今シーズン最低の気温。
迷うことなく、ペレットストーブに点火した。
こんな匂いだったのか、へっついさんでご飯を炊く時の匂い。
もうすぐ、ご飯が吹きこぼれて、燃えさかる薪の上に垂れて、ジューッと音をたて、
あの胃袋を刺激するご飯の匂いが、いちめんに漂う、筈。
とまあ、毎年、幼い頃の幸せを追体験させてもらう。
といっても、あれは昭和20年代のことだから、賞味期限のなんと長いことだろう。
この寒さ、ケアハウスに居る母のところへ、真新しい毛布を届ける。
しっかりとした施設にお世話になることができて、
もう何の心配もない、のに、こちらの気持ちを持て余して、
我にもあらで、思いが空回りして宙を舞う。
子どもに戻った彼女を、僭越にも、我が子のように心配していた。
が、今は、新しいステージに移った、母とわたしの関係に気づくことができている。
妹の強い嫉妬を呼ぶほど、献身的な仲良し母娘、半世紀以上もそんな間柄だった。
社会学の研究者に指摘されるまでもなく、ありがちな危うさを伴っていたかも知れない。
母が入所し、物理的に距離ができて、
却って、本質的で対等な人間関係に立ち帰ることができた、それなら悦ばしい。
おりしも、階段の向こう側で、夫が、中島みゆきさんの♪ファイト♪のCDを聴いている・・・。