久々の新作映画レビューだ。ジブリのアニメはほとんど見ていて、今回もかなり楽しみしていたのだが、前評判が良くなかった。ネットでもダメ出しが多いし、知人が見た感想も「微妙」とかノーコメントなのだ。ストーリーに山場が無くあっけなく終わる感じ、と聞いていたのだが、自分はハリウッド大作のような単純明快なエンターテインメントにそれほどこだわりが無いつもりだったので、「別に山場が無くても良い映画はあるけどなあ」と思っていた。それゆえ、微妙との評価が多い「ポニョ」が果たしていかほどの物か気になっていて、仕事に集中できない日々も続いた。
夕方5:00から上映の回に行ったのだが、子供より大学生などの大人が多い。やはりジブリブランドは健在で、大人でも安心して見れるということか。全体的に客席が空いていた。口コミが悪い影響を与えているのだろうか?
冒頭の海中シーンは美しくて非常に完成度が高い。キャラの動きもコミカルでわかりやすくて良い。さすが宮崎駿が子供たちのために作ったというだけある。ただし、海中シーンを後でよく思い出して見ると、動きがディズニーっぽくてどこかで見たような気もする。
主人公宗介の住む町は水彩画風に描かれていて味わい深い。そこにジブリ伝統のリアルな動きのキャラアニメーションが重なる。この組み合わせこそ日本的な、ジャパニメーションにしか出せない雰囲気だ。
所ジョージが声優をする悪い魔法使い=ポニョの父親が、声とキャラがマッチしていて意外にいい。キャラデザも凝っているし、潜水艇みたいな乗り物も宮崎駿のファンタジー世界がよく表れている。
ストーリーは説明不足で観客の解釈に任される部分が多い。ただ、これはどんな映画にもあるので僕は全然かまわないと思う。ポニョもかわいくて好感が持てるストーリーなのだが、途中で人間化してからのテンポが良くない。僕の理解不足なのかもしれないが、妙にダラダラしていて、強調すべきでないシーンが幾つかある。この「幾つかのシーン」は見た後もどうしても許せなくて数日間悩んだ。テンポの悪さは何回か繰り返し見れば慣れるのかとも思ったが、「あのシーンだけは要らないよなあ・・・」と思い、再び観る気が萎えるのである。
宗介とポニョの「純粋な両思い」も単純すぎて、露骨であざとく感じた。この純粋さがこの映画の良い所と言う人もいるが。「海と船の魅力」がちょこちょこ演出されているが、子供が食いつく楽しさではなく、軍事オタクの監督が描いているからだろうか、なんとなく置き去り感があった。
終わり方が唐突なのはそれほど気にならず、こうゆうのもアリかなと思う。ただし、全体を通して退屈させない映画かと言えば違う。ひいき目にみてもケチがつく。「ラピュタ」や「トトロ」のすっきり観終われるのがとても懐かしくなった。というか「千と千尋」がどれほど面白かったか、「ポニョ」と比較してわかった。
山場が無いのではなく、内容がうまく煮詰まっていない。子供向けであるならば「トイストーリー」や「ニモ」に負けたと僕は思い、悲しくなった。やっぱりアメリカ人は観客を楽しませるのが上手い。
宮崎駿の一頭体制でやっているから、内容の推敲ができていないのだろう。ピクサーのアメリカ人はたぶん民主的に、大勢で色んなアイデアを出しながら内容を工夫しているのだろう。天才が勢いで引っ張っている間は独裁でも強いが、組織内部で自浄作用が無くなると組織は立ち行かない。結局、ジャパニメーションの強みって一体何なのか、考えさせられた。
ポニョは素材が良いのに活かしきれていない。この設定ならばもっと面白くなる可能性があった。素人の勝手な意見だが、全編ミュージカルにしてはどうかと思った。ますますディズニーの真似になってしまうのだが。結局、僕自身もわかりやすい娯楽的ストーリーじゃないから満足できていないのだろうか?というか子供のためならば、「パンダコパンダ」みたいなのでいいと思う。
インターネットで調べていたら、宮崎駿が語ったという「ポニョ」に隠された意味や製作の意図などを知ることができた。かなり深く考えてあって、さすが巨匠と関心したのだが、「ポニョ」のDVDを買うかどうかは微妙だ。今後、海外で発表されてどう評価されるかが気になる。僕の評価では100点満点で60点だ。
過去の名作で現実逃避をしたい。犬の「名探偵ホームズ」のDVDボックスでも買おうかと思っている。
夕方5:00から上映の回に行ったのだが、子供より大学生などの大人が多い。やはりジブリブランドは健在で、大人でも安心して見れるということか。全体的に客席が空いていた。口コミが悪い影響を与えているのだろうか?
冒頭の海中シーンは美しくて非常に完成度が高い。キャラの動きもコミカルでわかりやすくて良い。さすが宮崎駿が子供たちのために作ったというだけある。ただし、海中シーンを後でよく思い出して見ると、動きがディズニーっぽくてどこかで見たような気もする。
主人公宗介の住む町は水彩画風に描かれていて味わい深い。そこにジブリ伝統のリアルな動きのキャラアニメーションが重なる。この組み合わせこそ日本的な、ジャパニメーションにしか出せない雰囲気だ。
所ジョージが声優をする悪い魔法使い=ポニョの父親が、声とキャラがマッチしていて意外にいい。キャラデザも凝っているし、潜水艇みたいな乗り物も宮崎駿のファンタジー世界がよく表れている。
ストーリーは説明不足で観客の解釈に任される部分が多い。ただ、これはどんな映画にもあるので僕は全然かまわないと思う。ポニョもかわいくて好感が持てるストーリーなのだが、途中で人間化してからのテンポが良くない。僕の理解不足なのかもしれないが、妙にダラダラしていて、強調すべきでないシーンが幾つかある。この「幾つかのシーン」は見た後もどうしても許せなくて数日間悩んだ。テンポの悪さは何回か繰り返し見れば慣れるのかとも思ったが、「あのシーンだけは要らないよなあ・・・」と思い、再び観る気が萎えるのである。
宗介とポニョの「純粋な両思い」も単純すぎて、露骨であざとく感じた。この純粋さがこの映画の良い所と言う人もいるが。「海と船の魅力」がちょこちょこ演出されているが、子供が食いつく楽しさではなく、軍事オタクの監督が描いているからだろうか、なんとなく置き去り感があった。
終わり方が唐突なのはそれほど気にならず、こうゆうのもアリかなと思う。ただし、全体を通して退屈させない映画かと言えば違う。ひいき目にみてもケチがつく。「ラピュタ」や「トトロ」のすっきり観終われるのがとても懐かしくなった。というか「千と千尋」がどれほど面白かったか、「ポニョ」と比較してわかった。
山場が無いのではなく、内容がうまく煮詰まっていない。子供向けであるならば「トイストーリー」や「ニモ」に負けたと僕は思い、悲しくなった。やっぱりアメリカ人は観客を楽しませるのが上手い。
宮崎駿の一頭体制でやっているから、内容の推敲ができていないのだろう。ピクサーのアメリカ人はたぶん民主的に、大勢で色んなアイデアを出しながら内容を工夫しているのだろう。天才が勢いで引っ張っている間は独裁でも強いが、組織内部で自浄作用が無くなると組織は立ち行かない。結局、ジャパニメーションの強みって一体何なのか、考えさせられた。
ポニョは素材が良いのに活かしきれていない。この設定ならばもっと面白くなる可能性があった。素人の勝手な意見だが、全編ミュージカルにしてはどうかと思った。ますますディズニーの真似になってしまうのだが。結局、僕自身もわかりやすい娯楽的ストーリーじゃないから満足できていないのだろうか?というか子供のためならば、「パンダコパンダ」みたいなのでいいと思う。
インターネットで調べていたら、宮崎駿が語ったという「ポニョ」に隠された意味や製作の意図などを知ることができた。かなり深く考えてあって、さすが巨匠と関心したのだが、「ポニョ」のDVDを買うかどうかは微妙だ。今後、海外で発表されてどう評価されるかが気になる。僕の評価では100点満点で60点だ。
過去の名作で現実逃避をしたい。犬の「名探偵ホームズ」のDVDボックスでも買おうかと思っている。