又七の不定記

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研究用は承認基準を満たさない粗悪品なの?

2024-08-27 21:14:33 | etc.
 まずは抗原定性検査キットの話

 新型コロナウィルス感染症が蔓延し始めた当初、PCRこそが正義だと言わんばかりにPCR教が幅を利かせていましたが、2023年5月8日に5類に移行してからは抗原検査キットによるセルフチェックが推奨されるようになりました。

 っで、市販されている抗原検査キットには「医療用・一般用」と「研究用」があり、厚生労働省からは「承認を受けた『医療用・一般用』を使いましょう。」と広報されているのですが、これを受けて「『研究用』は国の承認を受けていないから結果が信用できない。」みたいなことを触れ回る方がおられます。この表現はまるで「研究用=承認基準を満たさない粗悪品」みたいな印象を抱いてしまいそうですが、実のところどうなのでしょう?。

 抗原検査キットの原理を知っていれば、どの商品を見ても外側のデザインが違うだけで中はほぼ同じということが分かります。さらに、検査に用いる抗体にしても、これを作れるメーカーは限られます。
 では数ある検査キットの何が違うのかというと、それは検査プロトコルです。
 唾液で検査するよりも鼻水の方が断然ウィルス量は多いでしょう。鼻水を薄めずに粘度が高いまま接種すればろ紙に浸透し難くなりますので、バッファーで薄めて浸透を良くしようとすると、逆にウィルス濃度は低下します。バッファーの組成だったりベースに使うろ紙のグレードによっても違いがあるでしょう。これらをどう調整するかによってメーカーごとに微妙に感度や特異度が違ってきます。
 各メーカーそれぞれの考えと製造能力に基づいて開発しておられるわけですが、厚生労働省の承認を受けている「医療用・一般用」抗原検査キットに共通してるのは高い「陰性一致率」です。「陽性一致率」が低くても「陰性一致率」が高ければ承認されているようです。一方で「研究用」はベクトルが異なり、高価な機器を必要とするPCR検査と同じ結果を抗原抗体反応で安価に得ることを目標に調整され、「陽性一致率」が重視されているようです。そもそも使う場面が違うということで、別に「研究用=承認基準を満たさない粗悪品」というわけではなさそうですね。



 とはいえ「研究用」は流通や品質管理についても医薬品のような厳密な管理はされていないことに加えて説明書も不親切なのでセルフチェック向けではないので、セルフチェックには必ず承認されたキットを選びましょう。

 余談ですが、感度の高い検査と特異度の高い検査を組み合わせることで診断の確度はぐっと高くなります。
 しかしそれでも、こういったキットによる検査だけでは診断を下せないケースも残ります。例えば、感度の高い検査で陽性だけど特異度の高い検査で陰性だった場合、本当は病気ではないのに感度の高い検査で陽性判定が出てしまったケースと本当は病気なのに特異度の高い検査で陰性判定が出てしまったケースの両方が含まれるので、検査結果だけでは診断が下せません。
 ここを補正するのが医師による診察です。問診だったり聴診だったり触診だったりレントゲンやCTによる画像の目視確認ということになります。実際の医療現場ではいきなり何らかの感染症の検査から行われるということはありません。医師は、その地域でどんな病気が流行っておりどんな症例を示しているのかについて多くの情報を持っており、それらを踏まえて原因を推定し、必要に応じて各種の検査を行ったうえで総合的に診断を下します。

 科学技術が発展してどんなに便利な検査機器が現れたとしても、診断の確定は、専門知識や周辺情報をたくさん持っている医師のアナログな見立て(主観)に頼らざるを得ないということです。

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