トウガラシの吊り飾り

織り教室の壁に、色とりどりのトウガラシの飾り物が吊ってあった。

福岡での個展から帰宅されたK先生の、おみやげ。

自然の色のゆたかさに、しばし我を忘れる。

美は自然から学ぶ、と、高名な染色家先生の著書にもあった。

ただ、実った草の実を並べた、それだけなのに、この美しさはどうだ。

キッチンの壁にぶらさげて、必要に応じて抜き取って料理に用いてね、

と、真っ赤な吊り飾りを届けてくれた友も、今はいない。

それは、庭で栽培したトウガラシの実を、藁で繋いだ、お手製の吊り飾り。

パン教室の講師だった、年下の彼女は、

下関の出身だから、韓国文化の影響を受けておられたのだろう。

“トウガラシの吊り飾り”と検索したら、

韓国のおまじないにガラス製の飾り物があるらしい。

今日の寒さは格別で、だから、

トウガラシを見ていたら、からだがホカホカしてきたような気がした。