
冗談でつけた仮タイトルが、そのままになりそうです。他にも考えたんだけど、コレが一番しっくりきたので(爆)なんとか印刷も間に合いそうです。表紙サンプル、画像荒くてゴメンナサイ。
ジビコちゃんと、ハボックにはツナギを着せてバイクに乗せたいと言い出したのが始まりで、だったら文豪のロイロイの所にバイク便で集荷にいくといいなんて盛り上がった、秋葉原の夜の会合が随分前にありまして。
それから私のイメージとしては「純愛ロマ○チカ」だの「愛の流○地」みたいな?!(間違っても一緒にしていいくくりではない)小説家とお手伝いさんの恋だったんですが。
ヒュロイ本は持参しない予定ですので、欲しい方はコメントか、メールをお願いします。ここからどうぞ。お名前は必須でお願いします。
結局出来たのは現代パラレルの上に、ギャグですので、OKな方のみどうぞ。では、プレビューです。
増田英雄と言えば、この前ニュースか何かで名前を聞いたような気がする。何とか賞の候補になったとか、そんな話だったような。俺は小説なんか読まないから知らないけれど、きっと人気のある作家先生なんだろう。そもそも自分のペンネームに「英雄」なんてセンスはどうなんだろう。戦争ものでも書いていたら、ちょっと気持ち悪いかもしれない。
もっともピックアップさせて頂く「お原稿」をホークアイさんに届けることこそが大事なのであって、そこに何が書かれていようが、先生がどんな人であろうが、俺には関係がなかった。
道幅の狭い入り組んだ路地を入った静かな住宅街に、タイル貼りの新しいマンションが建っていた。いまどきの最上階が見上げられないような高層マンションではなく、5階建ての低層マンションは、高級感をかもし出していた。
当然ながらオートロックの玄関で、俺はルームナンバーを押した。相手は出ない。
しばらくして、もう一度ルームナンバーを押す。……やはり、出ない。居留守……だろうか。
時計を見ると17時32分だ。
あと30分近く時間があるとはいえ、なんだか嫌な予感がする。俺はけっこうカンがいいのが自慢なんだ。
そのとき、ふと俺を通り越していくマンションの住人がいた。オートロックのドアが開く。
俺は軽く会釈をし、便乗してそのドアをくぐった。
エレベーターに乗り込んで、5階の一番奥にある増田先生の部屋の前にようやく到着した。
部屋の前のインターフォンを鳴らす。やはり返事はない。
「アメストリス出版様からのご依頼で、原稿を取りにお伺いしたのですが・・・・・・」
叫びながらドアをドンドンと叩いてみた。
しばらくすると、インターフォンから怒鳴り声がした。
「うるさい!近所迷惑だろう!」
……こりゃあ、傲慢作家先生系だろうか。まったくホークアイさんも人使いが荒いんだから。やっかいな原稿の取立てなんて、勘弁してくれよー。
「申し訳ありません。静かにしますから、ドアを開けてもらえませんか」
「ドアは開けた。入りたきゃ入れ」
ブチっと音声が切れる音と、ドアの鍵が開く音がしたのがほとんど同時だった。
「お邪魔します」と小声で言って、増田先生の部屋に入った。
廊下から見えるリビングというか作業部屋は、ものすごい惨状だった。
足の踏み場もないような本と紙の山。店屋物の食器やカップラーメンなどのゴミも散乱している。その中に、埋もれるようにして机があり、パソコンやプリンターがあり、増田先生らしき人が立っていた。
その樹海のわずかに残る隙間に、俺は足を踏み入れた。ともかく、先生に近づかねば、原稿も渡してもらえなさそうだった。
今まで作家やらライターの作業場の様子を見たことがないわけじゃない。男の独り暮しだって、もう少しマシだろう。これはヒドイ。ひどすぎる。いわゆる汚部屋ってやつだ。片付けられない病気とか、そっち系かもしれない。
「まったく、さっきっからピンポンピンポンうるさいな。なんなんだね、君は! 一度座ったら、どれだけ立ち上がるのが面倒か、これを見たら分かるだろう」
想像していたよりも随分と若い男が、無精ヒゲに目の下にどす黒いクマの顔で胸を張った。
確かに。これを見たら、インターフォンにたどり着くのも一苦労だということは分かる。だが、そんなことを言っても、どうやって部屋に入れというのだ。
「ええっと、私、アメストリス出版のホークアイさんから依頼されまして、増田先生の原稿を取りに伺ったハボQ便のハボックと申しますが……。増田先生、お忙しいところ、お手数をおかけしちゃったようで申し訳ないっす」
「ホークアイか」
「ハイ」
「無理だ」
「は……あ?」
増田先生は胸を張ったまま、俺から目をそらせた。
「まだ出来ていないから、渡しようがない」
「いいですよ、俺、待ってますから。ホークアイさんとの約束は19時なんで、あと30分くらいあるし」
荷物を取りに行って、準備が出来ていないなんてことは日常茶飯事だ。驚くほどのことじゃない。
俺はもう一度、時計を確認した。17時40分。余裕を見て18時には出たいと思っていたが、飛ばせば30分は待てるだろう。
「……書き上げる自信がない」
先生はポツリとつぶやいて、パソコンの前にちんまりと座った。俺はわずかな紙と本の隙間に立ち尽くす。
「え?」
状況を理解するのに、しばらく必要だった。事態を飲み込んだ俺は、慌ててホークアイさんに電話をかける。
「もしもし! ハボQ便のハボックです」
「……うるさい。電話なら外でかけてくれ」
先生に突っ込まれ、慌てて(でも足の踏み場がないから、スピードは出しようがなかったのだが)廊下へ出た。
「ホークアイさん! 増田先生のところに着いたんですが」
「あら、ハボック君。よく無事にたどり着けたわね」
「なに言ってんですか! 大変ですよ、先生が原稿出来てないそうで、おまけに書き上げる自信がないと」
つい習慣になっている大きな声で話してしまい、途中から慌ててボリュームを落とす。そりゃ先生だって書き上げる自信がないなんて、他人に指摘されたらもっとやりきれないだろうから。
「あら、そう」
ホークアイさんは俺の悲痛な声にも、一切動揺する様子はない。
「私も困ってるのよ。だからあなたに頼んだんだけれど」
「ホークアイさんの手に負えないものが、俺の手に負えるわけないじゃないですか。大体、俺の仕事は出来上がってる原稿の運送だけですよ。出来てないものは運びようがないっす」
「20時くらいまでは待ってあげるから、お願いよ。がんばって。あなたなら出来るわ」
声は優しげであるが、こういうときのホークアイさんが笑っていないことは良く知っていた。はっきり言って、むしろ怖い。
ジビコちゃんと、ハボックにはツナギを着せてバイクに乗せたいと言い出したのが始まりで、だったら文豪のロイロイの所にバイク便で集荷にいくといいなんて盛り上がった、秋葉原の夜の会合が随分前にありまして。
それから私のイメージとしては「純愛ロマ○チカ」だの「愛の流○地」みたいな?!(間違っても一緒にしていいくくりではない)小説家とお手伝いさんの恋だったんですが。
ヒュロイ本は持参しない予定ですので、欲しい方はコメントか、メールをお願いします。ここからどうぞ。お名前は必須でお願いします。
結局出来たのは現代パラレルの上に、ギャグですので、OKな方のみどうぞ。では、プレビューです。
増田英雄と言えば、この前ニュースか何かで名前を聞いたような気がする。何とか賞の候補になったとか、そんな話だったような。俺は小説なんか読まないから知らないけれど、きっと人気のある作家先生なんだろう。そもそも自分のペンネームに「英雄」なんてセンスはどうなんだろう。戦争ものでも書いていたら、ちょっと気持ち悪いかもしれない。
もっともピックアップさせて頂く「お原稿」をホークアイさんに届けることこそが大事なのであって、そこに何が書かれていようが、先生がどんな人であろうが、俺には関係がなかった。
道幅の狭い入り組んだ路地を入った静かな住宅街に、タイル貼りの新しいマンションが建っていた。いまどきの最上階が見上げられないような高層マンションではなく、5階建ての低層マンションは、高級感をかもし出していた。
当然ながらオートロックの玄関で、俺はルームナンバーを押した。相手は出ない。
しばらくして、もう一度ルームナンバーを押す。……やはり、出ない。居留守……だろうか。
時計を見ると17時32分だ。
あと30分近く時間があるとはいえ、なんだか嫌な予感がする。俺はけっこうカンがいいのが自慢なんだ。
そのとき、ふと俺を通り越していくマンションの住人がいた。オートロックのドアが開く。
俺は軽く会釈をし、便乗してそのドアをくぐった。
エレベーターに乗り込んで、5階の一番奥にある増田先生の部屋の前にようやく到着した。
部屋の前のインターフォンを鳴らす。やはり返事はない。
「アメストリス出版様からのご依頼で、原稿を取りにお伺いしたのですが・・・・・・」
叫びながらドアをドンドンと叩いてみた。
しばらくすると、インターフォンから怒鳴り声がした。
「うるさい!近所迷惑だろう!」
……こりゃあ、傲慢作家先生系だろうか。まったくホークアイさんも人使いが荒いんだから。やっかいな原稿の取立てなんて、勘弁してくれよー。
「申し訳ありません。静かにしますから、ドアを開けてもらえませんか」
「ドアは開けた。入りたきゃ入れ」
ブチっと音声が切れる音と、ドアの鍵が開く音がしたのがほとんど同時だった。
「お邪魔します」と小声で言って、増田先生の部屋に入った。
廊下から見えるリビングというか作業部屋は、ものすごい惨状だった。
足の踏み場もないような本と紙の山。店屋物の食器やカップラーメンなどのゴミも散乱している。その中に、埋もれるようにして机があり、パソコンやプリンターがあり、増田先生らしき人が立っていた。
その樹海のわずかに残る隙間に、俺は足を踏み入れた。ともかく、先生に近づかねば、原稿も渡してもらえなさそうだった。
今まで作家やらライターの作業場の様子を見たことがないわけじゃない。男の独り暮しだって、もう少しマシだろう。これはヒドイ。ひどすぎる。いわゆる汚部屋ってやつだ。片付けられない病気とか、そっち系かもしれない。
「まったく、さっきっからピンポンピンポンうるさいな。なんなんだね、君は! 一度座ったら、どれだけ立ち上がるのが面倒か、これを見たら分かるだろう」
想像していたよりも随分と若い男が、無精ヒゲに目の下にどす黒いクマの顔で胸を張った。
確かに。これを見たら、インターフォンにたどり着くのも一苦労だということは分かる。だが、そんなことを言っても、どうやって部屋に入れというのだ。
「ええっと、私、アメストリス出版のホークアイさんから依頼されまして、増田先生の原稿を取りに伺ったハボQ便のハボックと申しますが……。増田先生、お忙しいところ、お手数をおかけしちゃったようで申し訳ないっす」
「ホークアイか」
「ハイ」
「無理だ」
「は……あ?」
増田先生は胸を張ったまま、俺から目をそらせた。
「まだ出来ていないから、渡しようがない」
「いいですよ、俺、待ってますから。ホークアイさんとの約束は19時なんで、あと30分くらいあるし」
荷物を取りに行って、準備が出来ていないなんてことは日常茶飯事だ。驚くほどのことじゃない。
俺はもう一度、時計を確認した。17時40分。余裕を見て18時には出たいと思っていたが、飛ばせば30分は待てるだろう。
「……書き上げる自信がない」
先生はポツリとつぶやいて、パソコンの前にちんまりと座った。俺はわずかな紙と本の隙間に立ち尽くす。
「え?」
状況を理解するのに、しばらく必要だった。事態を飲み込んだ俺は、慌ててホークアイさんに電話をかける。
「もしもし! ハボQ便のハボックです」
「……うるさい。電話なら外でかけてくれ」
先生に突っ込まれ、慌てて(でも足の踏み場がないから、スピードは出しようがなかったのだが)廊下へ出た。
「ホークアイさん! 増田先生のところに着いたんですが」
「あら、ハボック君。よく無事にたどり着けたわね」
「なに言ってんですか! 大変ですよ、先生が原稿出来てないそうで、おまけに書き上げる自信がないと」
つい習慣になっている大きな声で話してしまい、途中から慌ててボリュームを落とす。そりゃ先生だって書き上げる自信がないなんて、他人に指摘されたらもっとやりきれないだろうから。
「あら、そう」
ホークアイさんは俺の悲痛な声にも、一切動揺する様子はない。
「私も困ってるのよ。だからあなたに頼んだんだけれど」
「ホークアイさんの手に負えないものが、俺の手に負えるわけないじゃないですか。大体、俺の仕事は出来上がってる原稿の運送だけですよ。出来てないものは運びようがないっす」
「20時くらいまでは待ってあげるから、お願いよ。がんばって。あなたなら出来るわ」
声は優しげであるが、こういうときのホークアイさんが笑っていないことは良く知っていた。はっきり言って、むしろ怖い。
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