Menton Capital's office

政府、中央銀行、そしてメディアによる我々への欺瞞

そして来る未曾有の世界規模とされる大恐慌への処方箋として

経済と金融の矛盾

2010年11月18日 | Weblog
新聞やメディア等でよく目にすると思うが、今日の日経平均の堅調ぶりの背景にあるのは、これまで出遅れていた日本株が今になって再評価され始めたというものが1つ、そしてもう1つが為替で円安に傾いているというものだ。筆者はこの両点に対してかなり疑いの目を向けている。

まず1つは海外から出遅れていた~、というものだが、このタイミングで日本株が見直されるというのは非常に無理がある。まず経済面でいうなら、国際情勢はアイルランドにおける国債利回りの上昇で今日、再度の信用不安に駆り立てられつつある。そして米経済も状況はよろしくない。というのも17日発表があった、米消費者物価指数の伸びが過去最低になったというのが米経済の深刻さを物語っている。更に同日、10月の米住宅着工件数の発表もあり、それもまた前月から大幅に減少したというものだった。
我々日本人にはあまり関心が薄いかもしれないが、米国経済の実情というのは高失業率がもたらす消費心理の落ち込み、そして不動産市況の悪化、もはや救いようのない状況にまで陥っているということだろう。それゆえに日本株の出遅れ感から買いが~、というのはあまりにもナンセンスすぎやしないだろうか。

そしてもう1つの円安基調が強まっているという話だが、これも非常に信憑性の欠ける内容である。1ドル80円台後半にまで円安に振れているのであれば、その円安要因で株への資金流入というのは理解できるが、未だ83円台である。たったの2、3円程度で円安基調と捉えるのは不適切だろう。
付け加えて先日も述べたように、ユーロやポンド、そして豪ドルといった米ドル以外の主要通貨において円安が進んでいるかというと、そうでもないことはチャートを確認してもらえれば誰でもわかるはずだ。
この上記で述べた2つにて、まるでとってつけたかのような理由であることが理解してもらえるだろう。メディアやアナリスト、そしてエコノミストたちがいかにいい加減か実感できる。

さて昨今の日米両国による追加の金融緩和により株式市場と大手金融機関だけは潤っているようだが、それは一般市民には何の恩恵にもありつけないことは、日本で行われたゼロ金利政策が物語っている。現在の矛盾や乖離は一体全体どのようして解消されるのかというのは非常に興味深いものだ。
しかし誰かが買っているから、株が上昇するということに紛れもない事実である。しかもこれだけの上昇パフォーマンスを演じているのだから、単なる一企業で出来ることではない。ちなみに個人投資家は売り方であるようだ。そこで筆者は、公になることはまずないだろうが国家規模の影響力を感じている。米Fed議長が株の上昇こそ、個人消費の改善に繋がるというぐらいであるから動機は十分だろう。そう言えば昨年12月のドバイショック直後に、今回と同様の雰囲気をマーケットに感じられた。