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Drマサ非公認ブログ

ハラスメント社会の一面(前半)

 ハラスメント社会の経験をひとつ。

 妻の友人が困って電話してきた。健康保険に関してである。

 妻の友人は中国人。会ったこともあるが、日本語はたどたどしい。日本人の旦那さんを昨年亡くしてしまった。保険証の扱いがわからないと妻に電話してきたのである。

 話としてはこんな感じだ。保険証を使ったら、少し経ってから、その保険証は使えないと保険事務所から電話が来たそうだ。ただそれだけの電話である。

 彼女は何もわからない自分も悪いけれどと断りながら、新たに保険証を手に入れるために、まず旦那さんが務めていた会社に電話をして相談した。「もう職場とは関係ないから、社会保険事務所に連絡してください」との返答だった。そこで社会保険事務所に連絡したが、「国民健康保険は区役所が担当」との返答で、区役所に行ったが、「社会保険事務所で相談してください」と。確かに保険の切り替えではある。

 そこで直接中野にある社会保険事務所に行ったが、相手にしてもらえなかったということで、困って僕の妻に連絡してきたのである。僕の妻だって中国人。そんな手続きはよく知っているはずもなく、そこで僕の出番である。事情を聞いて、「会社が窓口になるから、もう一度連絡してみて」と伝えた。

 数日後、また電話があった。「会社は関係ない」との返答だったそうだ。僕の理解が間違っているのかと思って、調べてみたが、間違いない。そこで僕が代理としてその会社に電話し、事情を説明した。必要なのは資格喪失の書類1通である。

 僕が電話したところ、「もう一度調べます」と。「もう一度」と言うわけだから、電話で相談を受けていることは理解しているようだ。今度はあちらから電話がきて、「申し訳ありませんでした。こちらの手違いでした。早速資格喪失の書類作成し、郵送いたします」。僕はお礼を言って電話を切った。翌日速達が届いたとのことである。

 その会社の社員が亡くなった。その配偶者から保険証についての電話である。当たり前だが、担当部署なら何が必要か、どのような手続きになるのか知っていて当然である。そういう知識をもとにすれば、亡くなったとはいえ社員の配偶者から電話が来たら、親身になって相談にのれば良いだけではないか。なぜ、できない。個人情報の問題も関係ない事例である。

 区役所の窓口で対応した職員、社会保険事務所の職員もまたしかり。なんで、的確にアドバイスができないのだろう。それぞれ担当が違うとして、関係ないという態度である。これらは全てハラスメントである。ただ、僕たちはそれらの行為がハラスメントであるとさえ気づくこともないのだが。

 どのような個人、集団、組織もそこに活性化、あるいは創発性があるか否かは相手とのコミュニケーション、つまり学習し、フィードバックがなされているかいなかで見出せる。ただ単純に見出せるかというと、そういうわけではない。それは暗黙知的であり、事によっては言語化を拒否することもある。

 しかしながら、活性化あるいは創発性が生じている時、個人、集団、組織はまともに作動し、必要な仕事や活動が行われる。必要な仕事や活動は行われない場合、ハラスメントに巣食われているのである。そこでは正当であるという理由を見付け出し、仕事や活動が行われなくなるのである。

 今僕が取り上げた事例は、必要とされる仕事がなされていない。中国人の女性が困っていることを正しく理解し、適切なアドバイスをすることを阻む意識こそハラスメントである。彼女の情報不足を補うことこそ仕事だと認識できないわけだ。中国人の女性が正解を知らないことが、手続き上不十分であるとでも考えていることも予想される。これもまたハラスメント、いじめである。

 これは僕なりの考え方だが、ハラスメントとは人格を見ないでいる非礼である。

(つづく)

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