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碧かれいの徒然記

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銀色夏生『衝動家族「ばらとおむつ 完結編」』

2012-02-01 | 文学

 この本を ぱらぱらと読みました。

銀色夏生さんのお兄さんせっせさんの 脳梗塞で介護が必要になられたお母様しげちゃんの

介護日記です。前回の介護日記「しげちゃんとおむつ」での内容は あまりにも重く悲愴的だっ

た(しかし せっせさんのユーモア混じりの文章で救われてます)ので、その後どうなられたの

だろうという気持ちで この本読んでみましたが、お母様は だんだん回復しておいでのご様子

で 余裕も感じられます。本を読んだり、短歌や俳句を作られたり、バンコクに せっせさんに

連れていかれ小旅行も楽しんでのご様子。

 それにしても、せっせさんとこのお母様は、独特の個性をお持ちで、そして 楽観的なご性

格しておいでおられるからか、読んでいると 介護する方もされる方もこんな風に楽しく過ご

せたらと思わせられるような・・ 楽しく過ごしておいでです。

勿論 現実的には とても厳しく 大変なのでしょうが、、お二人の中にあるユーモア精神が

それを救っておられる気がします。

 この本の 夏生さんの後書きには このように

「生きるということは無常なものです。きびしいものです。リアルなものごとを、その身も

蓋もなさを見ようとしなければ・・略・・現実を見ないという選択ができます。ただしそうする

と、いつまでたっても同じ場所にいることになります。・・略・・生きているなら けなしあわず

に 助けあいましょう。生きているということは 無常なことです。で素晴らしいものです。」

と書いてありますが、じーんとくるものがあります。

 これからも あざなえる縄のごとく しげちゃんのご体調も また 夏生さんせっせさんの

人生は よかったり悪かったり繰り返すでしょう。でも それらから逃げず 冷静に受け止め

生き抜いていこうという夏生さんの強さを感じます。

 

 今年は 特に寒さが厳しい冬でしたが、もうすぐ立春・・

                あたたかな 春の足音が 近づいてきます。

 

 


川上弘美「天頂より少し下って」

2012-01-25 | 文学

 この本を読みました。 7つの短編集から構成されています。

2人の息子さんの母親であり、女性でもあり、娘でもある川上弘美さんの

ご心情を思わせられるような作品でした。

 前半は、大人になりかけている女の子(女性)の可愛らしい話が出てきます。

が、それだけでなく、一篇目の「一実ちゃんのこと」では 川上さんらしい滑稽実の

ある味わいがあります。

この中の女の子達も滑稽さも 熟年であるけれど川上さんの中にある女の子の部分

ユーモアのある部分なのだと感じます。

 また、「夜のドライブ」は、独身中年女性の主人公と母親とのドライブを通しての

母親への思いを感じられ、また、「天頂より少し下りて」は、熟年女性の 成人すぎた

息子への思いと恋人への思いがあふれていて、これらもまた、川上さんご自身の

ご心情を投影されたような(確か 2人の息子さんは成人過ぎておられると思いますが。)

錯覚に陥いります。子離れしなくては・・でも 女性としては若くはない年齢であり模索してい

る・・そういう主人公の心の葛藤を描かれてある小説であるように思いました。

 川上さんの作品は、「センセイの鞄」「真鶴」「東京日記1・2・3」「ざらざら」「何となくな

日々」「機嫌のいい犬」と読んできましたが、今後 どのような作品を書かれていくのか

銀色夏生さんの作品とともに、楽しみです。