Drマサ非公認ブログ

結婚について1

 最近はコロナや時事問題ばかり取り上げているので、趣向を変えてみます。

 もう10年になるかと思うのですが、大学院生の女性に相談されました。父親から「早く結婚しろ」と言われ続けているということで、そこで遠藤周作の『結婚』(講談社1981)を読むように勧められたというのです。ところが「読んでも全然面白くないし、結婚したいなどと到底思えない」と。

 そして、僕に次のように言うのです。「読んで、解説してくれませんか?」。

 「なんで、僕が?」とも思ったのですが、なぜか「読んで見るか!」とポジティブな方向に頭が巡ったのです。それで「わかった。ちょっと時間ちょうだい」と彼女に言って、本を取り寄せて、読んでみました。

 文庫の表紙には「限りない期待と、多くの不安に心がゆれる結婚──それはたまたまめぐりあった1組の男女の単なる共同生活なのか、あるいは美しい愛情物語なのか。持続する愛とは?思わぬもろさを含む夫婦生活をつなぐものは?夫と妻の間に横たわる問題を、オムニバス風の手法で追求した表題作ほか8編を収録」と記されていました。

 そして僕の読後の感想は、確かに遠藤周作は結婚の現実を捉えていると思ったのでした。結婚の苦さや素晴らしさが描かれているように、僕には思えましたが、大学院生の彼女には確かに理解できないような気もしました。

 なんせ実際は1962年の作品でもあり、女性差別の色を感じるものでした。なんせ東京オリンピック(1964)の前の作品ですから、作品で描かれている社会が古いわけです。

 大学院でフェミニズムの思想に触れてきた彼女からすれば、そういう作品の中に組み込まれてしまう女性差別の雰囲気は時代遅れ程度に見えてしまい、結婚の「現実」「本当」にまで目が届かないかもしれないと思ったのでした。

 僕はこの時ハイデガーの「大地」という概念を利用して、彼女に説明しました。その説明が届いたという自信はないのですが、思い返して、このブログで綴って行こうかと思います。

(つづく)

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