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かんたんクッキングEX 

信濃毎日新聞発行「週刊さくだいら」2007~2010年連載。
〔食育エトセトラ……料理の言葉を知ろう〕

時雨(しぐれ)煮

2010-10-21 | かんたんクッキングEX
                     信濃毎日新聞社「週刊さくだいら」                   
                        <2010. 10/21号掲載>


ひと雨ごとに秋が深まり、時雨(しぐれ)の季節になりました。
一時的に降ったり止んだりする雨や雪のことを時雨といい、「春時雨」「秋時雨」「雪時雨」など,
それぞれの季節で俳句の季語にもなっています。

江戸時代の中期に、三重県桑名市特産のハマグリの佃煮に「時雨蛤(はまぐり)」と名づけたのが、松尾芭蕉の高弟、各務支考(かがみしこう)とか。
時雨煮は、日本ならではの風情あることばを料理名にしたもので、その後、貝などの魚介や牛肉をショウガなどの風味で軟らかく味付けしたものを指しています。

また、「口の中にさまざまな味わいが通り過ぎること」「調理が短時間で仕上げられていること」も時雨の語源に結び付けられています。

ふと自然の変化を気づかせる時雨。料理名には、自然とともに暮らしてきた日本人の心があらわれています。
これらの言葉を知り、自然の恵みをいただくことへ感謝の想いも改めて見直したいものですね。



【牛肉のしぐれ煮】
①牛肉(200g)を細切りにし、ゴボウ(適宜)をささがきにする。

②鍋で酒(大さじ3)を熱し、①とおろしショウガを入れて少し火を通す。

③②に砂糖(大さじ1)、しょうゆ(大さじ3)、みりん(大さじ1)を加えて水分がなくなるまでいりつける。




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八方だし

2010-10-21 | かんたんクッキングEX
                     信濃毎日新聞社「週刊さくだいら」                   
                        <2010. 10/14号掲載>


あらゆる方向を東西南北で「四方」、さらに南東・南西などの四隅を入れて、ありとあらゆる方向のことを「八方」といいます。
基本のつゆとして知られる「八方だし」は、何にでも使えるだしとしてその名が付けられました。

料理の味付けが上手くできないという初心者でも、このだしがあれば基本の和食はおまかせ。
八方だしの濃さを変えれば、めんつゆ、天つゆ、煮物、丼物などの味のベースになります。

基本の割合は、しょうゆ対みりんが1対1。しょうゆは薄口、濃い口好みで。
上品な味付けには薄口、こってり仕上げたい料理は濃い口やたまりじょうゆを混ぜます。料理によっ
て、砂糖や塩を好みで足します。

みりんとしょうゆを煮立ててアルコールをとばしてから、だし汁を加えるのがポイント。
だしの水分を減らし、濃い味にして保存し、市販のめんつゆ同様に使います。
かつお節などのだしが望ましいですが、長期保存したいときは化学調味料を使います。



 
【うどんすき】
①白菜は細切り、ホウレンソウ、キノコは食べやすく切る。

②ゴボウはささがきで水にさらし、油揚げは熱湯で油を取って食べやすく切る。

③冷凍うどんを湯通ししておく。

④しょうゆ・みりん・だし汁(1対1対8)の割合で、一人250~300ccのだし汁になるように
鍋を用意し、材料を入れて煮込む。 


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霜降り

2010-10-21 | かんたんクッキングEX
                     信濃毎日新聞社「週刊さくだいら」                   
                        <2010. 9/30号掲載>

「霜降り」とは文字通り、白く霜が降ったような状態。
肉では脂肪の入りの霜降り状態を指しますが、調理では、肉や魚に熱湯をかけることで、表面が白くなったことです。

霜降りにする目的は、夏の生食の際の寄生虫や雑菌の死滅させることや、煮魚にする際の生臭み取りのためです。

さらに表現を分けると、熱湯を通すことを「湯引き」「湯霜」、表面を軽く焼くことを「焼き霜」と
もいいます。タイなどの硬い皮の魚の刺身は、皮の面に熱湯をかける「皮霜」を行うと、歯切れが
よくなります。

新米がおいしい季節になると、脂の乗ったブリやサバなどの煮魚が格別の味。
一味おいしく仕上げるコツは、熱湯をかけて冷水で洗い、生臭みをとる下ごしらえにあります。 



【魚のあら煮】
①魚の切り身をザルにのせ、熱湯をかけて冷水で洗い、血合いやうろこを取り除く。

②平鍋に①を入れるとヒタヒタに浸るくらいの水と酒、みりんを沸してから、魚を入れる。(煮崩れを防げる)。

③②にしょうゆ(と砂糖)で濃い目の味をつけ、ダイコン、ゴボウなど好みの野菜と組み合わせて落しぶたをして煮含める。
 
※水・酒・みりん・しょうゆ・(砂糖)の割合は、4対4対1対1(対適宜)     




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茶せん切り

2010-10-21 | かんたんクッキングEX
                     信濃毎日新聞社「週刊さくだいら」                   
                        <2010. 9/23号掲載>

秋ナスの季節。
ナスは体の熱をとる夏野菜ですから、夏は暑気払いの効果があります。
しかし、肉質が緻密になって濃厚になる秋は、「秋ナスは嫁に食わすな」といわれ、おいしさは格別ですが体を冷やさないようにという、食べすぎを注意することわざがあります。

秋は小ナスがおいしく、辛子漬けに使われるものが「小丸ナス」。「ひと口ナス」は茶せん切りにして揚げたり、煮たりするため、「茶せんナス」とも呼ばれます。

この茶せん切りは、ナス独特の切り方でおなじみ。ナスの上下を残して周囲に縦の切れ目を入れて火を通すことで、短時間に火が通り、味がしみます。
茶せんのように立てたり、横にしてねじって器に盛ると、きれいです。 
家庭菜園のナスでも、小さなナスを茶せん切りにすると、おしゃれな一品になりますね。





【揚げナス】
①ナスはガクの部分をぐるりと切り込みを入れて落とし、ヘタだけ残す。

②①を茶せん切りにし、水分を取る。

③新鮮な油を熱し、素揚げにして油を切り、器に盛って大根おろしを添える。

※冷たくしためんつゆに浸して、冷製煮浸しにしても美味。



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ぬた

2010-10-21 | かんたんクッキングEX
                     信濃毎日新聞社「週刊さくだいら」                   
                        <2010. 9/2号掲載>

野菜と魚介などの酢みそあえのことを「ぬた」といい、貝とワケギの組み合わせがおなじみ。
ぬたとは「沼田」のことを指し、みそのあえ衣をどろどろとした田んぼの土に例えて呼ばれたようです。

残暑にぴったりなのは、からし酢みそあえ。
からしの香味成分と酢の爽やかさが食欲増進になり、夏バテ回復に役立つはし休めの一品です。

酢みそに加える和からしは、からし種子の粉を練ったもの。
種子に含まれるシニグリンという成分が酵素の働きでアリルイソチオシアネート(アリルからし油)となり、胃液の分泌を促したり、細菌の増殖を抑制する効果があります。

市販の練りからしが手軽ですが、辛味成分のアリルイソチオシアネートは揮発性の物質で、時間とともに辛味が弱くなります。
本格派はからし粉を使い、しかも希少な国産の福井県産「地がらし」で特上のぬたに腕を振るってみましょう。

練りからしのポイント
湯飲みなどを使ってぬるま湯でからし粉を練り、伏せて置くことで密閉保温すると、5分くらいで辛味が出てくる。
レモン・酢・ワインなどで酸性にすると辛味が長持ち。



【ワケギと貝のぬた】
①ワケギ(青ネギ)をサッと火に通し、冷風で冷まして食べやすく切る。

②アサリは酒蒸しして殻からはずす。(アオヤギ、ホタテ貝柱などでも)

③酢・みそ・砂糖(2対1対1の割合)に練りからし少々(1/6の割合)を加えてあえ衣を作り、
食べる直前に①②をあえる。



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半ずり

2010-09-04 | かんたんクッキングEX
                     信濃毎日新聞社「週刊さくだいら」                   
                        <2010. 8/26号掲載>



そうめん、冷やし中華、棒棒鶏(バンバンジー)などの夏の涼味で活躍するゴマ。香ばしい風味が食欲を促します。

ゴマは、ビタミンB類・E、鉄分が多く、吸収しやすいカルシウムが含まれます。
血管の老化防止に効果的で長寿の味方。滋養強壮、美容、母乳の分泌をよくする効果もあります。
黒より白ゴマの方が脂肪分(オレイン酸・リノール酸)が多く含まれます。

ゴマの有効な食べ方は、香りを出すために「いること」と、「すること」。
いりごまとすりごま(半ずり・ペースト)で使います。
ゴマは表皮と甘皮があって消化しにくく、すると豊富な養分や機能性も生かすことができます。
粒々を残す半ずりは、文字通りゴマを半分ほどつぶすこと。
ゴマの舌触りと風味の両方を生かせます。
旨みを出したいときはペースト状にすります。

夏バテ回復には、ゴマの香りで宮崎県の郷土食「冷や汁」をさっぱりと。




【キュウリの冷や汁】
①白ゴマをたっぷり半ずりにする。

②みそ汁を冷やしておく。

③キュウリは薄切り、オオバやミョウガは細切り、干物は焼いてほぐす。

④ご飯に③をのせ、①②を混ぜた冷や汁をかける。



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ところてん

2010-09-03 | かんたんクッキングEX
                     信濃毎日新聞社「週刊さくだいら」                   
                        <2010. 8/5号掲載>



江戸時代に参勤交代の途中で食べ残して捨てたところてんが凍り、寒天造りのヒントになったといいますから、ところてんの歴史は古いもの。
酒や酢などと共に日本で最古の加工食品とされ、その製法は遣唐使が持ち帰ったという説があります。

凝海藻(こるもは)という原料の藻葉(テングサなど)から作る食品のことを「心太(こころぶと)」という名で呼んでいた時代があり、それが室町時代ころ「こころてい」になり、江戸時代には現在のところてんだけの呼び名になったようです。

涼味の素材として夏向きの食材。ノンカロリーで食物繊維が豊富ですから、メタボリック症候群が心配な方や、ダイエット、美容に関心がある方の強い味方です。



【ところてんサラダ】
①ところてんを食べやすい長さにして冷やしておく。

②ワケギとオオバを細かく切り、しょうゆ・みりん(各同量)のたれに入れておく。

③キュウリ、カイワレ、海藻などと①を混ぜ、いった桜エビを散らす。

④①に②の香味たれや好みのたれをかける。




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「蒲(かば)焼き」

2010-09-03 | かんたんクッキングEX
                      信濃毎日新聞社「週刊さくだいら」                   
                        <2010. 7/22号掲載>



26日は土用丑(うし)の日。ウナギの蒲焼きでスタミナをつけて、「夏を健康に乗り切ろう」ですね。

たんぱく質、ビタミンA、B類、E、鉄分、カルシウムなどの栄養素が豊富に含まれ、栄養価の高いウナギ。万葉集の中の一首にも、滋養のあるものとして詠まれていますから、昔から夏の栄養源として一目置かれていたようです。

「蒲焼き」という由来は、江戸時代のウナギの食べ方にあり、形が蒲(がま)の穂に似ているからとか。当時は、筒切りにしたウナギを串に刺して塩を振り、火であぶって食べていたようです。

ウナギの蒲焼きは、うな重やうな丼だけでなく、食べやすく切って、そうめん、ちらし寿司、冷茶わん蒸しなどにも。今、流行のひんやりメニュー「ぶっかけ麺(めん)」もボリュームアップで栄養満点になります。




【うな卵ぶっかけうどん】
①保温性の高い容器に沸騰湯と酢を入れ、室温にした卵を入れて約30分置き、温泉卵にする。

②ウナギの蒲焼きを一口大に切って日本酒をかけ、ホイルで包んでフライパンで温まる程度の蒸し焼きにする。(ラップで包み、電子レンジで軽く温めても)

③うどんを冷水で冷やし(乾麺は茹でてから)、器に盛る。

④ミズナを短く切り、大葉はせん切り、ワケギは細切りにする。

⑤③に④②を盛り、真ん中に①の卵をのせて、めんつゆをかける。


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奴(やっこ)

2010-08-06 | かんたんクッキングEX
                      信濃毎日新聞社「週刊さくだいら」                   
                        <2010. 7/8号掲載>


冷ややっこがおいしい季節。
奴豆腐ともいうこの料理は、夏においしい豆腐の食べ方ですが、なぜ“奴”というのでしょう。

奴は「奴さん」で知られる通り、大名行列の先頭で槍(やり)や挟み箱を持つ「槍持奴」のことです。
奴が着ている半纏(はんてん)には「釘(くぎ)抜紋」という大きな四角の紋がついていて、その形を豆腐の切り方と結びつけて奴豆腐というようになったとか。

夏野菜を刻んで、刻んだ味噌漬を混ぜたり、しょうゆ漬けにする「やたら」という郷土食があります。これは、ご飯にかけるだけでなく、冷ややっこのトッピングにもぴったり。
キムチやザーサイを細かく切って乗せても美味です。



【やたら冷やっこ】
①ナス、キュウリをみじん切りにする。

②ミョウガ、オオバ、青ネギ、ピーマン、トマト、オクラ、ナンバンなど手元にある野菜をみじん切りにする。

③①②を好みの組み合わせにして、しょうゆをかけ、即席しょうゆ漬けにする。

④豆腐を切り③をのせる。いろいろな組み合わせで、香味を楽しむ。



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つま

2010-07-03 | かんたんクッキングEX
                      信濃毎日新聞社「週刊さくだいら」                   
                        <2010. 6/24号掲載>


「つま」といえば、刺身の添え物を連想しますね。
刺身や汁もののあしらいにする野菜や海藻をいい、主の素材の引き立て役になり、肉や魚の生臭さを消したり、口の中をさっぱりさせる効果があります。

“妻”という当て字が使われるのも、内助の功を意味する名脇役の存在から。

つまは、日本料理独特の風情ある素材。
彩ビジネスで知られる徳島県の上勝町では、約320種のつまものを全国販売して町を活性化し、日本ならではの食文化を再発見させています。

現在のつまものは幅広く呼ばれますが、本来の「つま」は刺身の横に添える穂じそやハマボウフウなど。
一般的につまと呼んでいる野菜は「けん」、下に敷く葉などは「敷きづま」といいます。
ワサビ、ショウガなどは薬味になる「辛味」です。

梅雨の季節には特に、食中毒の予防などの役目を果たし、殺菌、食欲増進、健胃、精神安定、利尿などの効能も期待されます。



【つま】穂じそ、防風、たで、食用キク、山椒の葉、ネギなど

【けん】ダイコン、キュウリ、ウド、ミョウガ、海藻など

【敷きづま】オオバ、ササの葉、ホウ葉、ナンテンの葉、青モミジなど

【辛味】ワサビ、ショウガ、辛味ダイコン、ニンニクなど