣
• 冬立つや陳列野菜高騰す
• 冬薔薇病ひの乙女弾くピアノ
• 野良猫の日差しに眠る冬初め
• 古のパリの風情や枯葉舞ふ
• 小雪や予防接種を受けてをり
• 気はあるが身の追ひかぬ神無月
• 12月
• 冬うらら来客の声飛び交ひぬ
• 紅色の服の増えたる十二月
• 我が願ひ叶へ給へよ日記買ふ
• 漱石忌小径の猫と目の合ひぬ
• 鯛焼きを食べし方向さまざまに
• 歩みたり母の緋色の冬帽子
• ダンボール次々潰し年用意
• カーディガンゆるキャラ風に決めてをり
一月
• 買初に彩り淡きスーツかな
• 鍵盤の白さ眩しく初仕事
• 寒波来る朝より鍋に暖をとり
• 通販のカタログ眺む小正月
• 淡色の服の並びて春近し
• ラジオより流るるピアノ日向ぼこ

10月 11月

10月
　
　　金木犀明日を頼みて香りたり
商店街並びて笑ふ大南瓜
• 窓全開箪笥引き出し秋の風
• 味噌汁の具沢山へと秋寒し
• カラカラと奏でし箒秋深む
• 末枯や猿の出没注意版
• 掃除機の音の響きて秋うらら
１１月
• ちらほらとイルミネーション冬隣
• 冬立つや陳列野菜高騰す
• 冬薔薇病ひの乙女弾くピアノ
• 野良猫の日差しに眠る冬初め
• 古のパリの風情や枯葉舞ふ
•