Menton Capital's office

政府、中央銀行、そしてメディアによる我々への欺瞞

そして来る未曾有の世界規模とされる大恐慌への処方箋として

変化のサイン

2010年11月30日 | Weblog
 昨日、日経平均は86円高と再び10100円台にのせてきた。先週末のNYダウが下落していたにもかかわらず、それを上回る程の買い圧力が未だ市場に根付いているということだろう。為替も1ドル84円台に上がってきたことから、一般の投資家たちは先行きが明るくなってきたのかと、捉えるかもしれない。しかしそれは完全に今日の相場に翻弄されていると言ってよいだろう。
 ドルが円安に振れているといっても、それはドルだけであり、ユーロにおいては円高が進んでいることは最近のブログにて何度も述べた。そして何よりも重要なことは、すべての通貨に対して米ドルが上昇しているということである。ここでもまた「全てが一体となったマーケット」の影響を感じられるわけだ。
 今年の夏以降、Fedがより一層の米ドル毀損を掲げたこともあって、米ドルが大きく下落したことは記憶に新しい。そしてそれは多くの金融資産を、買われすぎの状態から、あまりにも危険すぎるところまで買われるという状況を導いてしまった。
それゆえに米ドルが反転すると、これまでとは一変し、すべてのものが逆流を始めるのだ。そして今回の米ドルの上昇が信憑性のあるものと裏付けるのが今日の円と米ドルの関係だろう。これまでドル以上に強いのが円であったことから、市場に不安が広がると一番に円が買われるというシナリオがあった。しかしそれが今日、少しずつ崩れだしている。
また日本の新聞を含めたメディアはドル高円安により、今はそれほど為替を問題として取り上げていないが、問題は着実と進んでいることは、もうお解かりだろう。日本のマーケットだけを眺めていては実感がわかないかもしれないが、ユーロやポンド、豪ドル、そして加ドルといった主要通貨に対する米ドルの動きはもはや完全にブルの兆候が伺える。思い起こせば、昨年もこの時期から米ドルが買い戻されはじめたのは記憶に新しい。

さてマーケットの反転を探っていると、先週に1つのサインとも取れる変化が見受けられたのだ。それはドル建てのLiborである。今年の6月以降下がりっぱなしの、この銀行間金利が先週水曜から3営業日連続で上昇したというものだ。もちろんまだこれだけの上昇であるから、確実かどうかはわからないが、一辺倒で下がっていただけに、これの上昇は非常に興味深いのである。
ちなみの直近のよく似た動きとしては今年の3月から4月にかけてであることを覚えておいて損はないだろう。長期の下げ疲れから上がり始めるという展開は非常に前回時とよく似ている。ちなみその直後、今年の5月に株の暴落がやってきたのは言うまでもないだろう。

反転かな

2010年11月29日 | Weblog
 EUとIMF共同によるアイルランド支援が決定された後も、同国の国債利回りは上昇が続いている。もちろんそれは投資家心理を映していると見るべきだろう。彼らは第2のギリシャとなったアイルランドが救われる方向で決定されたとはいえ、第3、4のそれを意識しているにちがいない。
実際、アイルランド支援の後、スペインやポルトガルといった南欧諸国の国債利回りは依然として高いままであり、上昇が続いている。また筆者が注目しているのは実質的なEUの主とも言えるドイツがどこまでこういった支援に注力するかという点である。彼らは実際、ギリシャ危機の時ですら当初、支援に消極的であった。また今回も同様だろう。しかしこういった状況が続くのであれば、彼らの考えも変わるというものだ。その時こそ国債の債務不履行が現実問題となるのだろう。

 ここで我々は今年5月に市場を襲った南欧における信用不安と今日の状況が異なることを言及しておきたい。当時は南欧の信用不安による懸念から、リスクの避難先ときして、日米独の国債に莫大な資金流入が起きていた。それゆえに日米独の国債利回りが大幅に低下したことは記憶に新しい。
 しかし今日の状況は前回と違い、日米独の国債利回りも上昇し始めているのだ。つまり長期金利が上昇しているのである。この前回と違うこの動きが、今後のマーケットを予測するに当たって非常に大事なサインであると認識している者は少数派だろうし、これを取り上げるメディアもまた少ない。
 では何故、日米独の国債も売られ始めているのかというと、端的に言うと、それはこれまでに数度と述べてきた「全てが一体となったマーケット」が現在、全て同じ方向に動き出しているという事に他ならない。現在はそのマーケットも反転したようにも感じられるが、これまで米ドルの下落=全ての金融資産の上昇というトレンドがあまりにも強烈であったことは言うまでもない。それは株式、商品、そして上で述べた債券市場も含まれているわけだ。
 またテクニカルで見ても、5月の信用不安以降、今日まで日米独の国債には幾度となく買われすぎサインも点滅していた。それゆえに調整局面が到来すると、下げもまたそれなりにきついものであることは予想できた。

 さてそんな今日の相場であるが、米ドルは売りから買いへと舵を切り始めたことはテクニカルから判断できる。もちろんそれが本当かどうかは今はまだわからない。しかしその米ドル高が意味するものは、金融資産全ての下落である。それも総崩れに近い状態になるのではないだろうか。現在、多くの市場にて未だ買われすぎが目に付くが、それらが下を向き始めると要注意である。これまでに急上昇したものは、例外なくこれから急下落するだろう。

奇妙さ

2010年11月25日 | Weblog
 S&P社によるアイルランドの格下げが23日発表された。いつもながら筆者はこの格付け機関においては疑問でいっぱいである。というのも彼らの必要性が、だ。リーマンショック前後からこういった格付け機関による多くの国や企業が格下げされてきたことは今日よく知られているだろう。
しかしいつも問題が起こった後に格下げが行われているのが、なによりの問題なのではないだろうか。彼らの商売は後だしジャンケンによって成り立っていることがよく実感できる。問題が起きた後、格下げするのであれば、小学生でも出来る仕事の内容だろう。彼らが企業や国を適切かつ正確に判断できていれば、一般投資家も被害を最小限に留めることができたのでは、といつもながら思う。
それゆえに彼らの判断基準という曖昧なモノにいつも疑問がわくわけのである。メディアや役人たちは、彼らに対して社会的にも法的にも、監視の目を厳しくするべきだ。極論を言えば、彼らの正確さ以前に、彼らが存在しない方がよっぽど投資家や経済のためになるのではないだろうか。

昨日、日経平均は久しい下落となり85円安で引けたようだ。だが下げたといっても、未だブルの雰囲気を漂わしている相場であったことは間違いない。欧州が軒並み下げ、ダウも142ドルの下落に見舞われたことから、それと同等程度の下落を日経平均も起こると思うのが妥当であろう。しかし蓋を開けてみると、大きく下げたのは寄り付きであり、それ以降は下げ幅を狭めていくという展開であった。
未だ日本株が出遅れ感とうのは、南欧の信用不安と隣国での衝突といった外部要因がある今日、あまりにもナンセンスだろう。そして円安要因という発想ももはや不可能である。ユーロは現在111円台にまで円高が進んでいる。ドルも83円台で留まったままだ。ではメディアは今日どういったコメントかというと、未だに出遅れ感や為替要因だとかぬかしているザマである。
筆者はやはり先日述べたように、裏にいるのは政府か日銀であると思う。来月から始まるETFの購入といった市場介入を段階的に進めているのではないかと、推測しているのだが、これに関してあくまで個人的かつ勝手な見解なので聞き流してもらうくらいが丁度いいのだろう。それくらい今日のマーケットには、不確定ななにかが存在するということである。

チャイナリスク②

2010年11月24日 | Weblog
これまで中国におけるインフレ懸念について、ある程度の危機的状況であることは理解してもらえただろう。次にそのインフレがデフレに陥る危険性について述べたいと思う。
あまり知られていないのだが、そもそもデフレというものは平時から、ある日突然やってくるものではない。強烈なインフレを経験したあと、その反動として長期にわたるデフレに陥るというのが自然の流れであるのだ。それは過去を振り返ってもらえば一目瞭然である。
そして直近の中国におけるCPIを見てみると、今年3四半期のCPI(1996年6月を100ポイントとして)が前期に比べて、5ポイント低下し104ポイントに下落したというのだ。中国政府としては最近インフレ抑制に果敢であったことから、一息ついているかもしれないが、これが実は非常に深刻なサインであるのだ。

というのも中国政府のインフレ対策としてはあるのは、みなさんご存知のように、とりあえずその対象への引き締めである。市中金利を上げることが今日行われているように、不動産市況においても引き締めは行われている。これがバブル崩壊への一歩になうことは我々日本人が一番実感し、かつ理解しているのではないだろう。
1990年の土地関連融資の抑制が最もわかりやすい例とし挙げられる。こういったバブル後半期に引き締め策に出ることが長期にわたる不況とデフレを導いたことは、未だに日本国内でデフレの最中にあることから明らかだろう。
そして今日の中国は物価抑制策にまで踏み切ったのだ。なんでも食料を含む生活必需品に対して政府が価格統制するらしいが、そのシワ寄せはあまりにもきついダメージを与えるに違いないだろう。当然ながら販売業者たちの破産は目に見えている。

日本においてバブル崩壊後、いろいろ問題はたくさんあったし、今も多くの問題を抱えている今日の国内経済だが、結局は国民はそれらを仕方のないものとして受け入れた。しかし中国がバブル崩壊となると、彼ら中華民たちは黙ってそれを素直に受け入れると思うだろうか、否、必ず彼らは暴れだすにちがいない。それが暴動となり、革命へと発展する可能性すら秘めているであり、それこそが真のチャイナリスクというわけだ。

さて2回にわけて中国における懸念すべき事項を述べた。中国内に蔓延するインフレがいかに負の要素を含んでいるか理解してもらえただろうか。また中国内での暴動が本格化すれば一時的はハイパーインフレすら予想できるのである。それにより中国人はより一層の生活難を強いられるというのだ。かといってインフレが収束するやいなや、次は恐怖のデフレがやってくるというわけだ。一寸先や闇というのは今日の中国に最も当てはまるように感じるのは筆者だけだろうか。

チャイナリスク①

2010年11月23日 | Weblog
中国におけるリスクは3点。それは中国共産党の崩壊、不動産バブルの崩壊、そして我々日本人にはあまり関心が薄いようだが、中国国内に浸透しているインフレである。ここでは皆の馴染みの薄い中国のインフレについて言及することにする。

11月11日に中国国家統計局が発表した10月期CPIによると、前年同期比で4%上昇したが、増え幅は9月比0.6%反落し、単月では今年最低の増加速度となったようだ。また2010年平均では3%を超える可能性が非常に高いとメディアは述べている。(中国の統計データの信憑性についてはここでは置いておく。)
さて政府が設定しているインフレの警戒線は3%である。ということは政府が言うに、現在は警戒すべき状態のようだ。更に庶民の水準で考えると、それは十分生活を圧迫するレベルに達しているのではないだろうか。

ここで思いだしてもらいたいのは、今年中国でおきた賃上げストである。自動車勢の工場にて積極的にストが行われ、結果企業が折れるという具合で決着がついたのはご存知だろう。そしてこのストが認められたという事実はもちろん中国内に瞬く間に広がり、至る所でこういったストが今後増えていくことは確実だろう。また日本企業だけでなく、外資全てに影響が及ぶのはまちがいない。実際、今日も中国内では多々起きているのではないだろうか。ここでストの背景にあるのが、上記で述べたインフレというわけだ。インフレによる物価上昇の圧迫から、賃上げしてもらわないと生活できないという悩みが人々を駆り立てているのは紛れもない事実だろう。生活のためのストとも言える。

しかしこういった賃上げストが中国景気を大きく左右させる問題があるのだ。それは中国がこれまで安い人件費がなによりの魅力として、世界各国多くの国が進出していった背景にある。その中国へのメリットが薄れるというのであれば、企業が撤退という手段にでるのはごく自然な流れだろう。
また中国の周辺には中国より安い人件費の国々がたくさんあるし、国自体のリスクを考えても他の東アジア諸国に移る方が懸命であると考え出すのは時間の問題だろう。
更に賃上げを加速させることは、一方で失業率の拡大を助長させる可能性を秘めていることも忘れてはいけない。失業の拡大と物価の上昇は最悪の組み合わせである。

中国としては外資で自動車会社が出て行くとなると、それは非常に困るにちがいない。というのも自動車企業の工場というのは、どの企業よりも雇用の確保が約束されるからだ。電機もそうだが、それ以上に自動車は国内の雇用に寄与してくれるわけだ。それが国外に出て行くとなれば、中国政府としてはたまったものでないだろう。

それゆえに中国内における今日のインフレは国を転覆させるほどの意味合いがあることが理解できるだろう。中国内では物価高による生活難も今日のデモや暴動の一要因となっていることは間違いないはずだ。


世界情勢

2010年11月22日 | Weblog
 さて相変わらず日本の株式市場は堅調ぶりを見せている。今月始めの日米金融緩和以後、市場におけるムードは悲観から楽観へと一変したようだ。そんな日経平均をチャートで見ると、現在は買われすぎの水準まで上昇している。相対性指数では80ポイントを超えている今日は、今年の3,4月時と同様の水準ということになる。記憶に新しいとは思うが、その時期の日経平均はというと、年初来高値の11400円を形成した頃であり、当時も今日同様、世界中の株式市場が天井を形成していた。
 
またアイルランドにおける信用不安の影響を短期的にも受けなかった今日の日本市場は少しばかり投機に陶酔しているのかもしれない。しかし日本の個人投資家は強かにも売りこしに転じていることが明らかになっている。では相場を引っ張っているのが外国人投資家といったところだろうか。
結局アイルランドはEUに支援されるようだが、次にスペインやポルトガルといった国がゾンビのように控えている。どうせ救済するのなら、一度にやってしまえばと思うのは筆者だけではないだろう。それが出来ないのはEUとしても資金に限界があるから、その使い用途には慎重なのだろう。それゆえに財政赤字国の救済をいつまで続けるのかは非常に興味深い。付け加えて今日のアイルランドの信用不安にて、欧州における状況は全く改善していないということが実感できたのではないだろうか。
  
筆者の見解で世界を見渡すと、もはや世界の経済情勢は明るいものではない。日米欧で見ても、個人消費の減少は顕著化し、失業率は以前として高止まりである。日本国内では政局に明確さが見えず、将来における戦略もないことから、更に状況は悪化すると見て間違いないだろう。それは何も日本だけでなく、欧米もまた然りである。どちらか言えば、欧州こそ今後本格的なデフレがもたらすリセッションに突入するにちがいない。
また頼みの新興国にも不安が根付きつつある。というのも彼らもまた投機の対象となってしまっているのだ。東南アジアの株式市場は年初来高値を日々更新していた状況はチャートを見れば、成長をアピールするものでなく単なる買われすぎであることは周知の事実だろう。
最近あまり言われなくなったBricsにおいても、今日の投機マネーが縮小し始めたら、状況は悪化する。ロシアは原油や天然ガスが下落すれば、一気に赤字に転じる。とりわけ中国において、我々はあまりにも鈍感すぎる。この中国については明日のブログで取り上げるつもりだ。

余談だが、NYダウの年初来高値は今月つけた11452ドルである。今年4月につけた日経の年初来高値と数字上では非常に近いものとなっているが。これは単なる偶然だろうか、それとも然るべきしてそうなったのか。


経済と金融の矛盾

2010年11月18日 | Weblog
新聞やメディア等でよく目にすると思うが、今日の日経平均の堅調ぶりの背景にあるのは、これまで出遅れていた日本株が今になって再評価され始めたというものが1つ、そしてもう1つが為替で円安に傾いているというものだ。筆者はこの両点に対してかなり疑いの目を向けている。

まず1つは海外から出遅れていた~、というものだが、このタイミングで日本株が見直されるというのは非常に無理がある。まず経済面でいうなら、国際情勢はアイルランドにおける国債利回りの上昇で今日、再度の信用不安に駆り立てられつつある。そして米経済も状況はよろしくない。というのも17日発表があった、米消費者物価指数の伸びが過去最低になったというのが米経済の深刻さを物語っている。更に同日、10月の米住宅着工件数の発表もあり、それもまた前月から大幅に減少したというものだった。
我々日本人にはあまり関心が薄いかもしれないが、米国経済の実情というのは高失業率がもたらす消費心理の落ち込み、そして不動産市況の悪化、もはや救いようのない状況にまで陥っているということだろう。それゆえに日本株の出遅れ感から買いが~、というのはあまりにもナンセンスすぎやしないだろうか。

そしてもう1つの円安基調が強まっているという話だが、これも非常に信憑性の欠ける内容である。1ドル80円台後半にまで円安に振れているのであれば、その円安要因で株への資金流入というのは理解できるが、未だ83円台である。たったの2、3円程度で円安基調と捉えるのは不適切だろう。
付け加えて先日も述べたように、ユーロやポンド、そして豪ドルといった米ドル以外の主要通貨において円安が進んでいるかというと、そうでもないことはチャートを確認してもらえれば誰でもわかるはずだ。
この上記で述べた2つにて、まるでとってつけたかのような理由であることが理解してもらえるだろう。メディアやアナリスト、そしてエコノミストたちがいかにいい加減か実感できる。

さて昨今の日米両国による追加の金融緩和により株式市場と大手金融機関だけは潤っているようだが、それは一般市民には何の恩恵にもありつけないことは、日本で行われたゼロ金利政策が物語っている。現在の矛盾や乖離は一体全体どのようして解消されるのかというのは非常に興味深いものだ。
しかし誰かが買っているから、株が上昇するということに紛れもない事実である。しかもこれだけの上昇パフォーマンスを演じているのだから、単なる一企業で出来ることではない。ちなみに個人投資家は売り方であるようだ。そこで筆者は、公になることはまずないだろうが国家規模の影響力を感じている。米Fed議長が株の上昇こそ、個人消費の改善に繋がるというぐらいであるから動機は十分だろう。そう言えば昨年12月のドバイショック直後に、今回と同様の雰囲気をマーケットに感じられた。


全てが一体となったマーケット

2010年11月17日 | Weblog
 米ドルが強含みしてきたことにより、商品に対しても調整は免れないだろう。金や銀にはそういった動きが見え始めている。銀におけるパフォーマンスは異常であっただけに、下落局面における下がりかたも半端ないものとなることが予想される。
そして原油は遅れて上昇しただけに、未だ調整局面に差し掛かっていない。次なる信用収縮局面では原油も20ドルを切るまで下落するだろう。また米国内における原油の在庫は最高水準にあることも今後の下落を後押しするのではないだろうか。今年9月には過去最高にまで進んだ在庫の状態が今も続いている。おそらく原油も一度下落すると、そのテンポは非常に速いことが予想される。
そして注目すべきは異常気象とドル安により持ち上げられた穀物といったソフト類である。チャートを見てもらえればわかると思うが、これらの上昇率は株式や債券市場とは比べ物にならないほどであった。それゆえにトレンド転換後は非常に見ものであるのだ。
 
さて上記でも述べたように今日の金融市場において、5月の欧州信用不安時には安全資産として買われた米国債等の先進国国債が今日売られ始めている、つまり利回りは上昇している、ことに我々は注意すべきだろう。それはまるで全てが1つの方向に向いて動き出したようにも感じられる。直近の例ではリーマンショック時の悲惨な出来事だろうか。
新聞1面を飾った株式、債券、そして商品の3大安は記憶に新しい。そして今日それが再び起きようとしているのだから。そういう意味でも今秋の株の上昇は、段階的に必要であったのかもしれない。しかしそれはあまりにも一方的な買いにコトが進んでしまった。その調整を現在迎えようとしているわけだ。「全てが一体となったマーケット」にて。

日に日に、市場のセンチメントがベア派に傾き始めているように感じるのは筆者だけだろうか。米ドルの動きは完全にトレンド転換したのでは?DXのチャートを見れば、そのように実感できるし、対ユーロやポンドにしてもそれは明らか。
9月の中旬以降、加速した米ドル安が金融市場にとって特需となり、それは買われすぎの状態から、更に危険な水準にまで持ち上げられてしまった。そして今日、その調整が今に始まろうとしている。もはやソフトランディングは不可能の域だろう。出遅れ感が強かっただけに日経平均はこれから円安により上昇するといった、訳のわからない情報に流されないように。

円に注意

2010年11月16日 | Weblog
 今、日本の市場で影響力があるのは対主要通貨での円の動きだろうか。つまり円安、円高のどちらに振れるかということに一喜一憂しているように感じられる。欧州における信用不安第二幕で、米ドルが再び買い戻されている(的確に述べるなら、信用不安はあくまで二次的なもので米ドルの上昇への転換は然るべきして起きた)ことが、円安トレンドに向きつつあるというものだ。それゆえに日本の株式市場に買いムードが増えつつあるというのが一般的な見方だろう。
 しかし現在のマーケットがそれほど円高円安の影響を受けなくなったことは以前のブログで述べた。というのも円高の加速といっても、それはあくまでドルに対してだけであったことは言うまでもない。それが顕著であったのは9月中旬に、Fedが今月始めに行ったFOMCにて追加の金融緩和に踏み切ることを表明して以降であった。では他の主要通貨に対してはどうかというと、8月後半から9月前半にかけての円高時から比べると、それ以降現在までは円安に向いていた。
 では今後の展開について考えてみよう。米ドルが上昇トレンドへの転換を済ませたことはもはや間違いないだろう。そしてそれが継続すると仮定するなら、今回は円もドル高円安の方向に向く可能性が高い。
 だが、だからといって他の主要通貨に対しても円高になるとは今日の動向からしても考えにくい。どちらかというと欧州圏に問題があることから、ユーロやポンドは例外なく売られるだろう。そしてそれが向かう先は米ドルであり、円と考えることは自然だろう。それゆえに米ドルに対しては円安が進むが、他の主要通貨に対しては円高が加速するという結論に至る。
 もちろん状況は日々刻々変化するから、この結論と決定づけることは良くないかもしれないが、筆者は現時点このように推測している。さてそこで日本株がその状況にどういった反応を示すか、というのが論点となってくる。
 ここで上記でも述べた、為替はそれほど影響力を持たないということである。というのもDX(米ドル指数)が上昇し始めることは、株や他の商品の下落を引き起こす。それは世界規模で起こることなので、日本株も例外なくその下落の波に飲み込まれるということだ。だから今日のドル高円安で株が買われていると考えることはあまりにも安易で危険であるのだ。
 まだ全ての通貨に対して円安に振れているのなら、まだ株の上昇も理解できるが、米ドルにだけ円安が起きている今日の状況を我々は深刻に考えるべきだろう。

反転の兆し?

2010年11月15日 | Weblog
 みなさんもご存知の通り、市場における関心事は欧州における信用不安第二幕だろう。メディア等でも挙げているように、PIIGS(ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペイン)、その間にハンガリーHを入れておくべきだろう、における国債利回りが再び懸念されていることである。
 ここで筆者が考えている点は然るべきして、表面化しつつあるこの問題が今後の相場にどの程度の影響を及ぼしてくるか、である。今日のマーケットは誰の目から見ても総強気に見舞われていた。先週末、そういった欧州圏内の信用不安で少しは株式市場も下げたが、依然として買われすぎの状態であることに変わりはない。付け加えて、各国の中央銀行や政策担当者は市場への介入に対して積極的な傾向にある。
 それゆえに超ベア派の筆者は現在のマーケットに注意を払っている。落ちるべきところで落ちない市場において、安易な投資戦略をとっているとマージンコールの波に飲み込まれかねない。
 しかし彼らの思う通りに市場が動くかというとそうでないことは歴史が証明している。というのも市場操作は短期的には効果的であっても、中長期で見るなら、それはより一層経済状態を悪くするものであるのだ。Fedの米ドル毀損化が良い例だ。
 ではここで現在のマーケットを見直しておくべきだろう。米ドル安の加速から、あまりにも買われすぎた金融市場というのが先週半ばまでの状況であった。そして「全てが一体となったマーケット」とも言うだけあって、稀とも言える多くの商品が買われすぎとなっていた。ここで注意しておくは、上記の相場が実体経済とはあまりにもかけ離れた水準であるということだ。
 それゆえに一度調整局面に入ると、その異常な買われすぎの反転はマーケットに対してきつい一撃となる可能性が高いことは言うまでもない。それは自然の摂理である。そしてその兆しが先週末に見え出したということだ。ちなみそれは単なる調整ではなく、欧州の信用不安というファンダメンタル的にも中々インパクトのある問題をきっかけとして、というものである。
だから筆者は今週以降マーケットは大きな調整局面に入るのではないか、と考えている。相場の雰囲気は未だにブルであることから、こんな信用問題などすぐ解決される、という具合に取る方もいるだろうが、市場がここまで傾く時というのは稀であるし、そういう時こそ例外なくマーケットは反転している。そのきっかけが先週末に表れたのだ。

長期金利の上昇

2010年11月11日 | Weblog
おやおや、日経平均は9800円台にまで持ち上げられた。ここにきて日経平均が持ち直してきたというのにも疑問がわくところであるが、世界的なブルマーケットの恩恵を受けていると言われれば終いだ。しかし昨日の上げには、なにかしら違和感を感じられたことに間違いはない。
Fedによる米ドル毀損化により、先週中頃から世界のマーケットは活況を喫したのはもはや周知の事実だ。しかし全部が全部、その恩恵を受けたかというとそうでもない。スペインの株式市場など、先週は前週よりマイナスで引けている。ここでやはり南欧の信用不安が再び懸念されはじめている証拠なのかもしれない。ユーロ建てのLiborが右肩上がりであることにも注意しておく必要があるだろう。
また株式市場の好調とは裏腹にBDI(バルチック海運指数)が低調であることも頭に入れておくべきだろう。昨日地点で9営業日連続の下落となっており、チャートで見ても下げ圧力が強まっているとは誰の目から見ても明らかではないだろうか。

今や3大高の1つである債券市場に動きが出始めた。というのも長期の米国債の金利が高まり始めたのである。つまり債券価格は下落し始めているのだ。そういえば5月のミニショック以降、この3大市場(株式市場、債券市場、そして商品市場)において、最初に買われ始めたのは日米独といった安全性の高い国債であった。それが今日、下落し始めたというのだから注意が必要だ。一番最初にあがったものが一番最初に下がるという王道であるのだ。それゆえにその下落段階は次々へ普及してくると考えることはできるだろう。 しかし見極めるにはもう少し時間が必要だ。今日のブルはあまりにも勢いついているため、下げだした時こそ注意が必要なのである。

米国内の金融機関が先週末地点で143件破綻したようだ。これは昨年1年間で破綻した140件をすでに上回ったことになる。もちろん中小の金融機関が破綻しているわけだが、その背景にあるのは住宅市況の低迷と不動産融資の焦げ付けである。株式市場が好調なだけに、我々外国人はそれほど米国の現状を見抜けないが、こういった破綻や低下しない失業率、そして民主党の大敗からして、米国経済は相当に悪化していることが理解できる。こういった本当のアメリカを世界が知った時、どうなるかのだろうか。

売られすぎたGSRと買われすぎたSGR

2010年11月10日 | Weblog
 現在、市場における金、銀、銅の騰勢は必然と目に入ってくるほどだ。金は1400ドルに到達し、また銀は金以上のパフォーマンスを演じ今日27ドルにまで達した。9月時がまだ19ドル台であったことから、凄い勢いで買われていることがわかるだろう。銅においても、金銀程ではないが十分すぎるパフォーマンスである。
 そしてGSR(ゴールド・シルバー・レシオ)は月曜に50.79ポイントにまで下落した。逆にSGR(シルバー・ゴールド・レシオ)は凄い買われすぎである。そして昨日GSRは50ポイントをとうとう下回った。ここまでの下落はかなり予想外であることは素直に認めるが、果たしてこのブルはいつまで続くのだろうか。やはり米ドルの反転がサインだろう。先週初めに米ドルに反転の兆しが見られたものの、Fedの米ドル毀損化政策により、再び米ドル安の展開となってしまった。
ちなみにこのGSRが100ポイントに達した時と50ポイントを下回った時、株式市場に大きなショックが起こり、かつ相場の転換点となってきたことは歴史が証明済みだ。今日の右肩上がりの市場を止めるのは果たして。。。
 また現在の米ドルにおけるセンチメントを見てみると、強気が3パーセントにまで弱まっている。過去に異常なまでに偏る時こそが市場の転換点であったことから、今回も転換点が近いように感じられるとは個人的見解。

 さて今日、欧州におけるソブリンリスクが再びメディア等で取り上げられるようになってきた。一時は低下していたギリシャ国債の利回りが上がってきているし、アイルランドのそれは右肩上がりで今年1番の高さにまで上昇している。なんでもユーロ導入後で最高の利回りとなっているようだ。そしてポルトガルにおいても状況は同じだ。
 こういった利回りで日本を見ると、いかに安全かが実感できる。ギリシャは10%を超え、アイルランドは7%後半、ポルトガルは6%台で推移しており、日本のそれは今や1%にすら満たないのだ。金利とは信用の物差しとはうまくいったもので、今日の状況に非常に当てはまるのではないだろうか。
 もちろん日本も、今日のデフレ社会や政治運営等で懸念されるべき問題は多々あるが、諸外国のメディアや政界そして金融界から財政不安で真剣に取り上げられることはまずない。それはやはり欧州の財政赤字国と中身や内容が違うからだろう。

今日の3大高

2010年11月09日 | Weblog
 FRB議長であるバーナンキ氏が「株高が個人消費を刺激する」との見解を表明したことで、中央銀行総裁の技量が明らかになったのではないだろうか。超エリートの考える景気回復とは株高と言っているわけだ。エリートとは、やはり所詮こんなものである。
 また彼らはインフレ推進派であるだけに今回の追加金融緩和は今ところ成功しているわけだ。株式、債券、商品の3大高により、彼らは景気回復への道筋が見えるとでも言わんばかりの行動だが、これはただのバブルに過ぎない。
 チャートで見てもらえれば一目瞭然だが、ほぼすべての市場に買われすぎが確認できる。異常気象で持ち上げられた商品市況には更なる投機マネーが入ったようだ。以上からしてもバーナンキは投機が実需を刺激すると言っていることになる。過去に投機がリセッションを抑え、景気回復に向かわせるといった事象が在っただろうか。
またインフレ資産が買われる一方で、米ドルとGSR(ゴールド・シルバー・レシオ)は売られすぎとなっている。GSRにおいては週末52.09ポイントにまで下落した。もちろんこの状態は現在、末期であることはチャート上のテクニカルが教えてくれている。そして問題はいつ反転するかという所だが、何度も言うようにそれは遠い未来ではないはずだ。

週明けの日本市場は週末の流れを引き継いで、106円高の9732円にまで上昇した。先週木曜から3営業日で市場は大変持ち直している。世間では世界各国の株式市場に遅れていた日本市場が、遅れを取り戻し始めたという声も出ていることだろう。
確かに日経平均は世界的にベアであり、回復が非常に遅れていた。しかしこの日経平均をドル建てで見ると現在の水準は約119ドルである。そしてリーマンショック前の水準である113ドルを十分クリアしているのだ。また今年4月頃の超強気であった時期で121ドルであったことから、今日の水準はなにも日本の株式市場が世界的に低迷しているというわけではないことが読み取れる。
円高ドル安で見ると、また新しい1面が見えてくるわけだ。そしてこのドル安により世界中のインフレ資産が買われているのだから、国内の日経平均が低調であるとはいえ、世界的な今日の買われすぎに日本も含まれると筆者は捉えている。

更にブルか。。。

2010年11月04日 | Weblog
 今週の2大イベントの1つである米国中間選挙は民主党が歴史的な大敗退を喫し、共和党が再び力を強める結果となった。これは大方の予想通りといったところだろうか。そしてもう1つのFOMCではFedが6000億ドルの米国債を買い入れることを決定した。メディアの予想として約5000億ドルだっただけに市場は多少好感気味に受けとったようだ。
 それゆえに米ドルには再度の売り圧力がかかってきたことは米ドル指数(DX)や対主要通貨を見ていても明らかである。
 またその米ドル安によって株式、債券、そして商品が上昇したことは、今日が未だに「全てが一体となったマーケット」の継続を表しているし、Fedはもはや確信犯であるようにもとれるのだ。そして今日のアジア市場はその金融緩和の恩恵を受け、各地で株式市場は大躍進となった。今やほぼ全ての市場にて買われすぎの水準であったにもかかわらず、人工的な手法で更に持ち上げられたというのが現状である。
さて円が昨晩に円安に進んだのは意外であった。今の地点でも、そこまで円高が進んでいないというところである。より一層の米ドル毀損化から80円割れも考えられるシナリオであったが、今のところ持ちこたえているようだ。80円前後の屈強な支持線のおかげだろうか。しかし79円50銭辺りを下回れば、より一層の円高の可能性は高くなる。そうなるとメディアや政府がお得意の円高嫌悪論を再び騒ぎ立てるのだろう。
以上の結果をもって、中間選挙とFOMCを終えたわけだが、今週のマーケットはその余韻にひたるのだろう。山高ければ谷深し、を思い出す必要がある。さて今回も転換しかけていた市場が先延ばしされてしまった。どこまで超強気のマーケットは続くのかな、そして転換はいつ頃からかな。

オバマが負け、民主党の大敗退が彼らの強引さにストップをかけることは間違いないだろう。同時に彼らは市場への介入に対して積極的であるのも事実。その市場介入により今日の金融資産が軒並み上昇していることを忘れてはいけない。さて、どちらかというと市場に対して放任的である共和党が強さを増してくるというのであれば、マーケットの現状に少しは疑問視してもよいのでは、というのが個人的見解。
しかしそれが一切見られないことからして、超ブルが今日の市場を牛耳っていると見て間違いないだろう。いくら介入によって株などが上昇したからといって、本来の金融が良くなるとは限らない。実際、米国内における金融情勢は悪化の一途を辿っているのではないだろうか。

モノラインの破綻

2010年11月03日 | Weblog
今年1月に開業したドバイの超高層ビル「ブルジュ・ドバイ」はまだ記憶に残っているだろう。その高さ世界一を誇るビルの住宅賃料が最大4割下落していることが明らかになった。まさしくバブルの塔を地でいっているわけだ。
また9割以上は販売済みだそうだが、投資目的で買われているのが大方らしく、それゆえにほとんどが空室であることはあまりにも皮肉のように見える。これこそ2000年代のバブルの象徴であったことは後々言い伝えられるにちがいない。そしてそれから長期にわたる大恐慌が世界を襲ったと数十年先の歴史書で見ることができるのではないだろうか。

 今日、円安円高といった為替変動は一時期ほどに日経平均へ影響しなくなっているように感じられる。為替どうこうでなく、日本の市場が各国に比べて異様に弱い今日。世界各国の株式市場が下を向き始めたら日本はより一層の下落圧力に見舞われるだろう。
 さて話を戻して円についてである。今回のFedの活発的な行動により、今後の円相場ももちろん変わってくるというものだ。より一層のドル安トレンドになるなら80円割れは受け入れなくてはならない事実である。
 では逆にドル高に向かうとするなら、円はもちろん円安に向くことになる。これまで円やドル以上に強い通貨であったことから、市場に不安が広がると円が買われてきた。しかし今日のトレンドはドルの全面安であったことはもはや周知の事実だ。それゆえに米ドルが反転するなら、円高から円安へと変わる可能性が高まっている。
しかし上で述べたように、今日の日経平均は為替にそれ程反応しなくなっていることがここでの悩みの種となってくる。円安になったところで、株が上がらないという現象が近い将来目の当たりにするかもしれない。ただここで付け加えおきたいのは、それはなにも歪んだことでなく、どちらかというと自然なのだ。
そういったことから日本人は円高が経済にとって悪くなかったということに気づき始めるのかもしれない。自国通貨が強いということは決して悪いことではないのだ。

07年から08年の市場のトラブルメーカーの1つであったモノライン(金融保証会社)のアムバックが破綻申請の可能性を発表した。30日以内に利払いができない場合、債務不履行に陥るようだ。これが米国の現状だ。いくら政府が景気刺激策を出したところで、それは企業の破綻を先延ばしにしているだけではないだろうか。