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理想と思想の狭間で

2011年06月24日 00時09分18秒 | CINEMA
現在は映画ライターでもある川本三郎の
実体験を基にしたノンフィクション「マイ・バック・ページ」。
監督山下敦弘、脚本向井康介の黄金コンビ、
主演にはは妻夫木聡と松山ケンイチ。


60年台、新聞社で働く新人記者沢田。
彼は理想と現実のギャップにもがき苦しみながらも取材を続けていた。
そこに先輩記者の仲介で、梅山と名乗る活動家に出会う。
そのうち行動を起こすと言う梅山に沢田は魅入られ距離を縮めてゆくが、
やがて事件が起こり・・・。

何故あそこまで胡散臭い梅山を沢田は受け入れてしまったのか。
大学の後輩が学生運動を繰り広げているのを横目に仕事をしていた彼には
世界を変える瞬間に立ち会いたかったのだろう。
だがそれは革命という名の犯罪(テロ)でしかなかった。

通して観ていると冒頭の潜入ルポが後半効いてきます。
沢田が身分を隠して潜入していた事は、
結果として梅山の行為と同じだったのではないか。
だからこそ、全てを理解した沢田は最後に涙するのだ。

劇中しきりにアメリカンニューシネマの話が出てきます。
このムーブメントの映画のテーマは
一貫して「人生の負け組」の物語だという事。

妻夫木クンは「69」に続いての60年台映画の出演です。
当時の時代感はそれほど感じませんでしたが、
登場人物それぞれが持つ思想の混沌とした雰囲気は良く出ていたと思います。



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