誠に惜しいが、仕方あるまい。三菱UFJ銀行は来春を目途に、ATMの手のひら認証を廃止するそうである。静脈を用いた高度な個人確認手段として2004年に導入されたが、その後ICチップカードが普及し、そっちでもそこそこ安全だし維持費も馬鹿にならないしお金おろす人も減ったし、と云う諸事情を勘案すれば、企業としては妥当な判断と思われる。世界に先駆けて実用化した生体認証が使われなくなるのは悲しいし、「ダンナ、いい静脈有りますぜ」と売り込めれば情報銀行を立ち上げる際の大きな差別化要素にもなると思うのだが、恐らくスキャンする装置がバカ高いのだろう。それに全顧客の静脈情報を持っている訳でも無いだろうから、それほど強みにならない様にも思える。どんな優れた技術でも広く使われなければコストダウンは進まない。業界の垣根を超えた技術供与を積極的に行っていれば、手をかざすだけで牛丼の支払いが出来ていたかも知れず、何とも惜しいのである。