終の棲家ストーリー

まさか!の還暦家つくり。しんどくならないように、ゆっくり書きとめながら・・・。

師走のアジサイ

2009-12-18 16:44:51 | 植物
立ち枯れてはいない。

石垣の上に建つ民家のフェンス、あの花は何?と、IXYをズームアップした。

シャッターを切ったら、意に反して、ストロボが光った。

肉眼ではもっと深い、黒味の赤なのに、瑞々しく写ってしまって、残念。

アジサイなら既に立ち枯れの季節。

それなのに、あの、乾いた血糊のような丸い塊は、風に抗って立っている。

“水の器”を学名に持つアジサイの、

乾いた立ち枯れの美を知ったのは、もう20年以上も昔。

“染め花”の故・山上るいさんが、生花ならぬドライフラワーを、絹で創った。

あやふやな記憶ながら、“暮らしの手帖”に紹介された写真は圧巻だった。

当然のように、花の盛期の美しさを表現してきたアートフラワーの世界に、

それはまるで挑戦するかのように、

朽ちた花の姿を借りて、独特の強烈な色香を漂わせ、本家を席捲した。

当時のわたしは、庭のバラ造りに没頭していて、立場的にも

ドライフラワーの美に否定的ではあったけれど。

ある年の秋、某家玄関ホールで、籠に挿された“立ち枯れのアジサイ”を見た。

山上るいさんの染め花に似た、たそがれた美しさ、だった。

写真のアジサイは、新種の冬咲き種だろうか。

この冬一番の寒さの中で、よくも凍えずにいるものよ。







最新の画像もっと見る