シムーン26話「彼女達の肖像」感想後編

2006-09-28 07:25:39 | 日記 DIARY
○翠玉のリ.マージョンは描かれ、宮国最後のシヴュラは消えた。
そして「彼」は回想する。
永遠の少女を。



この先シムーン最終回のネタバレあり。

過去。
アーエルとネヴィリルのシムーンを追って、嶺国の古代シムーンが追う。
リ.マージョンを仕掛ける編隊、二人に緊張がはしりますが、それは攻撃の為ではなく二人を送るリ.マージョンでした。
それを見上げる嶺国代表、アヌビトゥフ、グラギエフ、ネヴェリルの父、ワウフ、そして兵士達。
嶺国代表はつぶやきます。
「私にもそのときがあった...皆、少女だった」

たぶんその場にいた男性を選んだ皆さん、同じ気持ちだったでしょうね。
いや~見てる自分はすっかりこちら側(男性)視点で見送ってしまいました。

「少女」の部分ってシムーン世界の男性だけでなく、現実の男性にも存在するんではないでしょうか。
(成長するに従ってずいぶん小さくなってしまいましたけどね(笑))

嶺国の巫女が送ったのは「朝凪のリ.マージョン」
朝凪とは「海辺で、夜明けのある時間、海風と陸風が交錯しておだやかな無風状態になる事」だそうです。
「旅立ちの日が穏やかでありますように」
このリ.マージョンにはそんな願いがこもっているのかもしれません。

「しよう」
「ええ、やりましょう」
そしてアーエルとネヴェリルは翠玉のリ.マージョンを実行します。

「行きましょうアーエル、自由になれる場所へ」
「うん、行こうネヴィリル」
この台詞、1話のアムリアとの会話とほぼ同じなんですね。
そしてあたりに満ちる翠玉の光の中、二人の乗ったシムーンは消えてゆきました。

過去、リモネのいる世界。
リモネは友人の巫女から、パルの申し出をされていました。
どうやら過去にもアタックされていたようですが、断ったようです。
「ドミヌーラは飛ぶ気が無いのでは?」
その発言にリモネは怒りの表情を浮かべます。
それが彼女の答えでした。

その時、風が吹きいた空を見上げると光の中からの一機のシムーンが降りてきました。
古代シムーンではない、見慣れた、あのコールテンペストの白いシムーン。
「アーエル」
思わずつぶやいた懐かしい名前。しかしシムーンはリモネの前に降りる事無く消えてしまいます。
リアーエルの意味を訪ねる友人に「最上の愛」だとに告げ、その場に現れたドミヌーラと去ってゆきます。
再びシムーンで飛ぶ為に。

ドミヌーラは再び立ちましたねリモネの為に。
体調はやはり良くないのでしょう。
泉に行かない人間はオナシアのようになってしまう。二人の去った後の金粉を見ると、それが進んでいることは明らか。
年齢を考えると早過ぎる感もしないでないですが、遅かれ早かれ(リモネも)逃れられないんでしょうね。
最後が何時になるかはわかりません、もしかしたら泉に行く、という機会がないとも限りません。
しかし、今の二人を見れば、何が有ってもなら最後まで共にあることだろうと思います。

嶺国に伝わる「アーエル」と言う言葉も、どうやらここが発祥なのかも知れません。
そしてリモネに振られた友人の巫女ですが、彼女の髪飾り。偶然かもしれませんが、ネヴィリルの物に似てますね。
ただ、ネヴィリルのものあった、緑の宝石が無いのが大きな違いです。
あれは実はアムリアから送られたものだそうです。
単なる偶然か、それとも意味が有るのか?最終回なのに、またいろいろ想像できますね。

現在。
湖の近くに畑を作りながら暮らす金髪の青年フローフ。
その彼を訪ねてきた黒髪の青年ヴュラフ。
彼らこそ元コールテンペストで男性を選んだフロエとヴューラでした。
ああ、名前は「言いにくいから元のままで」と二人が言っているので昔のままで。

フロエはまだまだあどけなさが残りますが、すっかりカッコ良くなって。お姉さんに人気がありそうだなあ。
一方ヴュ-ラは長身で美形、無造作に伸びた黒髪がこれまた素敵な良い男になりました。
男同士、戦後はすっかり仲良くなったようですね。きっと男にしか解らない悩みを相談し合ったに違いない(笑)

しかし再開は昔話するばかりではありませんでした。
ヴューラには生家のある礁国から。フロエにはおそらく嶺国側から軍への招集令状が来ていました。
戦後日本の公職追放のように、てっきりシムーンシヴュラの戦争への参加は敬遠されるとおもっていましたが。
パイロットとしての技量なのか解りませんが、利用価値があると考えてのことなんでしょう。
今度合うときは敵同士。
戦場で出会うかもしれない二人は「またな」ではなく「さよなら」と別れます。
一つの戦争は終わったけど、それで全ての戦争が終わったわけではない、という現実が悲しい。

フロエがここに住む理由。
湖には半壊したアルクスプリーマが沈んでいました。
おそらく戦後すぐ嶺国、礁国によって廃艦処分となったんでしょう。
フロエは機会があれば湖の船を訪れて、アーエルとネヴィリルを思い出しているようです。

「シヴュラなんて関係ない」「泉に行く」とあれだけいっていたフロエなのに。
シヴェラとして生きて来た時期が深く忘れがたいものになっているんでしょう。
その姿はアルクスプリーマという墓を守る墓守のようでもあるし、いつまでもアーエルとネヴェリルを待っている様にも見えてすこし悲しいですね。

元シヴュラ達は回想します。
アーエルとネヴィリルを何故あれほど送り出すことにこだわったのか?
それは自分達の存在をここに叫びたかった、刻みたかった、抗いたかったから。

そして、廃墟となったアルクスプリーマのダンスホールに音楽が流れ、二人の少女が踊ります。
幻なのか、現実なのか、くるくると、いつまでも。

廊下の壁には落書きがありました。
パライエッタの描いたコールテンペスト全員の似顔絵が。

○はい、終わってしまいました。
またこの感想を書く為に録画を見直しています。
最終回はこれでもう4~5回は
見てますね。それほど、なんというか含みのある最終回でした。

アーエルとネヴィリルが翠玉後はどうなったのかは明確に語られませんでし
た。
しかしそれに不満は特にないんですよね。
25話が終わって感想では「アーエルとネヴィリルがどこへ行くのか」と書いてますが、実はそのあと「別に描かれなくてもいのかもしれない」と考えてました。

と、いうのも自分の視点がアーエル側から、いつのまにか送る方の元シヴュラ側に移っていたんですね。
そうなると現実の過去の友人、知人に重なっていました。
最終回ではもっとそれが嶺国の代表が見送るシーンでもっと明確になったきがします。
「今はもう連絡も取れないけど、きっと元気にやっているんだろう」
そんなふうにアーエル達の事を考えるようになりました。

ああ、でも風琴の鳴る理由とか、アーエルのじいちゃんとか、あれだけ引っ張るんだからそのあたりはもっと答えが欲しかったなー。
もうしょうがないんで、アムリアは飛ばされてアーエルのじいちゃん決定!と脳内補完しておきます(笑)

○最後に、アヌビトゥフとグゥラギエフについて。
終盤、ワンカット出番があるんですが、なぜそこに出るのか解らなかったんですよ。
台詞も「良い風だな」「ええ、良い風です」だけだし。
たぶんファンサービスぐらいだろう...と考えていたんですが。
ある感想ブログさんで「あれは、あらたな戦争への決意ではないか?」と書いてあったんですよね。
そうかー!!と(笑)
嶺国と礁国の緊張は、宮国の復活、独立への「追い風」となるに違いないということなのか。
そりゃそうだ、あれであの二人が終わるわけはない、と納得してしまいましたね。
その時には再び元シヴュラ達の活躍がみれるのかもしれません。
いろいろな考察、解釈が可能な最終回だったと改めて思いました。

○尻上がりに面白くなって行ったシムーン。
展開の読めないオリジナルアニメの醍醐味をひさしぶりにあじ合わせてもらいました。ありがとうございます。
スタッフの皆さん、おつかれさまでした。
最近ではまた改めて第一話を見直したりしています。
そして、この感想をよんでくださった皆さん、長文おつきあいありがとうございました。

○リンク
シムーン情報まとめサイト<シムーンwiki>
http://dempa.kitaa.net/simoun/wiki/

キャラクターデザインASさんブログ<Berries>
http://www.eonet.ne.jp/~berries/index.html
キャラデザイナーさん AS(アズ)さんのブログにフロエとアーエルの詩が掲載されてます。
これがまたせつなくていいんですよね。
フロエあんたそこまで!ってかんじで。

お勧め シムーンファン小説
<シムーン」特設メカ紹介ページ>
○宮国国有鉄道
シムーンをあやつるシヴュラだけが巫女ではなかった。
戦後の混乱期、宮国鉄道のヘリカルモートリスを操る巫女と嶺国巫女との出会い。
http://www.geocities.jp/emiri_0623/simoun_lail-way.htm

○「コール・イグニス」 -ユン&マミーナのアルクス・ニゲル航空戦史-
「サジッタ殺し」それが彼女に付けられた称号。
戦争に不慣れな巫女のなか、マミーナは一人戦っていた。
http://www.geocities.jp/emiri_0623/novel_1.htm