大学卒業後、仕事により久々に京都に一人で行った。まず初めて京阪で京都に向かう。今まで阪急がメインだったから珍しいのだ。
朝に会社で納品服(正月に買ったデニ厶)に着替えて早めに会社を出ようとしたら、業界で唯一仲がイイSさんが野暮用で来社すると電話が入る。Sさんは歳が近く、なんと言っても仕事関係で唯一の洋楽仲間だ。無茶苦茶に趣味が合う。結局、商談室でCDの交換をしたり洋楽の話をしたりで、かなり話し込んでしまった。うちの事務員で僕が大好きなFさんをSさんに紹介したのだが、Fさんはなんか緊張してて僕と話す時と態度が違う。そりゃSさんは若くてカッコイイけど、他の男性を意識してるFさんを見るのは軽くツライ。
かなり予定から遅れて京阪に乗る。車窓から初めて見る門真や寝屋川などはただの街って感じで感動は無いが、伏見の開けた土地の眺めはなかなか新鮮だった。
寒波が来てるが、覚悟したほど京都の気温は低くない。
さて昼飯の調達だ。仕事の都合により三条駅付近で捜す。古い感じの定食屋を捜してたらちょうど良いのを発見。昔ながらの町屋を前面だけ改装した、その改装さえ遥か昔と思われるボロさがいい。中は暗くて狭く、かなりの歳の老夫婦だけで切り盛りしてる定食屋だった。ローカル局のAMラジオが流れ、客は近所の人だけ、席数自体が少ない。定食屋と関係の無い古い木彫りの人形など、どこかのお土産物みたいなのが店の端に雑多に置かれている。地元の人々とのかつての交流の証かのようだ。大学の近くの喫茶店もこんな感じだったなあと思い出す。京都の雑然とした街の様子と店の中の雰囲気はよく釣り合っている。メニューも手書きでごちゃごちゃしていて、本当に今でも注文すれば出てくるのか疑わしいものがある。
野菜炒め定食と迷ったが、「味自慢」と書かれた天ぷらうどんとライスを注文する。出てきた天ぷらうどんは珍しい味だった。天ぷら自体がかき揚げサイズ一個で、出された時点でかなりダシに浸かってふやかされてる。海老が入ってるがかなり小さい。なにより上に胡椒をかけてあり、とてもスパイシーで、うどん全体の味は油っこいのだ。老夫婦の辿りついた味がこれか…。洗練されてるとは言えないが、悪くはない味だ。勘定後、老夫婦に丁重にお礼を言われながら店を出る。こんな定食屋がいつまで営業しているのかわからない。この古さも雰囲気も貴重だと思い、店の外見を携帯で撮った。
仕事は納品のみで割と早く終わった。さて、今後は帰社ルートを愉しむ時間だ。
三条から四条まで歩き、途中で甘味処に入ると決める。「孤独のグルメ」で見た「豆かん」みたいなものが食べたい。主人公の五郎は自営で輸入雑貨商をやっており、早朝の納品後は飯を食った後「さて、家に帰ってシャワーを浴びて一眠りだ」などと考える。その自由な営業スタイルがうらやましい。自分もこうやって納品後に時間をごまかしつつ遊んで帰るわけだが。
久しぶりに歩く四条周辺で、学生時代を思い出す。あの頃は金が無くて憂鬱な日々で、買い物や町並みを愉しむ余裕は無かった。卒業直前、不動産チェーンに就職が決まってたのに蹴って、レコードショップのHMVのアルバイトをしながら京都に残った友人Sのことを思い出す。そんなに音楽に造詣が深かったわけでもないのに、今頃どうしてるだろうか。平日の昼間は暇そうな学生ばかりの街。今も全然変わらない。どんより曇った空、三条大橋の冷たい路面。これが京都だ。

甘味処はすんなり見つかった。京都独特の狭い入口、鰻の寝床状の構造の古い店だ。早速入って座るが、中はカップルが多くて居づらい。外観は古くても、やっぱ若者がデートの途中に寄る和スイーツの店に過ぎないんだなぁと思う。
まったく店とは関係ないが、隣に座ってる30歳ぐらいの冴えない風体の女の二人組みが、ipodをお互いに聞かせながら洋楽の話をしている。洋楽オタクの女ってこんな人がたまにいるんだよなあ・・・。自分もあと5年ほどで洋楽オタクの30代になるのだが、もっとスタイリッシュでいたい。
みたらし団子とあんみつのセットを注文する。男一人でこれはつらいが、まあ「俺は和風の軽食がとりたいだけ、文句あるか」と腹をくくって一人で黙々と食べる。みたらし団子は四角くカットされ、行儀良く皿に積まれている。香ばしくて、甘さ控えめで、もち米の味が生きている。普段食べる安物の団子とは全然違う。
あんみつも寒天が歯ごたえがしっかりしてて、みつの甘さも表現しにくいが、深い感じ。
メニューの味は文句ないのだが、緑茶が旨くない・・・。あれ?って感じの、味がしない緑茶。加えて湯飲みが百円均一で売ってるものだ。我が家にもあるのでわかる。これが残念!
他の客が大学生風のカップルで、会話が薄っぺらいのも辛かった。食べ終わって「けっこう腹いっぱいになるな」と思っていたら、勘定の時にやたら高額を言われる。値段のわけを聞いてみると、セットではなく、団子とあんみつの単品の注文と思われたらしい。おいおい、なるほど量が多かったわけだ。しょうがないので請求通りの金額を払おうとしたら、「セットのおつもりでしたか、申し訳ございません」と、セット料金に負けてくれた。助かった。
店員も調理場の人も学生アルバイトみたいな若い人ばかりで、老舗にしては妙な感じであった。店の店主が若い人に跡を継がせたのだろうか?
また食べたいが、一人はやっぱりやりにくい。女の子といつか京都の甘味処に来られたらいいのだが。次回は緑茶が旨い店、いや、抹茶を飲める店にチャレンジしてみようと思っている。
朝に会社で納品服(正月に買ったデニ厶)に着替えて早めに会社を出ようとしたら、業界で唯一仲がイイSさんが野暮用で来社すると電話が入る。Sさんは歳が近く、なんと言っても仕事関係で唯一の洋楽仲間だ。無茶苦茶に趣味が合う。結局、商談室でCDの交換をしたり洋楽の話をしたりで、かなり話し込んでしまった。うちの事務員で僕が大好きなFさんをSさんに紹介したのだが、Fさんはなんか緊張してて僕と話す時と態度が違う。そりゃSさんは若くてカッコイイけど、他の男性を意識してるFさんを見るのは軽くツライ。
かなり予定から遅れて京阪に乗る。車窓から初めて見る門真や寝屋川などはただの街って感じで感動は無いが、伏見の開けた土地の眺めはなかなか新鮮だった。
寒波が来てるが、覚悟したほど京都の気温は低くない。
さて昼飯の調達だ。仕事の都合により三条駅付近で捜す。古い感じの定食屋を捜してたらちょうど良いのを発見。昔ながらの町屋を前面だけ改装した、その改装さえ遥か昔と思われるボロさがいい。中は暗くて狭く、かなりの歳の老夫婦だけで切り盛りしてる定食屋だった。ローカル局のAMラジオが流れ、客は近所の人だけ、席数自体が少ない。定食屋と関係の無い古い木彫りの人形など、どこかのお土産物みたいなのが店の端に雑多に置かれている。地元の人々とのかつての交流の証かのようだ。大学の近くの喫茶店もこんな感じだったなあと思い出す。京都の雑然とした街の様子と店の中の雰囲気はよく釣り合っている。メニューも手書きでごちゃごちゃしていて、本当に今でも注文すれば出てくるのか疑わしいものがある。
野菜炒め定食と迷ったが、「味自慢」と書かれた天ぷらうどんとライスを注文する。出てきた天ぷらうどんは珍しい味だった。天ぷら自体がかき揚げサイズ一個で、出された時点でかなりダシに浸かってふやかされてる。海老が入ってるがかなり小さい。なにより上に胡椒をかけてあり、とてもスパイシーで、うどん全体の味は油っこいのだ。老夫婦の辿りついた味がこれか…。洗練されてるとは言えないが、悪くはない味だ。勘定後、老夫婦に丁重にお礼を言われながら店を出る。こんな定食屋がいつまで営業しているのかわからない。この古さも雰囲気も貴重だと思い、店の外見を携帯で撮った。
仕事は納品のみで割と早く終わった。さて、今後は帰社ルートを愉しむ時間だ。
三条から四条まで歩き、途中で甘味処に入ると決める。「孤独のグルメ」で見た「豆かん」みたいなものが食べたい。主人公の五郎は自営で輸入雑貨商をやっており、早朝の納品後は飯を食った後「さて、家に帰ってシャワーを浴びて一眠りだ」などと考える。その自由な営業スタイルがうらやましい。自分もこうやって納品後に時間をごまかしつつ遊んで帰るわけだが。
久しぶりに歩く四条周辺で、学生時代を思い出す。あの頃は金が無くて憂鬱な日々で、買い物や町並みを愉しむ余裕は無かった。卒業直前、不動産チェーンに就職が決まってたのに蹴って、レコードショップのHMVのアルバイトをしながら京都に残った友人Sのことを思い出す。そんなに音楽に造詣が深かったわけでもないのに、今頃どうしてるだろうか。平日の昼間は暇そうな学生ばかりの街。今も全然変わらない。どんより曇った空、三条大橋の冷たい路面。これが京都だ。

甘味処はすんなり見つかった。京都独特の狭い入口、鰻の寝床状の構造の古い店だ。早速入って座るが、中はカップルが多くて居づらい。外観は古くても、やっぱ若者がデートの途中に寄る和スイーツの店に過ぎないんだなぁと思う。
まったく店とは関係ないが、隣に座ってる30歳ぐらいの冴えない風体の女の二人組みが、ipodをお互いに聞かせながら洋楽の話をしている。洋楽オタクの女ってこんな人がたまにいるんだよなあ・・・。自分もあと5年ほどで洋楽オタクの30代になるのだが、もっとスタイリッシュでいたい。
みたらし団子とあんみつのセットを注文する。男一人でこれはつらいが、まあ「俺は和風の軽食がとりたいだけ、文句あるか」と腹をくくって一人で黙々と食べる。みたらし団子は四角くカットされ、行儀良く皿に積まれている。香ばしくて、甘さ控えめで、もち米の味が生きている。普段食べる安物の団子とは全然違う。
あんみつも寒天が歯ごたえがしっかりしてて、みつの甘さも表現しにくいが、深い感じ。
メニューの味は文句ないのだが、緑茶が旨くない・・・。あれ?って感じの、味がしない緑茶。加えて湯飲みが百円均一で売ってるものだ。我が家にもあるのでわかる。これが残念!
他の客が大学生風のカップルで、会話が薄っぺらいのも辛かった。食べ終わって「けっこう腹いっぱいになるな」と思っていたら、勘定の時にやたら高額を言われる。値段のわけを聞いてみると、セットではなく、団子とあんみつの単品の注文と思われたらしい。おいおい、なるほど量が多かったわけだ。しょうがないので請求通りの金額を払おうとしたら、「セットのおつもりでしたか、申し訳ございません」と、セット料金に負けてくれた。助かった。
店員も調理場の人も学生アルバイトみたいな若い人ばかりで、老舗にしては妙な感じであった。店の店主が若い人に跡を継がせたのだろうか?
また食べたいが、一人はやっぱりやりにくい。女の子といつか京都の甘味処に来られたらいいのだが。次回は緑茶が旨い店、いや、抹茶を飲める店にチャレンジしてみようと思っている。