goo blog サービス終了のお知らせ 

かんたんクッキングEX 

信濃毎日新聞発行「週刊さくだいら」2007~2010年連載。
〔食育エトセトラ……料理の言葉を知ろう〕

アク抜き(秋の味覚)

2008-10-16 | かんたんクッキングEX
                      信濃毎日新聞社「週刊さくだいら」                   
                        <2008. 10/9号掲載>


作物のアクは苦味、渋味、エグ味になり、程よく含まれる時はおいしさになりますが、度を超すとその妨げになります。それを取り除くことが“アク抜き”。水に浸けたり、ゆでて溶出して抜き取ります。

素材によって方法が異なり、水だけで取り除けるゴボウや、塩水でゆでる青菜、白さを増す効果を加え酢を使うレンコンやサトイモがあります。
また、タケノコは米のとぎ汁を使ってゆでることで、水の10倍の効果でアク抜きできます。
重曹を使うことの多いのが山菜類。昔は灰汁を使ったワラビや渋皮煮用のクリも重曹で代用しています。

アク抜きは素材のおいしさと色を守り、料理の仕上げに大きく影響する作業です。アクの性格を知り、栄養と風味を守るアク抜き加減を押さえて上手な下ごしらえをしましょう。

11日の十三夜は栗名月。旬の素材のサツマイモとクリでお月見の和菓子を。どちらもアク抜きがおいしさの決め手です。


【栗入り茶巾しぼり】

①サツマイモは皮をむいて輪切りにし、水を2、3回取替えながら5~10分浸けて、ゆでて裏ごしする。

②クリは皮と渋皮をむき、3~4時間水に浸けてから2~3分固ゆでしてからゆでこぼす。

③クリがひたひたに浸る水に砂糖を入れ、紙ぶたをして中火で20~30分煮て、そのまま冷まし味を含ませる。[クリ(500g)砂糖(350g)の割合、水は約3カップ]

④①の半量に抹茶で色付けし、③のクリを芯にして茶巾絞りにする。








筒切り

2008-10-06 | かんたんクッキングEX
                      信濃毎日新聞社「週刊さくだいら」                   
                        <2008. 9/25号掲載>


健康を考えると魚を食べたいけれど、さばくのが苦手、臭みが嫌いという理由で魚料理が苦手な方は多いですね。そんなとき、筒切りにすると簡単です。

筒切りはコイやサケ、サバなどの胴が丸い魚や、サンマなどの長い体形の魚に向いた切り方です。江戸時代にはウナギのかば焼きも筒切りでくしに刺していました。
切り方は魚の頭を落として骨ごと輪切りにし、ワタは菜ばしで押し出したり、切り口から引き出して取ります。新巻ザケなどの大きい魚は、筒切りにしてから切り分けると扱いやすいです。

コイは鯉こく、うま煮に。サケはステーキ、ソテーに。サンマはオリーブ油、白ワイン、ハーブを振ってオーブンで焼くと洋風で楽しめます。また、圧力鍋で甘辛く煮ると骨まで食べられる保存食になります。
旬の魚が目白押しの秋…。和風、洋風いろいろに楽しんでみましょう。


【サンマの梅酒煮】
①まな板に新聞紙を敷き、サンマ(3尾)の頭と尾を切り落として筒切りにし、内臓を取ってきれいに洗う。
②梅酒(250cc)、しょうゆ(大さじ2)、水(100cc)、切り昆布・ショウガ適宜を鍋に入れて火にかけ、①を煮る。
③煮汁がサンマにヒタヒタになるようにし、クッキングシートなどで落としぶたをして煮含める。
④ショウガを薄く切り(針ショウガ)にして添える。






袱紗(ふくさ)

2008-10-05 | かんたんクッキングEX
                      信濃毎日新聞社「週刊さくだいら」                   
                        <2008. 9/11号掲載>


袱紗料理という呼び名のある日本料理。江戸時代には儀式的な礼法で食べる本膳料理と、堅苦しくなく楽しむために、普段着として着ている袱紗袴(ふくさばかま)で食べた袱紗料理がありました。袱紗料理は本来の本膳料理の簡略化ですが、現在の本膳料理になり、会席料理は町人文化の中で発展したものです。
また、茶事や慶弔時などの席で正式な道具として使われる袱紗。2枚の布を表裏に合わせていることから、料理ではふたつのものを合わせたときに“袱紗”の呼び名が使われます。たとえば、袱紗みそ。京都では、赤みそと白みそを合わせたものを袱紗みそと呼んでいます。
袱紗はやわらかい料理の名にも使われ、袱紗焼きは卵焼きを半熟に仕上げたもの。中に魚介のすり身や豆腐などを混ぜて作られます。

【貝の袱紗汁】
①ハマグリ(アサリ、シジミ)はよく洗い、水に入れて最低2~3時間砂出しする。(室温で暗い状態にすると良く出せる)
②鍋に水と昆布を入れて、しばらく置き、酒と①をいれて口が開くまで火を通す。
③袱紗みそ(赤みそ、白みそまたは信州みそ)を入れて煮立てないように味をつけて器に盛り、刻み青ネギを添える。塩分をとりたい夏は赤みその割合を多くする。
※だし汁の重さの10%がみその適量(180㏄に約大さじ1)。