男と女

男女間のすれ違い、違い、特徴についての科学的考察

男女の違い(ホルモンの影響)

2022-07-25 16:20:09 | 男と女

(男と女)

[男女の違い(ホルモンの影響)]

ここでは、まずビーズ夫妻の著書「話を聞かない男、地図が読めない女」から引用してみる。

「人体や脳は、全て女が出発点となっている。受精してから6-8週間の胎児は性別がはっきりしておらず、性器は男女どちらにも発達する可能性がある。
その後XY染色体を持つ胎児は、テストステロンをはじめとする男性ホルモンを大量に分泌する。精巣が形成され、男らしい特徴や行動が出るように脳が配線されてゆく。
胎児の染色体がXXの場合、男性ホルモンが分泌されなければ女性性器が発達する。脳も女性ホルモンに応じて形成され、言葉や身振りによるメッセージを理解したり、家を守ろうとする能力を身につける。」

このように、ホルモンは生まれる前から脳をプログラミングしていて、思考や行動を左右している。

[男性ホルモン]

テストステロン(男性ホルモンの一つ)

・ティーンエイジの男の子のテストステロンは女の子より15-20倍多い。
・男の子のホルモン分泌は、身体の必要に応じて脳によってコントロールされている。
・思春期なると、テストステロンが男の子の全身を駆け巡って、急激な成長をもたらす。
・この時期の男の子の身体の構成
 脂肪:15%、 たんぱく質:45%
・男の子の運動能力が高いのは、効率よく酸素を取り込み、赤血球を経由して全身に送り込めるようにホルモンが働いているから。
・男を狩りに向かわせ、獲物を殺させる攻撃的なホルモン。

[女性ホルモン]

・ティーンエイジの女の子は、女性ホルモンが別の作用をする。
・男性ホルモンとは制御の仕組みが違い、女性ホルモンの量は約28日間周期で増減を繰り返す。
・ホルモン量が変化すると感情の起伏が激しくなる。
・女性ホルモンが活発になったときの身体の構成
 脂肪:26%、 たんぱく質:20%
・脂肪が多くなるのは、授乳のエネルギー源を確保し、食料が欠乏したときに備えるため。

エストロゲン(卵胞ホルモン)(女性ホルモンの一つ)

・満足感、幸福感を女性にもたらす。
・記憶を助ける働きがある。
・ブロンドの髪はエストロゲンが豊富だということを意味する。
・月経前症候群は現代女性に特有の悩み。(月経終了後21-28の期間)
 ホルモンが急激に減少してバランスがおかしくなり、気分が沈み、陰鬱になる。
・月経終了から21日間は、エストロゲンの影響で女性は満足感、幸福感が強く、機嫌が良い。

プロゲステロン(黄体ホルモン)

・母性愛や誰かの世話をしたいという感情を起こす。(男はプロゲステロンを持たない)

男は50-60代に入るとテストステロンの分泌量が減少して、性格が穏やかになる。
女は反対に、更年期を過ぎるとエストロゲンが減り、相対的にテストステロンの方が多くなってくる。
だから女性は45-50才ぐらいになると、いきなり自信満々になって、何事にも積極的になる。

テストステロンは空間能力を向上させるが、エストロゲンは逆に空間認知能力を抑制する。


なお参考までに、姫野友美氏は「なぜ女性はおしゃべりか」ということについて、その著書でホルモンの影響をについて次のように述べている。(要約)

「女の脳にとっては、話すこと自体が快感となっている。これにはドーパミンというホルモンが関係している。女はしゃべることによって、このドーパミンを活性化させているのだ。
女はもともとセレトニンの分泌量が男よりも少なく、しかも、その分泌が生理周期の影響を受けるために不安定な状態であることが多い。
しゃべることによってドーパミンが出ると、頭の中に巣くっていたもやもやした気分が発散され、その快感からセレトニンのレベルも上がってくる。つまり、世の女たちは、日ごろのセレトニン不足を補うために、おしゃべりによってドーパミンを出してバランスをとっているわけだ。」

(注)
ドーパミン:快感ホルモンと呼ばれる物質で、爽快感、高揚感、嬉しさ、楽しさに作用する。
セレトニン:精神を安定させたり、心を幸せな気分にしたりする働きがあり、不足するとうつや落ち込みを招いたり、キレやすくなったりすることが知られている。

(注)この説については当方まだ他の文献で確認した訳ではないが、脳の構造・機能の違い、及びホルモンの働きと照らし合わせると納得できるものがある。

 

 


男女の違い(脳の性差)

2022-07-25 16:18:30 | 男と女

(男と女)

[男女の違い(脳の性差)]

「脳の性差」だが次のような点がよく言われている。

「言語能力」は女性の方が男性より優れている。
「空間認知能力(方向感覚)」は男性の方が女性より優れている。

これらについては次のように分析されている。

「言語能力」については、言葉を理解する際に、男性は左脳のみを使っているのに対し、多くの女性は左右両方の脳を使っているため。
「空間認知能力(方向感覚)」については、女性は目印がある場合空間認識しやすいが、男性は目印がなくとも空間認識が得意という特徴が見られるとし、この男女差の原因は、空間認知に関する右脳の大脳皮質の発達が、胎児期のホルモンの影響によって男児の脳で促進された結果ではないかと考えられている。

このことについて、ビーズ夫妻はその著書「話を聞かない男、地図が読めない女」で次のように述べている。

「左右の脳が担っている働きを簡単に言うと、次のようになる。」

「脳の電気活動を把握する磁気共鳴映像法(MRI)を用いれば、脳のどこでどんな仕事が行われているかは、正確に知ることができる。脳のスキャン画像で明るく光っているところあれば、その場所を使う技能や作業が得意だったり、楽しいということだ。逆にスキャン画像でぼんやりとしか写らないところは、そこに関係する技能は得意でないし、やっても楽しくないということだ。」
「例えば、男の脳をスキャンで見ると、脳の中で方向を感じ取る部分が光って見える。つまり方向をあれこれ探ったり、見当をつける作業が好きと言うことだ。女の方は、発話領域が画像にはっきり表れる。」

「脳の中で特定の働きをする部分を見つけ出す試みは、まず頭をケガした患者のを対象にはじまった。男性が脳の左側に損傷を受けると、発話能力や語彙のほとんどが失われるのに対し、女性は同じ部分を同じくらい損傷しても影響が小さい。つまり女性は話をつかさどる部分がひとつではないということだ。」
「家の設計図も、女の脳が見ると平べったい二次元でしかないが、男は高さまで把握できるので、どんな建物が出来上がるか想像がつく。頭の右側に損傷を受けた男は、空間能力のほとんどを失う。女はそういう空間能力が元々発達していないので、右脳をケガしても余り変わらない。」

「1990年代に入ってから脳のスキャン技術は飛躍的に進歩し、陽電子放射断層撮影法(PET)や、磁気共鳴映像法(MRI)を使えば、生きている脳の様子まで画面で見られることになった。」

「言葉を話すとき、男はもっぱら左脳を、女は左右両方を使っていることが分かった。」
「女の方が脳梁が太く、左右の連絡が1.3倍もよいことを確認した。同じ作業をしている時でも、男と女では使っている脳の部分が異なることも分かっている。」
「さらに、女性ホルモンであるエストロゲンは神経細胞に働きかけ、左右半球の接続をよくすることも明らかになった。」
「女の脳は、同時にいくつもの作業がこなせるように出来ている。だからたがいに関連のない仕事を一度にやれるし、脳はいつも活動していて休むことがない。」
「女は脳の両方をいつも使っているので、右と左がすぐには区別できないことが多い。」

では何故このような違いがあるのだろうか。
それには脳の構造、働き方の違い、そしてホルモンの活動が大きく影響しているようである。

ここではまず「脳の構造面での性差」(右脳と左脳をつなぐ連絡回路の効率の違い)について考えてみる。
(言語能力、空間認知能力、その他の能力、ホルモンについては別途記載する)

「脳梁と前交連」

ここで注目されるのは、右脳と左脳を繋いでいる「脳梁」と「前交連」である。
(どちらも右脳と左脳をつなぐ「通信連絡回路」)
このどちらも「女の脳」の方が「男の脳」よりも大きい(太い)ようである。

人間の脳は「右脳」と「左脳」とに分かれているが、この左右の脳を連結しているのが「交連線維」とよばれるもので、これには「脳梁」と「前交連」「後交連」とがある。

「脳梁」:
・左右の大脳新皮質(知能や言語等の人間らしい機能を司る)を連結する通信回路で2億本以上の神経線維の束であり、交連線維の中では最も大きく、前交連よりも10倍以上大きい。

「前交連」:
・左右の「嗅脳」を繋いでいる。(「脳の辞典」より)
・前交連は左右の大脳新皮質を連結しているだけでなく、左右の古い脳(本能や喜怒哀楽の情動を司る領域)をも連結している。(ネット(投稿者OperatorT氏)の解説より)

この大きさ(太さ)の違いについて姫野友美氏は著書で次のように述べている。

「脳梁」(脳梁は左右の脳をつなぐ連絡橋)
女脳は男脳よりもこの脳梁の膨大部が太く(男は管状、女は球状)、左右の脳の連絡が良い。このため、言語情報をはじめとした様々な情報をより多く流せるようになっている。

「前交連」(前交連は視床下部の上方に位置し、左右の脳を繋ぐ連絡回路)
女脳は男脳よりもこの通路が太く、多くの情動情報を流すことができる。
言わば、感情の連絡通路と言うことができ、主に「好き・嫌い、快・不快、怒り・恐怖」などの感情部分を情報として交換している。

(注)
前交連という聞きなれない言葉が出てきたので、辞典で調べてみたところ「左右の「嗅脳」を繋いでいる」としか記載が無く、嗅いは情動と関係ないのではと他を調べてみたら、「左右の古い脳(本能や喜怒哀楽の情動を司る領域)をも連結している」とあったので納得した。この脳梁・前交連については幾つかのサイトをチェックしたので、その内容を下記に記しておく。

 

[脳梁・前交連](ネットより)

・「女性は、男性にくらべて、右脳と左脳を連結する脳梁や前交連と呼ばれる部分が大きく、そのことが、物事を細かく見る傾向があること、感情がこまやかだが、感情的になりやすいことなどに関係しているのではないかと考えられています。
さらに、男性にくらべて左脳が発達していて、言語能力にすぐれているなどともいわれますが、これらのことは、まだはっきりと解明されていません。」(ネット「ウィメンズメディカ」より)

・「前交連は、耳の後ろの脳の両側の下部にある2つの側頭葉を接続します。 側頭葉は聴覚と言語に関係しています。
また、2つの扁桃体、感情を調節し記憶の役割を果たす核である核を接続します。 
また、前交連で体の反対側に交差する嗅覚管線維を保持します。
脳の矢状カットでは、脳を中央部で左右のセクションに分割し、前交連をはっきりと見ることができます。
楕円形上から下まで約5mmです。脳梁の下で、海馬からの信号を運ぶ脳構造である脳弓の柱の前にあります。
それは、男性よりも女性でわずかに大きいです。(ネット「Nethinbag.com」より)

・「脳梁の前の方にある膝部は,左右の前頭前野をつないで認知機能を支えています。
脳梁の中央の体部は,左右の運動機能を連絡します。
脳梁の後部の膨大部は,左右の視覚情報を伝えます。」(脳外科医 澤村豊氏のホームページ/脳梁より)

・「大脳の容積と比較した相対的な脳梁の断面積は、女性の方が男性よりも大きいとする研究があるが、これに反証する大規模なメタアナリシスも報告されている。
近年になって、実験手法の発展に伴い拡散強調MRIなどを用いて断面積以外の要素に着目して男女差ありとする研究も報告されるようになってきているが、男女差なしとする研究も依然として報告されており、確定した結論が得られない状況である。
MRIによる研究において、脳梁の形・大きさには性差があるという報告がなされており、大脳の容積と比較した相対的な大きさは、男性よりも女性の方が大きい傾向が報告されている。
ただし大脳の容積は男性の方が大きく、脳梁の大きさの絶対値には性差がない。また、脳梁の大きさの性差について、否定的な結果も複数示されている。
ただし一部には、脳梁の性差を男女の神経心理学的な差、たとえば言語機能が男性の方が片側優位であるのに対し女性では両側性であることなどと結びつける説がある。」(Wikipedia/脳梁より)

(参考)

脳梁と前交連、またその他の脳の構造、機能については、図解したものをネットから拾って別途纏めておいた。

脳の構造と仕組み」(画像)
(「脳の構造」「脳の断面と機能」「大脳の構造1」「大脳の機能」「大脳の構造2」「大脳皮質1(大脳辺縁系)」「大脳皮質2(海馬・偏桃体)」「大脳皮質3(海馬)」「大脳髄質内の神経線維」「交連線維」「脳梁の男女比較1」「脳梁の男女比較2」「脳の情報処理の男女比較」)