朝食のころ、織りの先生からメール。
〝今織っている作品のネーミング、考えといて。お稽古日になったら、忘れそうだから。〟
たしかに、お稽古日には、話題が多すぎて、肝心のことが話し合われないで、終わりがち。
〝透ける裂き織りでは如何でしょう。〟
シルクオーガンディをひとことで言えば、透ける布。
伝統的な裂き織りは、ぼろ織りとも言われ、用途も帯やマットに限られていた。
民芸の範疇で評価される裂き織りは、人々の暮らしに根ざした、簡素な美。
それを尊敬して学びこそすれ、いささかも軽視するものではない。
けれど、その忍従感、重苦しさから少し離れて、
いわば裂き織りの〝進化〟を目指して、裂き織りを続けてきた織り手たちもおられる。
わが師匠は、その代表的なクリエーターのおひとり、だ。
重いばかりでなく、軽やかな裂き織り、
そして、分厚いだけでなく、透明性さえ感じさせる裂き織り。
裂き織りの進化があるならば、まさに〝今ここ〟に辿り着いた、といえよう。
〝透ける裂き織り〟では如何でしょうか、先生。